日本の学校教育では五教科の“ベースアップ”と“成績のアベレージ”に重点が置かれてきた影響のためか、『長所を伸ばす・特技を極める』という最も結果を出しやすい戦術を放棄する人も多く、『短所を補う・苦手を克服する』という平均的に色々なことができるタイプを目指しやすい。
個人・組織が目標を達成するための単純な経営戦略モデルの『SWOT分析』では、以下の4つの観点を考えて意志決定するのが望ましいとされるが、個人の一般的な勉強・仕事・人間関係のレベルであれば、『S・O』だけを意識して具体的な行動・学習・関係に落とし込むだけでも十分な効果があるように感じる。
Strength(強み)……自分や組織が持っている長所・得意(好き)なこと
Weakness(弱み)……自分が組織が持っている短所・苦手(嫌い)なこと
Opportunity(機会)……外部環境にあるチャンス
Threat(脅威)……外部環境にある障害・敵対者
自分自身のモチベーションや自信の高まりにおいても、対人関係で相手のやる気や好意を引き出すことにおいても、“長所・得意・チャンス”を見極めて集中的にやる気(達成意欲)を高めて取り組んでいくことのほうが、“短所・苦手・脅威”に意識を囚われて上手くいかないことや不安に思うことに時間を取られるよりも何倍も有益で精神状態を上向かせるからである。
10個のファクターで平均的に70点を出すよりも、その中の1個や2個で100点をたたき出して突出するような『労力・時間・意識の配分』というのは、かつてはゼネラリスト対スペシャリストの比較で語られることが多かった。
そして、『自己評価・精神状態のアップダウン』を間接的に支配するものが何かを考えるとき、『全くできないことを無理矢理にでもできるようになろうとする』と超え難い壁にぶつかってダウンしやすく、『更にできそうなこと(上手くいきそうな目標・相手)に集中してもう少し高い水準でできるようになろうとする』とスモールステップを踏んで気分・自己評価もアップしやすい。