在外勤務の外交官は国家公務員の中でも難易度の高いエリート路線であり、パーティーや住宅費用の負担、現地での調査活動など公金を用いることのできる恩恵の割合は大きい。
だが、職務の使命感や外交感覚、リサーチ意識(赴任地域への関心)の低い外交官にとって『アフリカ・アジア・南米等の途上国勤務』は、倦怠感・無気力とその反動としての特権意識に襲われやすい問題を孕んでおり、合法的な会計処理であっても相当な無駄遣いが含まれる事が会計検査院の調査で指摘されたりもする。
公金どこに、建物含め被害億単位=現地でカジノ? 同僚に借金も-コンゴ大使館放火
30歳の容疑者は自分自身に掛けられた『横領罪・現住建造物等放火罪』の容疑を否認しているが、放火現場の監視カメラの映像や目撃証言、口座の入出金の履歴を調べられて容疑を固められているので、無罪放免とは行かないだろう。
カジノ通いやギャンブルの嗜好、周囲の同僚からの借金に加えて、金庫にあるはずの現金2200万円が消失しているなどの状況証拠もあり、会計の責任者であった容疑者が使い込んでいないという現金の存在を立証できない限りは、嫌疑を払拭することができない。
横領事件は、会計業務や現金管理、口座使用の権限を一人の責任者のみに任せきりにして、ダブルチェックをしていないか形式的なチェックだけで金額を確認していない組織では必ず確率論的に発生することになる。
どんなに真面目で責任感が強いように見える人、職場で長年にわたる信頼を得ている担当者であっても、『プライベート部分での借金(金遣いの荒さ)・ギャンブル・女関係(男関係)』までを十分に知り尽くすことは不可能である。
外見的な性格や職場での勤務態度だけからそういった金銭の使い方に関わる問題点のすべてを見通すことはできないからであり、自分以外の誰も口座の入出金の内容をチェックしない状態が続けば、『少し借りるだけ・すぐに返せば良い・信頼されている(今まで数字の動きの内容を見られたことはない)からチェックはされないはず』などからずるずると横領の罠にはまっていく人が出てくる恐れがある。
一人だけの担当者に企業・官庁の金銭管理を全面的に任せきるというのは、その人物が社長・局長であっても横領・背任のリスクは少なからず生まれる。証拠隠滅のために、コンゴの日本大使館そのものを燃やして無くしてしまおうと考えたのは稚拙・卑劣としか言い様がないが(大使館だと耐火性の金庫くらい備えていそうなものだが)、『横領事件が発生する可能性』は常に組織のチェック体制の杜撰さとしてあらかじめ組み込まれて放置されているケースが大半である。
会社員でも公務員でも、会社の金や公金を横領して流用する人には、ギャンブルか異性(飲み屋)か長期ローン(支払い能力を超えた高額の家・車などの浪費)かのいずれかがあるか、もしくはそれらが組み合わされているものではあるが。