学校教育の現場以外でも、自分から因縁をつけて距離を詰めて凄んでくるチンピラが、少し肩がぶつかったり手を掴まれたりしただけで、『あ~痛い痛い、お前、暴力を振るったな。腕が上がらなくなった、骨が折れたかもしれない、どうしてくれるんだよ(間接的に慰謝料・治療費を請求する)』と自分が極端な弱者(被害者)であるかのように大げさな反応をして、『常識人の側の加害者性(違法性)』を強調しようとする古典的な絡み方がある。
どういった状況において生徒が教師を挑発しているかにも拠るが、教師が初めに激しい体罰(暴力)を振るっていないのであれば、『体罰をするつもりはないが、注意・指導している内容について理解できたかだけを教えて欲しい』と興奮せずに普通の口調でまず聞いてみれば良い。
生徒が『理解できない・聞くつもりがない・うるせえ』というのであれば、本人だけに関わる問題なら『俺は力づくで無理矢理にでもお前にそれをさせるほど親切でも暇でもないが、○○の内申書の評価が下がったりして自分が損することにはなる。それでもいいなら仕方ないが、そんなに難しいことでもないんだから最低限の学校のルールは守ってくれ』と通告して、後は本人の判断に任せればいい。
他の生徒や授業の進行の妨害になる問題なら『他の生徒や授業の進行を妨害する行為は許されないので、邪魔になる行為をするならそれをやめるまで教室の外に出ておいてくれ、嫌なら授業中は騒がずに静かにしておくように(話し続けたいことがあれば授業が終わってからなら聞く)』と指導すれば良いかもしれない。
『やれるものならやってみろよ』『体罰で訴えるぞ』という生徒側の挑発は、『教師側が体罰・暴力を振るってくるかもしれないシチュエーション』において為されると推測されるが、正当な指導・注意をする時には『体罰をするつもりはない旨』を伝えて、言葉・対話・説得による注意(注意や指導に対する生徒の理解・納得がどれくらい進んでいるか)に徹するようにすれば良い。
体罰の揚げ足を取るために挑発的な態度をとってくる場合には、手が届かない程度の距離を開けたり、『体罰だ何だと騒ぐなら、自分からこちらに近寄ってきて触れないようにしてくれとの指導・こちらも冷静な口調で話をして暴力は絶対に振るわないから、○○も喧嘩腰の態度や攻撃的なからかい口調でつっかかってこないようにとの注意』を行うべきだろう。
『やれるものならやってみろ』と言われれば、『○○は挑発したいのかもしれないが、自分はやるつもりが全くないし威圧・恫喝などに興味はない、注意や指導をしている内容がわかっているか伝わっているかどうかを問題にしている。自分が言っているのは学校生活や授業を受ける際に最低限守らなければならないルールであって、それを守れないなら他の生徒の邪魔にならないようにしておきなさいということだけだ、社会に出れば自分が損をしたり恥をかくだけで、誰も親切に注意・アドバイスなどしてくれないが、ルール違反や他人への迷惑行為がエスカレートしていけば最後は違法行為まで犯して人生を台無しにすることもあるくらいは認識しておいたほうが良い』くらいに答えておけば良い。
生徒の挑発・暴言に対して体罰(暴力)で応戦しなければならない必要はないし、
仮に対抗的な暴力で徹底的に叩きのめして屈服させたとして、『指導・注意したいことの内容』がその生徒に受け容れられるわけがなく、ただ大人が子供にフィジカルな喧嘩で勝ったというだけである。殴られたり蹴られたりして無理矢理に服従させられても、学校・教師への怨恨感情や大人・社会への不信感を残したまま卒業する可能性のほうが高いだろう。
『生徒からの暴力・授業妨害(他の生徒への迷惑行為)』に対しては、『違法な体罰と必要な自衛行為・制圧の違い』を説明した上で、生徒から掴みかかってきたり殴りかかったりモノを投げつけてきたりすれば、その暴力・秩序破壊行為から自分と教室(他の生徒の権利)を守るために『必要最低限の制圧の実力行使』を行うことができる(それは自衛権の行使・現行犯逮捕相当の行為であり問題のある体罰に該当しない)と伝えておいても良いと思う。
そこまでの暴力・破壊行為がないのであれば、『生徒の話したい内容・反抗する理由』に耳を傾けてあげる時間を設けて、相手の言い分に適切に対応しながらも『学校生活でここまでは許される・ここからは許されないという範囲の言動・態度』を教えること(他の生徒や授業の進行の迷惑にならないようにするルールが守れなければ守れるようになるまで別教室での特別指導を行うなど)が必要だろう。
家庭の教育・価値観の偏りや教師の権威の低下、生徒の将来の悲観(自暴自棄・刹那的な学校生活)といった要因も関わってくる問題であるが、最も優先すべきなのは『教師と生徒の安全・平穏な学校生活と授業進行(他の生徒の教育を受ける権利)』である。
注意・対話・説得・理解といった言語と信頼をベースにした生徒指導を粘り強く行いながらも、どうしても相手の行き過ぎた暴力や妨害行為が収まらない場合には、違法性を阻却できる自衛権・制圧の必要性(犯罪類似行為の制圧)を掲げて、『最低限度のルールだけは守らせる姿勢(本人だけの問題となる進学・評価・生活態度・将来に関わる問題なら実力行使をせずある程度まで容認しても良いが)』を通していけば良いように思うが、何度も注意しても改善しない傷害・暴行・器物損壊などのレベルまでいけば警察への相談・介入を検討すべきかもしれない。