弁当の実売数を予測した発注量の調整は難しく、廃棄ゼロの発注は供給不足で機会損失を生む。廃棄弁当をどうするかは店長の裁量だが、廃棄を当てにされる損失もある。
「粗末にしたくない」コンビニ「廃棄弁当」持ち帰ったら謹慎処分ーーなぜダメなのか?
なぜ廃棄弁当を持ち帰るのがダメかは、法律論よりも『市場の商品に無料のものはない』の資本主義原則に近い。店長の厚意で廃棄コストを店がかぶってくれて『うちのコンビニでバイトすれば廃棄弁当は持ち帰っていいよ』は有り得るが、厳密には『廃棄弁当の使用価値』は『売場の弁当の使用価値』と殆ど変わらないからである。
コンビニは商品を売って利益を得る事を目的とした営利事業者だから、弁当の商品価値を毀損するような習慣はできるだけ作りたくない。まさに『廃棄弁当は誰でも持って帰って良いの習慣』を作る事は、『売場の弁当の商品価値の毀損・無料弁当との競合』につながるリスクだ。捨てる事と上げる事は商売上では全く異なる行為だ。
お客の購買意欲を刺激する棚を作る為に『やや多めに発注する=機会損失を避け廃棄コストを織込む』のは良いが、『廃棄弁当は誰でも持ち帰って良いの習慣』を認めれば、『どうせ廃棄するならタダでくれ』の客にならない人を呼び寄せ、バイトでも『大量の持ち帰り・配布』を許せば間接的に機会損失を増加させる恐れがある。
『廃棄弁当』は厳密には無価値ではない。ただ人為的に設定した消費期限を数時間程度過ぎたからといって、その弁当の使用価値は殆ど落ちておらず、温めて食べれば普通に美味しく食べられる。仮に売場に『消費期限が切れるから無料・100円です』と書いておけば、十分に『消費期限の長い弁当』より競争力があるだろう。
まぁ、大半のコンビニであれば、廃棄弁当をバイトに1日1個、賄いのようにして上げることは大した機会損失にはならないので、店長の考え方次第だと思うし、実際、廃棄予定の商品を貰えるお店も多いとは思う。ただ廃棄する商品なら何でもいくつでも持ち帰って良いまですれば『モラルハザード・不正の誘因』にはなるだろう。