キラキラネームは名前が子の特別な運命を規定すると思う言霊思想の現れ。だが人生とはその子が自分の能力・資質・努力を発揮する現実的なプロセスで、名前だけ立派・個性的でも仕方ない。おじさん・おばさんになった時にも違和感なく名乗れる名前が望ましい。
漢字の音訓読みの範囲ならキラキラネームでも良いと思うが、『光宙(ぴかちゅう)・世歩玲(せふれ)・皇帝(しいざあ)・黄熊(ぷう)・泡姫(ありえる)』など、意味や語感が不適切な名前をつけると子の不利益になりかねない。
男(あだむ)というキラキラネームもあって漢字と読みの発想が凄いが、漢字の読み方が何でもありというのもやり過ぎの原因になっていると思う……男の子と女の子の双子が生まれて『男(あだむ)』と『女(いぶ)』と名付ければ、両親の気分は『旧約聖書 創世記』の神様(創造者)気取りということになる。
しかし、皇帝だとか王子だとか天皇だとかもそうだが、あまりに現実生活の自分のスタンスや影響力とかけ離れた『絶大な権威+壮大な夢物語』に刺激された名づけをするのは、仮に子供が30歳で無職・貧困などの状態に陥ってしまった時に、名前だけが皇帝(シーザー)とか王子(プリンス)、貴族(アリスト)、黄金(ゴールド)とかだと余計に虚しいというか情けなくなるだけであるw
キラキラネームとは、子供に現実離れした英雄的・奇才的な可能性の期待だけを出生時に魔法のようにかけたい『言霊思想』であると同時に、漢字の意味から文化圏・言語圏を越えてあらゆる想像可能な珍しい読み方、意外な漢字と意味の結びつきを探っていく『(新規性・特別性を競う)連想ゲーム』になっているように感じる。
キラキラネームから、オーソドックスな日本人の名前への揺り戻しが起こってきていて、女の子にも昔ながらの『~子(優子とか景子とか)』の名づけが増えているともいうが、親のまともな子への愛情、子供の将来への想像力があれば、やはり極端に奇抜で意味的にもおかしなキラキラネームは控えたほうが良いのだろう。