映画『サファリ』の感想

総合評価 72点/100点

アメリカ人のカップルたち6人が、大自然の動物に間近で接することのできる南アフリカのサファリツアーに参加する。シマウマやチーター、象などの野生動物を見ながら進んでいた一行だったが、観光用に認められている国立公園の内部では楽しみにしていたライオンの姿を見つけることができない。アメリカ人たちはせっかくアフリカにまで遥々やってきたのに、ライオンを見れないことに対して不満や慨嘆の声を上げ始める。

現地のガイドが『ライオンがどうしても見たいのであれば、本来は禁止されている猟場のエリアにまで特別に連れて行く』と提案し、自分は何度も猟場を通行した経験があって道を知悉しているので何の問題もないという。何人かの女性は、観光用に整備されていない獣を狩るための猟場に踏み入ることに躊躇するが、ガイドの保証と男性陣を中心とした賛成者の多さに押し切られて、手持ちの地図には載っていない猟場のエリアに踏み込んでいく。

唯一、道を知っているガイドが致死性の毒を持つコブラに噛まれてしまい、もう一人の道を知らない若いガイドも自分だけが助かるために逃走してしまったことから、野生動物が闊歩するアフリカのサファリでのサバイバル活動を余儀なくされるというストーリー。

家族を野生動物から皆殺しにされた傷心の現地の少女と行動を共にしながら、剥き出しの自然・野獣の脅威に晒されるエリアから、ある程度管理された国立公園のエリアへの脱出を山越えで試みる。肉食動物の襲撃だけではなく、山の岩壁からの転落や川の水中のヒル、古びた銃の暴発、病気の発症、食料・水の不足など様々な危険が待ち受けていて、文明社会と自然世界の境界線で生死の恐怖を味わいながらそれを乗り越えていこうとする。

参加者が自撮りしているような意図的なカメラワークは好き嫌いが分かれるが、『野生動物の襲撃の描写』の多くが間接的であり動物の姿が映る時間は短いため、襲われている人間の表情と行動のみでのオーバーアクションになりがちなのがやや残念ではある。

基本的には、アフリカの自然環境に取り残されてサバイバルをする羽目に陥るというパニックムービーなのだが、『肉食動物との戦い・自然界の厳しさと人の無力さ』へ映像的・資金的にリソースを割きにくいのであれば、『アフリカの大自然ならではの景観(広大で開放的なスペクタクル)』の映像表現のほうに力を入れてみたほうが面白く仕上がったかもしれない。