橋下徹の日本維新の会は、極右的な排外主義の発言を憚らない石原慎太郎と連合してから政党の勢いに急速な陰りが見えた。『行財政改革・地方主権・市場主義の党』から『国粋主義・中央統制の党』へとイメージも変わった。
石原新党は石原慎太郎氏と平沼赳夫氏に続く顔ぶれを見ても、『戦後日本の自由主義・平和主義・立憲主義が間違っていたとする価値観』や『戦前の日本や戦争、体制、国民統制は正しかったという価値観』を持っていそうな人たちの集団で、自分たちを国民を強制的にでも指導する選良の支配層のように見立てている節もある。
戦前の全体主義体制を不幸な時代とし、日本国憲法の理念を尊重する今上天皇の意向には真っ向から反対しているという意味では、日本国における真正の保守政党といえるかどうか疑問な部分もある。日本国憲法の一方的な破棄と復古的な自主憲法制定の石原氏の持論は、戦後日本の国民主権・人権尊重・国際協調に反する。
即位20周年に際して今上天皇は、『私が心配するのは過去の歴史が忘れられていくのではないかということ・昭和天皇にとって先の大戦は不本意な道のりであった』と述べられてたが、石原氏は『対中の軍拡路線による抑え込み・統制規律的な国民教育』を標榜するなど、戦前の政治外交手法や体制を肯定的に捉えている観もある。