サッカー・ワールドカップの『ドイツ‐ブラジル戦』は、セットプレイを決めてからの前半のドイツの猛攻が凄まじかった。クローゼはW杯通算で16点目の得点を上げ、歴代1位の得点王となったが、自分が入れようとすればもっと得点を積み増しできた感じ。だが、他の選手・若手に点数を入れるチャンスを与えるようなクローゼの抑えたスタンスが逆に良い。
ブラジルは対コロンビア戦で、ネイマールの怪我による戦線離脱、主将チアゴ・シウバの出場停止処分による不利も大きかった。ブラジルは2点目を取られてからディフェンスラインが総崩れとなり、選手の士気が下がりマンツーマンでもドイツ選手の優勢が目立った。前半の5失点は、守備がバラけた短時間に集中的に決められた。
ドイツは毎回キーパーにも凄い選手を連れてやってくる。オリバー・カーンも鉄壁のセービングで多くの見せ場を作ってくれたが、今回のドイツのGKマヌエル・ノイアーも体格の良さと重圧感があり、ゴール前に立たれるとシュートコースが狭く見える。後半のブラジルは決定的チャンスが3回はあったが、ノイアーが弾いた。
ブラジルはベストメンバーで戦えなかったのが残念。今日の試合に限っては総合的な実力差でも、7-1に近い差を感じた。ドイツの正確なパス回しやフォーメーションが支える徹底した組織サッカーは、ブラジルにとっては苦手なタイプなのかも。ドイツの陣形は、ブラジルと比べ選手が規定の位置から外れずに整然としていた。
個人のフィジカルでも、ドイツは体格がガッチリしていて当たり負けしない。ブラジルの長所であるはずの『個人技・ドリブルの突破力』が全く発揮できずに押さえ込まれた。ゴール前の混戦でいつもドイツ側の人数が多く劣勢に追い込まれたが、ドイツはサイドから真横にパスを出し、走り込んできた選手が入れるパターンが上手いなと思う。
シュールレの後半のダメ押しとも言える鋭い角度のあるシュート(GKからすれば止めようがなさそうなコースの良さと強さのあるシュート)も見ごたえがあった。