なぜ現代であえて機械式時計を使うのか?:不便・不正確でも選んでしまう機械式時計の魅力と味わい!

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機械式時計とスマホ 時計
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1. なぜ今、機械式時計を選んだのか?

今の時代、時間を知るだけならスマホで十分ですし、便利さを求めるならスマートウォッチがあります。歩数計や心拍数の計測、LINEやメールの通知までしてくれるのですから、「腕時計なんて必要ないのでは?」と考える人も多いでしょう。実際、私自身も長い間そう思っていました。

そんな私があえて「機械式時計」を選んだのは、ある意味で逆行している選択だったかもしれません。きっかけは、友人が持っていた一本の時計でした。彼が袖口からさりげなく見せたのは、文字盤の奥で秒針がスムーズに流れるように動く、いわゆる「機械式時計」だったのです。その独特の“チクタク”とした非常に細かい針の動きに、なぜか心を奪われました。スマホやデジタル時計にはない、生き物のような温かみを感じたのです。

もうひとつの理由は、「時間の感じ方」を変えてみたかったからです。スマホで時間を確認するときは、どうしても通知やSNSに目がいってしまい、気づけば予定を確認するつもりが数分も別のアプリに時間を取られてしまうことがありますよね。けれど、腕時計で時間を見るときは、ただ「今何時か」を静かに確認するだけ。その小さな違いが、自分の生活や気持ちに良い影響を与えてくれるのではないか、と思ったのです。

そして、初めて購入したのは比較的手の届きやすいSEIKOの機械式モデルでした。箱を開けた瞬間、ずっしりとした重みと質感に「これはただの道具じゃない」と直感しました。ゼンマイを巻き上げ、耳を近づけると聞こえる小さな駆動音――まるで自分の手の中で心臓が動いているような感覚に、ちょっとした感動を覚えました。

「正確さ」や「効率」だけを考えれば、間違いなくデジタル時計やスマートウォッチの方が優れています。ですが、機械式時計を手にしたときの体験は、便利さとは別の次元にある“所有する喜び”でした。今思えば、それが私が機械式時計を選んだ一番の理由だったのだと思います。

2. 実際に使ってみてわかった「機械式時計の魅力」

実際に機械式時計を使い始めて、まず一番に感じたのは「機械がゼンマイの力だけで動いている」という驚きでした。電池も電子回路も使わず、歯車やバネの組み合わせだけで正確に時を刻み続ける――これってよく考えると本当に不思議なんです。裏蓋がスケルトン仕様になっている時計だと、ゼンマイがほどける力で歯車がカチカチと動き、それが秒針の流れるような運針につながっている様子が目で見えるのですが、まるで小さな宇宙を眺めているような感覚になります。スマホの液晶画面には絶対にない“生きた手造りの仕組み”の美しさに、思わず見入ってしまうことも多いです。

そしてもう一つの魅力が「音」です。耳を近づけると小さな「チクタク」という音がします。これが驚くほど心地いいんですよ。静かな部屋で、ふと時計を外してテーブルに置いたときに聞こえる微かな音は、自分の時間を穏やかに刻んでくれているようで、不思議な安心感があります。デジタル時計の電子音にはない、温かみやリズム感がそこにあるんです。

さらに、ファッションとしての存在感も機械式時計ならではです。腕につけたときの重量感、ステンレスや革ベルトの質感、光の反射によって表情を変える文字盤……。これらは単なる「時間確認の道具」を超えた、ひとつの装飾品、いや、むしろ「身にまとうアート」と言ってもいいかもしれません。スーツに合わせればビシッと引き締まりますし、休日にカジュアルな服装であっても、時計ひとつで全体の印象がぐっと大人っぽく見えます。

加えて、機械式時計には「資産価値」「ブランドのストーリー」という魅力もあります。ロレックスやオメガ、タグ・ホイヤーといった世界的ブランドはもちろん、セイコーやオリスのように職人技が光るブランドまで、それぞれに歴史や哲学が宿っています。単に「時間を知るための道具」ではなく、ブランドが築いてきた物語を自分の腕にのせている感覚は、所有する喜びをさらに深めてくれるのです。そして、モデルによっては年月を経ても価値が下がらず、むしろプレミアがつくこともあります。そうした背景を知ると、「この時計を長く大事に使おう」という気持ちも自然と生まれてきます。

こうした要素が合わさって、「毎日身につけたくなる理由」が生まれます。朝、出かける前に腕時計を手に取るときの感触。ゼンマイを少しだけ巻いて、耳を澄ませて駆動音を確認する小さな儀式。それは、ただの準備ではなく、自分の一日を整える時間になっています。デジタル機器では味わえない、「モノと向き合う時間」を与えてくれるのが、機械式時計の最大の魅力だと感じています。

3. 思っていた以上に大変? 機械式時計の不便さ

機械式時計を使い始めると、その魅力にどっぷり浸かる一方で、「あれ、意外と大変だな…」と思う瞬間も少なくありません。ここでは、私が実際に使ってみて感じた“不便さ”を正直にお伝えしたいと思います。

■ 時間がズレる(精度の問題)

まず一番に感じるのが「時間のズレ」です。クォーツ時計やスマホはほとんど狂わないのに対し、機械式時計は日差(1日にどれくらいズレるか)が存在します。私が使っているモデルだと、1日でプラス5秒から10秒ほど進むことが多いです。数字だけ見ると大したことないと思うかもしれませんが、1週間で30秒以上ズレる計算になります。出勤や待ち合わせのときに「ん? 少し早い?」と感じることがあり、正確さを求める人にはストレスになるかもしれません。

実際に、朝の電車に乗るときに時計を確認して「まだ1分余裕があるな」と思って改札を通ったら、スマホの時刻ではすでに発車時刻ギリギリだったことがありました。そのときは駆け込みになってしまい、「やっぱり機械式はズレるんだな」と実感しました。

■ 定期的なゼンマイ巻き・自動巻きでも止まる

次に「止まる問題」。手巻き式なら当然毎日ゼンマイを巻く必要がありますし、自動巻きタイプでも腕につけていないと動力がたまらずに止まってしまいます。実際、週末に家でゴロゴロして時計を外していたら、月曜の朝には止まっていた…ということが何度もありました。止まった時計をリセットするのはちょっと面倒で、時間だけでなく日付や曜日を合わせ直す必要があるモデルだと、朝の忙しい時間に焦ることも。

この点では「クォーツの方が便利だな」と正直に思ってしまいます。

■ 重さ・厚さが気になるシーン

機械式時計はその構造上、どうしても厚みや重さが出ます。普段は気にならないのですが、長時間パソコン作業をしていると手首が机に当たって痛くなったり、シャツの袖口が引っかかって着心地が悪かったりします。特に夏場は汗でベルトやケースが蒸れて不快に感じることもありました。軽さや薄さを求める人にとっては、ここもネックになる部分だと思います。

■ オーバーホール(定期メンテナンス)のコスト

さらに忘れてはいけないのが「オーバーホール」の存在です。機械式時計は数年ごとに分解清掃(オーバーホール)が必要で、その費用は安くても数万円、ブランドやモデルによっては10万円近くかかることもあります。しかもそれを5年ごとに繰り返すとなると、長期的に見ればかなりの出費になります。

私自身、初めて時計店で「オーバーホールをそろそろ考えた方がいいですね」と言われたとき、正直ドキッとしました。「えっ、そんなに高いの?」と。購入時にはそこまで意識していなかったので、この点は機械式時計特有の“隠れコスト”と言えるでしょう。


こうして並べてみると、「時間がズレる」「止まる」「重い」「メンテナンス費用がかかる」と、便利さだけで考えるとクォーツやスマートウォッチに大きく劣ります。実際に使っていると、こうした不便さに直面する場面は必ずやってきます。

ただ、不思議なことに、この“面倒くささ”が逆に愛着につながるのも事実なんです。毎日ゼンマイを巻くことで「今日も一緒に頑張ろう」と気持ちを切り替えられたり、少しズレた時刻を直すことで「自分で手をかけている」感覚が得られたりします。まるでペットや観葉植物の世話のように、手間をかけるからこそ愛着が増していく……そんな存在なのです。

4. 「不便さ」すら愛せる? 機械式時計の価値観

ここまでお話ししたように、機械式時計にはいくつもの不便さがあります。時間がズレる、止まる、重い、メンテナンスにお金がかかる……。効率や合理性を第一に考える人にとっては「なんでそんなものをわざわざ選ぶの?」と疑問に思うかもしれません。

ですが、実際に使っていると、この“不便さ”こそが機械式時計の魅力の一部なのだと気づくのです。むしろ、この不便さを含めて楽しめる人こそ、機械式時計に惹かれていくのだと思います。

■ 不便さを含めて楽しむ「趣味性」

例えば、毎朝ゼンマイを巻いたり、止まった時計の時刻を合わせたりする作業。人によっては「手間がかかって面倒」と感じるでしょう。でも、私にとってはそれが一日の始まりを告げる小さな儀式になっています。ゼンマイを巻きながら「今日はどんな一日になるかな」と考える時間は、スマホのスイッチを入れるのとはまったく違う、ゆったりとした心の余裕を生み出してくれます。

趣味というのは、効率や利便性を追い求めるものではなく、むしろ「手間を楽しむもの」ですよね。コーヒー好きな人がわざわざ豆を挽いてドリップするように、車好きな人が古い車を大切に整備して乗るように。時計に手をかける行為もまた、その楽しみの延長線上にあります。

■ デジタルでは得られない「所有する喜び」

スマホやクォーツ時計は、便利で軽く、扱いやすい。でも、どうしても「使う道具」という感覚が強いのに対して、機械式時計は「所有する喜び」が圧倒的に大きいと感じます。

精巧に組まれた数百もの部品が自分の腕の上で動いていること。針の滑らかな動きやケースの質感。ブランドの背景や歴史を知るほどに、「ただの時計」以上の意味を持ち始めます。これはデジタル製品にはなかなかない魅力です。むしろ、デジタルは新しい機種が出れば買い替えが当たり前ですが、機械式時計はメンテナンスさえすれば10年、20年、時には世代を超えて受け継がれていく。そうした“時間の重み”を自分の手首で感じられることが、所有欲を満たしてくれるのです。

■ 時計を通して「時間との向き合い方」が変わる

そして何より、機械式時計を使っていると「時間との向き合い方」が少し変わります。スマホで時間を見るときは、つい他の通知にも気を取られ、気づけばSNSを開いていた…なんてことも多いはずです。でも、機械式時計で時間を確認する瞬間は、ただ「今」を知るためだけの動作。ほんの数秒ですが、そこに余計な情報はありません。

また、秒針の規則正しい動きを眺めていると、「時間ってこうして一秒一秒積み重なっていくんだな」と実感できます。便利さの中で忘れがちな“時間の尊さ”を、時計が静かに教えてくれるんです。


こうして考えると、機械式時計の価値は「正確に時間を知ること」ではありません。むしろ、不便さを受け入れ、手間を楽しみ、その中で時間やモノとの関わり方を見直すことにこそ本質があるのだと思います。だからこそ、多くの人が「便利さではなく価値観で選ぶ時計」として、機械式を愛してやまないのでしょう。

5. 機械式時計はどんな人におすすめか?

ここまで、機械式時計の「魅力」と「不便さ」、そしてそこに宿る価値観についてお話してきました。では実際のところ、どんな人に機械式時計は向いているのでしょうか?私の体験を踏まえて整理すると、大きく4つのタイプが思い浮かびます。

■ ファッションや小物にこだわる人

まずはやっぱり「ファッションにこだわる人」です。機械式時計は、腕に着けるだけで全体の印象を引き締めてくれる存在感があります。スーツスタイルではもちろん、カジュアルな服装にもアクセントとして映える。たとえるなら“装いの最後に加える仕上げのスパイス”のようなものです。バッグや靴と同じように、「自分の個性を表現する小物」として時計を楽しめる人にはぴったりでしょう。

■ 長く大切にモノを使いたい人

次に、「長くモノを大切にしたい」という気持ちがある人。スマホや家電のように数年で買い替えるのではなく、時間をかけて手入れをしながら使い続ける。その過程で愛着がどんどん増していくのが機械式時計の魅力です。定期的なオーバーホールや日常の扱いに手間はかかりますが、その分「共に時を重ねている」という感覚が得られます。育てるように時計を使っていきたい人には、大きな満足感を与えてくれるでしょう。

■ 時計そのものの物語に魅力を感じる人

機械式時計には、それぞれのブランドやモデルに歴史やストーリーがあります。たとえば、「宇宙飛行士が使用した時計」「ダイバーのために開発されたモデル」「職人の伝統技術が生きる一本」など、背景を知ることでその時計への思い入れが何倍にも膨らむのです。単に「時刻を知る道具」ではなく、「物語を持つ相棒」として価値を感じられる人は、きっと機械式時計に深くハマっていくはずです。

■ 逆に向かない人:時間の正確さ・便利さ重視の人

一方で、「正確さ」や「便利さ」を第一に求める人にはあまりおすすめできません。ビジネスで秒単位のスケジュール管理が必要な方や、「止まったら困るから電池式が安心」と感じる方にとっては、機械式時計はストレスになりがちです。毎日のゼンマイ巻きや定期メンテナンスを面倒に感じてしまうなら、クォーツやスマートウォッチの方が圧倒的に合っていると思います。


つまり、機械式時計は「効率的に時間を知るための道具」ではなく、「時間やモノとどう向き合うかを楽しむ嗜好品」と言えます。ファッションや小物にこだわる人、モノを大切に使いたい人、そして物語に共感できる人にとっては、人生を豊かにしてくれる最高のパートナーになるでしょう。

6. まとめ|機械式時計は「不便さを楽しめる大人の贅沢」

ここまで、私自身が実際に機械式時計を使ってみて感じた魅力と不便さを、包み隠さずお伝えしてきました。結論として言えるのは――機械式時計は「便利さ」だけで考えたら、決して最適解ではありません。時間はズレるし、止まるし、手入れも必要。コストだってそれなりにかかります。

でも、その“不便さ”を受け入れた先にしか得られない喜びや満足感が、確かにあるのです。ゼンマイを巻く手間を「面倒」ととるか「味わい」ととるか。チクタクと響く音を「古臭い」と感じるか「癒し」と感じるか。それによって、同じ時計でも価値がまったく変わってきます。

機械式時計は、ただ「時刻を知るための道具」ではありません。むしろ「時間との向き合い方」を変えてくれる存在です。一秒一秒を刻む針の動きを眺めながら、「時間は有限であり、大切に過ごすべきものだ」と気づかせてくれる。そんな役割を果たしてくれるのです。

だからこそ私は、機械式時計を「大人の贅沢」だと思っています。高級品という意味だけでなく、あえて不便さを楽しめる余裕を持つ――それこそが、成熟した大人の楽しみ方なのかもしれません。

最後に、もしあなたが機械式時計を検討しているなら、ぜひ「自分に合うかどうか」を考えてみてください。

  • ファッションや小物にこだわりがあるか?
  • 長くモノを大切に使いたいと思うか?
  • 時計そのものの物語に心が動くか?
  • 多少の手間やコストを、むしろ楽しめるか?

これらに「はい」と答えられる人にとって、機械式時計はかけがえのない相棒になるはずです。逆に「正確さと便利さがすべて」と思う人には、スマートウォッチやクォーツ時計の方が確実に合っているでしょう。

効率だけでは測れない価値。手間をかけることで得られる愛着。
その両方を受け入れた先にあるのが、機械式時計の魅力だと私は感じています。

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