感情表現の言葉の語彙が乏しくなる現代の子供たち:「キモい」「ウザい」「ヤバい」の3ワードのみ

“言語・数字”は知能の基盤だが『語彙・修辞・メタファー・長文』は子供に限らず大人も含め現代で減少傾向だ。大人でも非実利的な基礎教養や複雑な要旨の長文読解力は落ちた。

感情表現は「キモい」「ウザい」「ヤバい」3ワードのみ 子供たちのボキャ貧が深刻化

ボキャブラリー(語彙)の多さは読書・知識・文章構成の量によって裏打ちされるが、話し言葉だけでは『書き言葉・漢字表現・慣用句の語彙』は余り増えない。本・長文・詩を読まなくなり『話し言葉と書き言葉(エクリチュール)の差』が減った事もあり、多数派が言語表現の正確さ・複雑さを好まなくなった変化もある。

言語表現のレトリックは『言語による個性・心情の表現』で、自分の思考・感情をより精緻に、より印象的に表現したい動機を含む。だが今は技巧的なレトリックや想像力を求めるメタファー、ディープな自己表現は好まれない、『誰にでもわかる易しい表現・感覚の直な伝達や省略形・漢字を平仮名に開いた表記』が主流である。

叙情的・叙事的な文章にせよロジカルな論説にせよ、語彙の多さや文章表現の多様性を楽しむ人は『言語の意味・語感・語源などの想像力』が豊かで『言葉の官能・洗練に対する感度』がある。言葉だけでエキサイトできるタイプ。だが、ビジュアルでプラグマティックな現代は人文学・教養主義(ことばの官能)の衰退期でもある。

『キモい・ウザい・ヤバい』といった感覚的な言語は、内面・状況の言語化が不十分とも言えるが、こういった言葉のコミュニケーションは基本的には『正確な自己表現・複雑な心情の伝達』などを目的にしておらず、大まかに『好き嫌い・快感と不快・感情の激しさ・許容と拒絶』を伝えて共感しようとするものである。

現代では『誰がいつどこで何をしてどうなって何を伝えたいか』…をきちんとまとまった文章で書く人は減り、『内輪向けの省略の多い文+大まかに快感と不快(OKとNG)の区別を伝えるキモい・ウザい・ヤバい系の単語』が増えた傾向はあるかも。言葉よりも感覚・好悪・見た目・実利を優先して、あれこれと言語表現の工夫にリソースを割くのが無駄に感じる等も影響するだろう。

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