昔は夜寝る前にテレビを見たりゲームをしたりすると睡眠の質が悪化すると言われていたが、その対象がゲームやパソコンからスマートフォンに移ってきただけという感じもする。
仕事の一部も映像も娯楽(コンテンツ)もコミュニケーションも読書も、スマートフォン一台でこなせるようになってきているため、『スマートフォンの使用時間』が増加していく傾向性は変わらないし、『就寝前の使用頻度』も増えるだろう。
スマホではなくテレビやパソコンなら寝る前に見てもいいだろうという話でもなく、パソコンを長時間使っていたらやはり日中は眠くなる。また、『寝る前まで娯楽的・コミュニケーション的なウェブへの興味関心』が強いということは、それだけ『他の事柄に集中しにくい心理状態』になりやすいということでもある。
小学生くらいの時に『ドラゴンクエスト3』が爆発的にヒットして、徹夜に近いような状態でゲームをして学校に来ている生徒もいたが、『ゲームの光による睡眠への影響』以上に『ゲームによる睡眠時間の圧縮』が問題だったように思う。ゲームやパソコン、スマホのようにブルーライトの可視光線を発光する機械だけではなく、『寝る前の長時間の麻雀・カラオケ・雑談(長電話)』でも同様に睡眠の質は悪化するわけで、就寝前にスマホを見なければ眠りの質が良くなるという因果関係は曖昧ではある。
消灯後にスマホを使う頻度(スマホのブルーライトの知覚時間)と睡眠の内容の本当の因果関係を科学的に検証するのはなかなか難しい。最低限、睡眠の質を悪化させやすい主な要因である『心理的なストレス状態(不安・心配・迷いがある状態)』や『スマホを頻繁に使う人の心理状態(ウェブの娯楽やコミュニケーションばかりに意識が囚われている依存的状態)』を除外してブルーライトだけの要因に絞り込むような『被検者の事前選別』が必要になってくるだろう。
例えば、SNSやLINEで友人知人からのコメント(着信)がいつも気になって頻繁にスマホをチェックするような人は、『ブルーライトの生理学的影響』よりも『相手の反応を期待したりSNSに依存したりする落ち着かない心理状態』がその精神的ストレスで睡眠の質を悪化させたり、授業への関心そのものが低下して居眠りしやすくなっている可能性も高いからである。