妊娠を親に相談できる親子関係や家庭環境がなかったようだが、逆に何でも話せる家がなかった事で恋愛・性への依存が高まった背景も想定される。妊娠すれば出産か中絶かの選択が不可避との知識も必要だろう。
女子生徒に良好な親子関係、特に友達のように話せる母子関係があれば、妊娠して悩めば相談すると予測されるが、相談できない親にも「性観念や教育方針が厳格過ぎて相談できないタイプ(どうするかの冷静な相談ができず激昂するだけ)」と「子供放置のネグレクトのタイプ(子供が何していようが興味なし)」の違いはある。
性教育をして性行為をすれば妊娠の可能性があることを教えておけば足りるという問題でもなく、恐らくこの男女の高校生も最低限の性・妊娠の知識は持っていただろう。しかし現実には成人の既婚者でも避妊を怠ったり失敗しての妊娠・中絶はあり得るし、避妊の徹底度(性行為中の理性の高低)・妊娠しやすさの個人差も大きい。
高校生・大学生のカップルでも、今妊娠したら困るという双方の人生設計が具体的であったり、避妊なしのセックスはしない意識が高い者同士というのは、妊娠後の責任・生活・負担のリスクに過敏な為にやはり想定外の避妊の失敗や妊娠をしにくいが、慎重派(不決断派)がマジョリティになった育児コストの高い国は少子化が進む。
性教育というかリアリズムの知識として未成年者にも教えておくべきなのは、「正しい避妊法の徹底」と「妊娠した場合の社会的責任・経済的負担」だけではなく、避妊したつもりでいても失敗して妊娠する可能性があり、妊娠すれば逃げられず出産するか中絶するかの選択をしなければならないという事だろう。
現実社会にはあらゆる分野や問題において「逃げて耳をふさげばどうにかなる問題」と「逃げれば事態が悪化する問題」がある。妊娠は流産など想定外の妊娠周期の中断が自然に起こらない限り、臨月までの生理プロセスは止まらず胎児が成長する、逃げても無駄であり出産後に保護せず産み捨てにすれば犯罪者になる。
「逃げればどうにかなる問題」と「逃げれば事態が悪化する問題」の区別ができない人は、経済生活でも「税・社会保障・公共料金・罰金など不可避な支払い」から逃げればどうにかなると勘違いして多重債務や自己破産に陥る。「逃げれば問題が消えるのか・向き合って対処すれば解決できるのではないか」の想像力が肝だ。