大阪の小学6年生女児の焼死事件の再審:証拠不十分、推定無罪の原則採用で、実質無罪となる見通し

母の青木恵子さん(52)と内縁の夫の朴龍晧(ぼくたつひろ)さん(50)が生命保険金を目当てに小6の娘を放火し殺害したとされていた事件だが、証拠不十分と車庫の燃焼再現実験で実質的な無罪判決となる見通しである。

検察側、母への有罪主張も撤回 大阪・小6焼死再審

この事件はマスメディアでも取り上げられていたが、近代刑法における『推定無罪(疑わしきは罰せず)の原則』が最大限に適用された判例になる。検察側も各種の状況証拠から有罪を確信し起訴したが、決定的な物証を得られず弁護側の出した『車庫内の放火不可能性の再現実験』によって、不本意ながらも有罪主張を取り下げた。

近代刑法に基づく刑事訴訟のルール範囲内において、母親と内縁の夫は確かに無罪なのだが、『大阪小学6年生焼死事件』の真相が偶然のガソリン漏れによる引火事故というのも大半の人にとって信憑性は薄いだろう。この事件の不可解さは、小学生に対して高額な生命保険を掛け短期間で火災事故が起きた事にもある。

容疑者が状況証拠として疑われる背景になった要因に、『両親の経済的困窮と借金・小学生の高額生命保険加入・内縁の夫の義子への性的虐待疑惑と勤労意識の低さ』などがあるが、決定的な物証がなく自白が強要され、自分が火傷せずに車庫内に放火することが難しいという再現実験によって『実質の無罪判決』に至った事になる。

軽ワゴン車のガソリンタンクには、ガソリンを満タンまで入れると外に漏れ出る構造的欠陥があってそれが偶発的な車庫火災の引き金になったとも指摘されているが、この『再現実験の不十分さ』として気になるのは、容疑者の両親が『この構造的欠陥を知った上でぎりぎりまで給油していたとしたら』の想定がない事だろうか。

客観的な真相は明らかにしようがない面も多いが、どうにもすっきりしない裁判の帰結ではある。両親(義父)と子供との間に温かみや安らぎのある親子関係のプロセスが見えてこないところ、無罪判決をただ喜ぶ姿に、有罪無罪とは別の悲しみ・虚しさがあるのかもしれない。

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