グランドセイコー(Grand Seiko)は、世界に誇る精度と耐久性を兼ね備えた高級時計ブランドです。その卓越した技術力によって生み出された時計は、一生モノとして愛用することができるでしょう。しかし、どんなに優れた時計であっても、メンテナンスを怠れば本来の性能を発揮し続けることはできません。
特に、グランドセイコーの機械式時計やスプリングドライブモデルは、精密なパーツが組み合わさっているため、定期的なオーバーホール(分解掃除)が必要になります。ただし、機械式とスプリングドライブではメンテナンスの頻度や内容が異なります。「どれくらいの周期でオーバーホールが必要なのか?」「そもそもオーバーホールをしなかったらどうなるのか?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、グランドセイコーのオーバーホールの必要性を徹底解説し、機械式時計とスプリングドライブそれぞれのメンテナンス方法について詳しくご紹介します。愛用の時計を長く快適に使うために、ぜひ参考にしてください。
グランドセイコーのオーバーホールは本当に必要か?
時計を長く愛用するうえで避けて通れないのが「オーバーホール(分解掃除)」です。グランドセイコーの時計も例外ではなく、適切なメンテナンスをしなければ、いくら高精度で耐久性に優れたモデルでもトラブルが発生する可能性があります。
では、そもそもオーバーホールとはどのような作業なのか? もしオーバーホールを怠るとどうなるのか? さらに、グランドセイコーの時計はオーバーホールが必要な設計になっているのか? ここで詳しく解説していきます。
オーバーホールとは? – 時計の健康診断と手術のようなもの
オーバーホールとは、時計を一度完全に分解し、内部の汚れを取り除いたり、劣化した部品を交換したりするメンテナンス作業のことです。具体的には、以下のようなプロセスを経て行われます。
- 分解 – 時計のケースを開け、ムーブメント(時計内部の機械)を取り出し、歯車やゼンマイなどの細かいパーツをひとつずつ分解。
- 洗浄 – 各パーツについた汚れや古い油を特殊な洗浄液で取り除き、清潔な状態にする。
- 点検・修理 – すり減った歯車や劣化したパーツがないかをチェックし、必要なら交換。
- 注油 – 分解したパーツを組み立てる際、適切な量の専用オイルを塗布して摩擦を軽減。
- 組み立て・調整 – すべての部品を組み直し、時計が正確に動作するように微調整。
- 防水性能の確認 – 最後に防水パッキンを交換し、ケースをしっかり密閉。
この一連の作業を通じて、時計の性能が新品のように回復し、トラブルの予防にもつながります。イメージとしては、車のエンジンを定期的にメンテナンスするのと似ています。オイル交換やパーツの点検を怠ると、最終的にはエンジンが故障してしまうのと同じように、時計もメンテナンスをしなければ正常に動作しなくなるのです。
オーバーホールをしないとどうなる? – 時計の寿命を縮めるリスク
「時計が動いているから大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。しかし、オーバーホールをせずに放置していると、さまざまなトラブルが発生します。
1. 精度の低下(時間がズレるようになる)
グランドセイコーの機械式時計やスプリングドライブは、非常に高い精度を誇ります。しかし、時間が経つにつれ、歯車や軸受けの摩耗、オイルの劣化などが進行し、少しずつ精度が落ちていきます。
最初は「数秒のズレ」程度でも、数年メンテナンスしないと「数分単位の遅れ・進み」となり、時計としての役割を果たせなくなる可能性も。特に機械式時計は、オイルが適切に行き渡らなくなると摩擦が増え、精度が大きく狂う原因になります。
2. 部品の摩耗(修理費が高額になる)
時計内部には、非常に小さく繊細な歯車や軸が無数に組み込まれています。これらの部品は、適切な量のオイルが塗布されていることでスムーズに動作します。しかし、オーバーホールをせずにオイルが劣化すると、部品同士の摩擦が増し、金属の削れやすり減りが発生します。
一度摩耗した部品は元には戻らず、最悪の場合は歯車の交換が必要になることも。オーバーホールを怠った結果、修理費が数万円~数十万円に跳ね上がることも珍しくありません。
3. 故障・動作不良(時計が止まる)
さらに悪化すると、時計が完全に動かなくなることもあります。特に、スプリングドライブは精密な電子制御部品が含まれているため、メンテナンスを怠るとトラブルが発生しやすくなります。
例えば、ゼンマイの劣化により動力が正常に伝わらなくなったり、潤滑油が固まってパーツの動きが悪くなったりすることがあります。時計が突然止まる、リューズを巻いても動かない、という状況になってしまうと、修理のために長期間預けなければならなくなるかもしれません。
グランドセイコーはオーバーホールが必要な設計になっているのか?
結論から言えば、グランドセイコーの時計は「定期的なオーバーホールが前提」の設計になっています。
その理由の一つが、グランドセイコーのムーブメントは非常に精密で高性能な設計がされているためです。たとえば、機械式モデルであれば、「9S系ムーブメント」などは長時間のパワーリザーブ(持続時間)や高い精度を実現するために、精密な歯車の噛み合わせや、特殊な合金を使用したパーツが組み込まれています。こうした高性能なムーブメントは、適切なメンテナンスをすることで本来の性能を維持することが可能です。
スプリングドライブも同様で、機械式の動力とクオーツの制御技術が融合しているため、通常のクオーツ時計よりもメンテナンスの重要性が高くなっています。特に、スプリングドライブは「ICチップ+トルクリミッター+機械式ムーブメント」の複雑な構造になっているため、長期間メンテナンスを怠ると予期せぬトラブルが起こるリスクが高まります。
セイコーの公式推奨としても、機械式は3~5年ごと、スプリングドライブは5~7年ごとにオーバーホールを行うことが推奨されています。もちろん、使用環境や頻度によって前後しますが、「10年以上ノーメンテナンスで大丈夫」というものではないという点は理解しておきましょう。
オーバーホールは必要! 長く愛用するための必須メンテナンス
グランドセイコーは非常に高品質な時計ですが、その性能を維持するためには、オーバーホールが不可欠です。適切なタイミングでメンテナンスを行えば、一生モノの時計として使い続けることができます。
次章では、機械式グランドセイコーの具体的なオーバーホールの流れや、セルフメンテナンスの方法について詳しく解説していきます。愛用の時計を長く使いたい方は、ぜひチェックしてみてください!

機械式グランドセイコーのオーバーホールとメンテナンス
グランドセイコーの機械式時計を長く愛用するためには、定期的なオーバーホールと日々のメンテナンスが欠かせません。どんなに高精度な時計でも、時間が経つにつれてオイルが劣化し、摩耗が進むことで精度が低下してしまいます。
「3~5年ごとにオーバーホールが必要と言われているけれど、本当にそんな頻度でしなければいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、オーバーホールの推奨頻度や具体的な内容、さらには自分でできる日常のメンテナンス方法について詳しく解説します。
1. オーバーホールの推奨頻度
セイコー公式の推奨は3~5年ごと
グランドセイコーの機械式時計は、セイコーの公式ガイドラインによると、3~5年ごとのオーバーホールが推奨 されています。これは、ムーブメント内部の潤滑油が劣化することや、歯車やゼンマイに摩耗が生じることを考慮したものです。
特に、グランドセイコーの「9S系ムーブメント」は高精度を維持するために極めて精密な作りになっており、適切なメンテナンスを行わなければ、その精度を損なう可能性があります。
使い方や環境による影響(頻繁な使用 vs. コレクション)
オーバーホールの必要性は、時計の使い方によっても変わります。
頻繁に使用する場合
- 毎日着用 する場合、ムーブメントの歯車やゼンマイは常に動いている状態になります。そのため、摩耗の進行が早く、3年程度でオーバーホールを検討するのが理想的です。
- また、スポーツやアウトドアで着用する機会が多い場合は、衝撃や湿気の影響を受けるため、早めのメンテナンスが推奨されます。
コレクションとして保管する場合
- 数か月に一度しか使わない時計でも、オーバーホールは必要です。なぜなら、使わなくてもオイルは時間とともに劣化し、潤滑性能が低下するからです。
- 長期間放置すると、オイルが固まって歯車の動きが悪くなることもあるため、5年を目安 にメンテナンスを行いましょう。
2. オーバーホールの具体的な内容
オーバーホールでは、時計を分解し、パーツを洗浄・調整・交換することで、性能をリフレッシュさせます。具体的な作業内容を見ていきましょう。
ケース・ブレスレットの洗浄
- 時計のケースやブレスレットには、汗・皮脂・ホコリなどが蓄積します。
- オーバーホール時には、専用の超音波洗浄機を使い、細かな隙間に入り込んだ汚れまで徹底的に除去します。
- これにより、外観が新品のように蘇るだけでなく、金属部分の腐食や劣化を防ぐ効果もあります。
ムーブメントの分解・洗浄・注油
- 時計内部のムーブメントは、歯車や軸が精密に組み合わさっており、オイルが適切に行き渡っていることでスムーズに動作します。
- オーバーホールでは、ムーブメントを一度完全に分解し、各パーツを特殊な洗浄液でクリーニングした後、新しい潤滑油を注油します。
- これにより、摩擦が減り、時計の精度が回復します。
ゼンマイやパーツの交換が必要になるケース
- ゼンマイは長期間使用すると金属疲労を起こし、巻き上げ時に適切なトルクを発揮できなくなることがあります。そのため、オーバーホール時に交換が必要になる場合があります。
- さらに、摩耗が進んだ歯車や軸受け、パッキン類も交換対象になります。特に、防水性能を維持するために、ゴム製のパッキンは定期的に交換 することが推奨されます。
3. 機械式グランドセイコーのセルフメンテナンス
オーバーホールを定期的に行うことが理想ですが、日々のセルフメンテナンスも重要です。正しいお手入れをすることで、時計の寿命を延ばし、トラブルを防ぐことができます。
日常の手入れ方法(着用後の拭き取り・防水チェック)
- 時計を外した後は、柔らかい布で拭く のが基本。特に、ブレスレットの隙間や裏蓋部分は汚れが溜まりやすいので、こまめに掃除しましょう。
- 防水性能の確認 も重要。リューズがしっかり閉まっているかを定期的にチェックし、長期間水に触れる環境で使用する場合は、パッキンの交換を検討しましょう。
精度の確認方法(日差の測定)
- 日差(1日の誤差)を測定することで、時計のコンディションを把握 できます。
- 毎日同じ時間にスマートフォンの時計と比較し、±10秒以上のズレが続く場合は、メンテナンスのタイミングかもしれません。
磁気帯び対策
- 機械式時計は磁気の影響を受けやすく、磁気帯びすると精度が大幅に狂うことがあります。
- スマートフォンやスピーカー、バッグの磁石付きポケットなどに近づけない ようにしましょう。
- 磁気帯びしてしまった場合は、セイコーのサービスセンターで磁気抜きをしてもらうことで、正常な状態に戻せます。
オーバーホール+日常のメンテナンスでグランドセイコーを長く愛用しよう
グランドセイコーの機械式時計は、適切なオーバーホールと日々のセルフメンテナンスを行うことで、何十年も使い続けることができます。
- オーバーホールは3~5年ごとが理想
- 使い方や環境によってメンテナンスのタイミングは変わる
- 日々のお手入れ(拭き取り・精度チェック・磁気対策)も大切
次章では、スプリングドライブモデルのメンテナンス方法について詳しく解説します。機械式時計とは異なるポイントがあるので、スプリングドライブをお持ちの方はぜひチェックしてください!
純正パーツを使用したオーバーホール・修理のご依頼は以下のサービスを参考にしてみてください。

スプリングドライブのオーバーホールとメンテナンス
グランドセイコーのスプリングドライブは、機械式の美しさとクオーツの精度を融合させた、まさに「ハイブリッドウォッチ」とも言える革新的な技術が詰め込まれています。
しかし、そんな優れたスプリングドライブでも、長く使い続けるためにはメンテナンスが不可欠です。機械式時計と同じようにゼンマイや歯車を使用しているため、オイルの劣化や摩耗が起こる一方で、クオーツ式のIC制御システムが組み込まれているため、メンテナンスの考え方が少し異なります。
「スプリングドライブは機械式ほど頻繁なオーバーホールが必要ない」と言われることもありますが、それは本当なのでしょうか? ここでは、スプリングドライブのオーバーホールの頻度やメンテナンスのポイントについて詳しく解説していきます。
1. スプリングドライブの特性とオーバーホールの頻度
機械式の動力 × クオーツの調整機能を持つ独自のシステム
スプリングドライブは、グランドセイコーが開発した独自の技術で、「機械式時計のゼンマイ駆動」と「クオーツ時計の電子制御機構」を融合させた画期的なシステムです。
一般的な機械式時計との違いは、テンプを使用せず、ICとクオーツが時間調整を行う点にあります。
- ゼンマイの力で歯車を回転させる仕組みは機械式時計と同じ
- クオーツによる電子制御が、独特の滑らかな秒針の動きを生み出す
- テンプがないため、衝撃による精度の狂いが少ない
この独自の構造により、機械式時計と比べて部品の摩耗が少なく、オーバーホールの頻度も長めに設定されています。
機械式ほど頻繁なメンテナンスは不要?(5~7年に一度が推奨)
セイコーの公式推奨では、スプリングドライブのオーバーホールは5~7年ごと とされています。これは、機械式時計よりも歯車やゼンマイの負担が少なく、オイルの劣化が緩やかなためです。
ただし、以下のような使い方をしている場合は、5年よりも早めのメンテナンスが必要になる 可能性があります。
- 毎日使い続けている(パーツの摩耗が進む)
- 高温多湿の環境で使用している(オイルの劣化が早まる)
- 強い衝撃を受けることが多い(歯車やICにダメージの可能性)
一方、コレクションとしてたまに使う程度なら、7年程度は問題なく動作することが多い ですが、完全に動かさない状態が続くとオイルが固まり、時計に悪影響を与えることもあるため、定期的に動かしてあげるのが理想的です。
2. スプリングドライブのオーバーホールで行われること
スプリングドライブのオーバーホールでは、機械式時計のようなムーブメントのメンテナンス に加え、クオーツ制御の電子部品の点検も行われます。
機械部分(ゼンマイ、歯車)のメンテナンス
- ゼンマイや歯車は、機械式時計と同じように長期間の使用で摩耗し、潤滑油が劣化します。
- オーバーホール時にはムーブメントを分解し、パーツを洗浄・注油することで、動作をスムーズに保ちます。
ICや電子部品の点検(通常のクオーツ時計とは異なる注意点)
- スプリングドライブには、クオーツ制御のICが搭載されています。通常のクオーツ時計のように電池交換で済むわけではなく、ICや電子回路のチェック が必要になります。
- ICが故障すると、時計全体が動かなくなる可能性がある ため、オーバーホール時には動作チェックが行われ、異常があれば交換となります。
パーツ交換が必要なケース(例:トルクリミッターの摩耗)
- スプリングドライブには、「トルクリミッター」という機構が搭載されています。これはゼンマイが巻きすぎにならないよう制御する役割を持ちますが、長期間使用すると摩耗し、交換が必要になることがあります。
- その他、摩耗したギアや劣化したパッキンも、オーバーホール時に交換されることがあります。
3. スプリングドライブのセルフメンテナンス
スプリングドライブは精密な機械ですが、日常のケアをしっかり行うことで、より長く美しく使い続けることができます。
防水性能の維持方法(定期的なパッキン交換が重要)
- グランドセイコーのスプリングドライブモデルには高い防水性能を持つものが多いですが、防水性能はパッキンの劣化とともに低下します。
- 3~5年に一度、防水テストを受け、必要ならパッキンを交換する のが理想です。特にダイバーズウォッチは、防水性が命なので、定期的なメンテナンスが重要になります。
クオーツ部分のトラブルサイン(異常な止まり方など)
- 通常、スプリングドライブはゼンマイの動力を使って安定した精度を保ちますが、突然止まる、時間が大きくずれる といった症状が出た場合は、電子回路の不具合が考えられます。
- ゼンマイをしっかり巻いても動かない場合は、すぐに点検を依頼しましょう。
- クオーツ制御の不具合は、機械部分の故障とは異なり、ICや電子部品の交換が必要になることが多いです。
スプリングドライブの適切なメンテナンスで精度を維持しよう
スプリングドライブは、機械式時計の味わいとクオーツの精度を兼ね備えた素晴らしい技術ですが、その分メンテナンスの考え方も独特です。
- オーバーホールの目安は5~7年ごと
- 機械式のようにゼンマイや歯車のメンテナンスが必要
- ICや電子部品のチェックも忘れずに
- パッキン交換などのセルフメンテナンスをしっかり行うことが大切
次章では、オーバーホールの費用や依頼先について詳しく解説していきます。スプリングドライブを安心して使い続けるためのポイントをチェックしていきましょう!
オーバーホールの費用と依頼先
グランドセイコーのオーバーホールを検討する際に気になるのが、「どこに依頼すればいいのか?」 そして、「費用はどれくらいかかるのか?」 という点ですよね。
時計のオーバーホールは、単なる「修理」ではなく、分解・洗浄・調整を行い、時計本来の性能を取り戻す大切なメンテナンス作業です。そのため、どこに依頼するかによって、仕上がりや寿命が大きく変わる可能性があります。
ここでは、正規メンテナンスと一般の修理業者の違い、オーバーホールの費用相場、そしてどこに依頼するのがベストなのかについて詳しく解説していきます。
1. 正規メンテナンスと一般の修理業者の違い
時計のオーバーホールは、「セイコーの正規サービスセンター」に依頼する方法と、「一般の時計修理店」に依頼する方法の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の使い方や予算に合わせて選ぶことが大切です。
セイコー正規サービスセンターのメリット・デメリット
✅ メリット
- 純正パーツの使用が保証される(非純正パーツによる品質低下のリスクがない)
- メーカーの厳格な基準で調整される(防水性能や精度のチェックも万全)
- グランドセイコー本来の性能を維持できる(特にスプリングドライブは専門技術が必要)
- オーバーホール後にメーカー保証が付くことがある(安心感が高い)
❌ デメリット
- 費用が高め(特にスプリングドライブは電子部品が含まれるため高額になることが多い)
- 納期が長くなりがち(通常1~2ヶ月、繁忙期はそれ以上かかることも)
- 古いモデルは修理対応が終了している場合がある(生産終了後のサポート期間が限られる)
✅ 向いている人
- 長く愛用するつもりで、確実なメンテナンスを受けたい人
- 最新のスプリングドライブやハイビートモデルを使っている人
- 少し高額でも、グランドセイコー本来の性能を維持したい人
一般の時計修理店に依頼する際の注意点
✅ メリット
- 費用が正規サービスよりも安いことが多い
- 納期が比較的短い(1~3週間程度のことが多い)
- 一部の修理店では、メーカーよりも細かいカスタマイズや追加サービスを提供している
❌ デメリット
- 純正パーツを入手できない場合がある(互換パーツを使うと性能が変わる可能性がある)
- 技術力に差があるため、信頼できる店舗を選ぶ必要がある
- スプリングドライブのような特殊なムーブメントは対応できない場合がある
✅ 向いている人
- コストを抑えてオーバーホールをしたい人
- 機械式のシンプルなモデルを持っている人
- 正規サービスが終了してしまった古いグランドセイコーを持っている人

2. オーバーホールの費用相場
オーバーホールの費用は、ムーブメントの種類やモデルによって大きく異なります。 ここでは、グランドセイコーの代表的なムーブメントごとの費用相場を紹介します。
機械式グランドセイコーのオーバーホール費用
- スタンダードな機械式(Cal.9S系):約 40,000~60,000円
- ハイビートモデル(Cal.9S85など):約 50,000~80,000円
- ヴィンテージモデル(パーツが入手困難な場合): 80,000円以上になることも
※ 正規サービスの場合の料金目安
スプリングドライブのオーバーホール費用
- 一般的なスプリングドライブ(Cal.9R系):約 60,000~100,000円
- クロノグラフモデル(Cal.9R86など):約 80,000~120,000円
スプリングドライブは、機械式に比べて電子部品のチェックや調整が必要なため、オーバーホール費用がやや高額になる傾向があります。
部品交換が発生した場合の追加費用
オーバーホールの基本料金とは別に、パーツ交換が必要になった場合、追加費用が発生することがあります。
- ゼンマイ交換:約 10,000~20,000円
- 歯車・輪列の交換:約 5,000~30,000円(部品の種類による)
- IC基盤の交換(スプリングドライブ):20,000円以上
特にスプリングドライブは電子部品を含むため、IC基盤の不具合が見つかると、想定以上の修理費用がかかることがあります。
3. どこに依頼するのがベストか?
オーバーホールをどこに依頼するかは、費用と品質のバランスを考える必要があります。
長く使うなら正規メンテナンスが安心
- 純正パーツで修理できるため、グランドセイコー本来の品質を維持できる
- 精度や防水性能のチェックがしっかりしている
- メーカー保証が付くことが多く、安心感がある
特に、スプリングドライブやハイビートモデル を使っている人は、正規メンテナンスを選ぶのが無難です。
コストを抑えるなら信頼できる時計修理専門店を選ぶ
一般の時計修理店に依頼する場合、次のポイントをチェックしましょう。
✅ グランドセイコーの修理実績が豊富か?
✅ 純正パーツを使える修理店か?(一部の修理店では純正パーツを取り寄せ可能)
✅ 保証が付くか?(オーバーホール後の保証期間がある店が安心)
特に、古いグランドセイコーを持っている人 は、メーカー修理が受けられない可能性もあるため、技術力の高い修理専門店を選ぶのがおすすめです。
オーバーホールはどこに頼むべき?
- 確実に品質を維持するなら正規メンテナンス
- コストを抑えたいなら信頼できる時計修理店
- 古いモデルは修理専門店が選択肢になることも

オーバーホールをしないとどうなる?リスクと対処法
「オーバーホールって、本当に必要なの?」
「時計の調子が悪くなってからでも遅くないんじゃない?」
こんな疑問を持つ人も多いかもしれません。確かに、機械式時計やスプリングドライブはすぐに壊れるわけではなく、少しくらいのズレなら問題ないと考える人もいるでしょう。しかし、オーバーホールを長期間怠ると、時計の寿命が縮まり、最悪の場合、修理不能になることもあります。
この章では、オーバーホールをしないことで起こるリスクと、その対処法について詳しく解説します。
1. 精度低下が進行する(+数秒~+数分のズレ)
時計を長く使っていると、次第に時刻のズレが大きくなることがあります。これは、ムーブメント内部の摩耗や潤滑オイルの劣化によるものです。
精度低下の進行具合
- 3~5年経過:数秒~数十秒のズレ(誤差が大きくなる兆候)
- 5~7年経過:1分以上のズレが目立ち始める
- 10年以上オーバーホールなし:数分以上のズレが発生し、正常な計時が難しくなる
機械式時計のムーブメントは精密な歯車やテンプの動きによって時間を刻んでいますが、オイル切れや摩耗が進行すると、部品同士の摩擦が増え、動きが不安定になり、精度が落ちてしまいます。
対処法
✅ 3~5年ごとに精度をチェックする(日差の測定)
✅ 精度のズレが大きくなったら、早めにオーバーホールを検討する
時計が「+10秒以上進む・遅れるようになったら」、ムーブメントに何らかの異常がある可能性が高いです。早めのメンテナンスを検討しましょう。
2. オイル切れで歯車や部品が摩耗し、修理費用が高額になる
時計のムーブメントには、歯車や軸受けをスムーズに動かすための潤滑オイルが使われています。しかし、このオイルは時間とともに劣化し、5年ほどで乾いてしまうのが一般的です。
オイルが切れると、どうなるのでしょうか?
オイル切れの影響
🚨 部品の摩耗が進行:摩擦が増え、歯車や軸が削れていく
🚨 歯車が正常に回転しなくなる:ガリガリとした抵抗が生じ、時計が止まることも
🚨 部品の交換が必要になり、修理費用が高額になる
例えば、通常のオーバーホールなら4~6万円で済む機械式グランドセイコーでも、摩耗した部品を交換するとなると、修理費用が10万円以上になることもあります。
さらに、スプリングドライブの場合、摩耗したパーツがトルクリミッターやICチップに悪影響を及ぼすと、高額な電子部品の交換が必要になることも。
対処法
✅ 5年ごとにオーバーホールを行い、オイルを補充する
✅ 時計を長期間放置しない(定期的に動かしてオイルを循環させる)
✅ 強い衝撃や振動を避け、部品への負担を減らす
特に長期間使わずに放置した時計は、オイルが完全に固着している可能性が高いため、再び動かす前にオーバーホールを行うのがベストです。
3. 破損が進むとメーカー修理対応が困難になるケースも
オーバーホールを怠り続けると、歯車や軸受けが限界まで摩耗し、最終的に破損します。
特に深刻なのが、メーカーの修理対応が難しくなるケースです。
メーカー修理ができなくなる理由
- 古いモデルはパーツが生産終了する
→ グランドセイコーでも、生産終了後15~20年を過ぎると、メーカー修理が難しくなることがあります。 - 部品の摩耗が激しいと、部分修理では対応できなくなる
→ ムーブメント全体の交換が必要になるケースも。 修理費用が新品購入並みに高くなる可能性あり。 - スプリングドライブの電子部品は、メーカーでないと修理できない
→ ICチップやクオーツ制御部分が故障すると、一般の時計修理店では対応不可。
つまり、「壊れたら修理すればいい」と考えていても、いざ修理しようとしたときに「対応不可」と言われるリスクがあるということです。
対処法
✅ メーカー修理が可能なうちに、定期的なメンテナンスを行う
✅ ヴィンテージモデルは、信頼できる時計修理店に相談する
✅ 部品供給が終了する前に、オーバーホールを依頼する
特に、高級モデルや思い入れのある時計を長く使いたいなら、メーカーが対応可能なうちにオーバーホールを済ませておくのが賢い選択です。
オーバーホールを怠ると時計の寿命が縮まる!
🔹 精度低下が進行し、時間のズレが大きくなる
🔹 オイル切れで部品が摩耗し、高額な修理費用が発生する
🔹 破損が進むと、メーカー修理が受けられなくなる可能性も
グランドセイコーは、精度と耐久性に優れた時計ですが、適切なメンテナンスなしには本来の性能を維持できません。 せっかくの高級時計を長く愛用するためにも、3~5年ごとのオーバーホールを習慣にしましょう!
グランドセイコーの時計を長く愛用するために
グランドセイコーは、精度・耐久性・美しさを兼ね備えた世界屈指の高級時計ブランドです。しかし、どんなに優れた時計でも適切なケアをしなければ本来の性能を発揮し続けることはできません。
「せっかく購入したグランドセイコーを、一生ものとして使いたい!」
「長期間にわたって価値を維持し、大切に受け継いでいきたい!」
そんな方のために、この章ではグランドセイコーを長く愛用するためのポイントを詳しく解説していきます。

定期的なメンテナンスで資産価値を維持
高級時計は、単なるアクセサリーではなく、資産としての価値も持っています。特にグランドセイコーは、国内外で評価の高いブランドのため、状態の良い個体は中古市場でも高値で取引されます。
しかし、オーバーホールを怠るとムーブメントの摩耗や故障が進み、資産価値が大きく下がってしまうのが現実です。
1. 資産価値を維持するために必要なメンテナンス
✅ 3~5年ごとのオーバーホール(機械式)
✅ 5~7年ごとのオーバーホール(スプリングドライブ)
✅ パッキンの交換(2~3年ごと)で防水性能を維持
✅ 外装のクリーニングで美しい状態をキープ
特に、正規メンテナンスの記録(メンテナンス履歴)を残しておくと、中古市場での価値がさらに高まるので、できるだけメーカーや信頼できる修理店でオーバーホールを行うのが理想です。
「大切な時計を、次の世代に受け継ぎたい」と考えている方は、メンテナンスを怠らず、長く美しい状態を保つことが重要です。
2. 使用環境に気を配る(磁気・湿度・衝撃の管理)
時計の寿命を縮める大きな原因の一つが、使用環境の影響です。グランドセイコーは耐久性に優れた時計ですが、それでも適切に扱わないと精度の低下や故障の原因になってしまいます。
① 磁気に注意する
最近の生活環境にはスマートフォン・パソコン・スピーカー・バッグの磁石付き留め具など、強い磁気を発生するものが数多くあります。時計が磁気を帯びると、ムーブメントの動きが不安定になり、精度が大幅に狂う可能性があります。
対策 ✅ スマホや電子機器から時計を離して保管する
✅ 磁気を帯びたら、専門店で磁気抜き(脱磁)を行う
✅ 「耐磁性能」を持つモデルを選ぶのも一つの手段(メカニカルモデルの一部やスプリングドライブは耐磁性が比較的高め)
② 湿度・水分に気をつける
グランドセイコーのほとんどのモデルには防水性能がありますが、湿気や水分には十分注意が必要です。特に、リューズが緩んでいる状態で水に触れると、防水性能が十分に発揮されず、内部に水が侵入することがあります。
対策 ✅ 時計を水に濡らした後は、柔らかい布で拭き取る
✅ スチームサウナやお風呂では外す(防水時計でも高温多湿はNG)
✅ パッキンは定期的に交換し、防水性能を維持する
③ 衝撃を避ける
グランドセイコーのムーブメントは精密な部品で構成されており、強い衝撃を受けると歯車がずれたり、パーツが破損することがあります。
特に注意が必要なシーン ❌ スポーツや激しい運動中の着用(ランニングやテニスなど)
❌ 硬い床への落下(カーペットの上ならまだしも、コンクリートやタイルの上は危険)
❌ 強い振動のある環境での使用(バイクの運転時など)
対策 ✅ スポーツや激しい動きの際は時計を外す
✅ 日常使いではブレスレットのフィット感を調整し、ガタつきを防ぐ
✅ 着用時はリューズやガラス部分をぶつけないように気をつける
3. 迷ったらプロに相談(異常を感じたらすぐチェック)
時計の異常は、最初はわずかな兆候として現れます。
「いつもより時間のズレが大きい気がする…」
「リューズの巻き心地が変わったような…?」
「動作音が以前より大きくなった?」
こういった違和感を感じたら、早めに時計店やメーカーのカスタマーサービスに相談することをおすすめします。
プロに相談すべきサイン
🔹 日差が大幅に変化した(+20秒以上など)
🔹 秒針の動きが不安定になった(スプリングドライブの場合、滑らかな動きが途切れるなど)
🔹 ゼンマイを巻いても動かない・すぐに止まる
🔹 水分が内部に入り込んでいるように見える(文字盤に曇りが発生)
🔹 ケースやブレスレットに異常な緩み・ガタつきがある
こうしたサインを無視して使い続けると、最悪の場合、高額な修理が必要になることもあります。
「ちょっとおかしいな?」と思ったら、すぐにプロのチェックを受けるのが最善の対策です。

愛用するために日頃のケアとメンテナンスが重要!
💎 定期的なオーバーホールを行い、資産価値を維持する
💎 磁気・湿度・衝撃など、時計に負担をかけない使い方を意識する
💎 異常を感じたらすぐにプロに相談し、早めの対応を心がける
グランドセイコーは、適切なメンテナンスを行えば何十年にもわたって使い続けることができる時計です。
「長く愛用すること」こそが、グランドセイコーの魅力を最大限に楽しむ方法。
あなたの大切な時計を最高のコンディションで維持し、一生モノとして育てていきましょう!
まとめ:グランドセイコーのオーバーホールは必要不可欠!長く愛用するために
グランドセイコーの時計は、優れた耐久性と精度を誇りますが、長期間にわたって最高のコンディションを維持するためには、定期的なオーバーホールが欠かせません。
特に、機械式モデルは3~5年、スプリングドライブモデルは5~7年を目安にオーバーホールを行うことが推奨されています。定期的なメンテナンスを怠ると、オイル切れや部品の摩耗が進み、修理費用が高額になるリスクがあるため注意が必要です。
メンテナンスを依頼する際は、正規のセイコーサービスセンターが最も安心ですが、信頼できる時計修理店を選べば、コストを抑えつつ適切なケアを受けることも可能です。
適切なメンテナンスを行えば、グランドセイコーは一生モノの時計として愛用できます。大切な時計を最高の状態で使い続けるためにも、定期的なオーバーホールと日常的なセルフメンテナンスを欠かさず行いましょう!
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