男は名前をつけて保存し『過去の女』も思い出し、女は上書き保存し『今の男・家庭』しか考えないという傾向は、産む性(庇護される性)である女性の男性との関わりの歴史から進化心理学的な説明はつくが、現代では内心の個人差は大きいかも。
若い時期の恋愛で別れる時、男性心理では『女は上書き保存=情が薄くて冷たい』となりやすいが、それは若い時期の男女の性的魅力の非対称性だろう。若い女性はどこかしらで男性が寄ってきやすく、別れても次の恋人候補の当てがあったり、プライドを示して自分を苦しめた相手を絶縁・無視しても実質的に困りにくい。
進化心理学的には女性は子供を産んで今の生活に必死に適応しなければならないこと、独占欲の強い男に扶養・庇護を受けてきた歴史が、『上書き保存(一途さを示す有利・自分の人生選択への納得とコミット)』の心理傾向に影響を与えた可能性がある。思春期的な心理・情緒・言葉の恋愛でなく生活・育児の絡むリアリズムである。
『名前をつけて保存』で過去の男性を思い出したり語ったりすることが、女性に皆無なわけではないが、『今の夫(彼氏)・子供・家庭』が既にある場合、女性にとって『名前をつけて保存』することや表現して今の男に知らせる現実的なメリットはゼロかマイナスである。男性の『名前をつけて保存』は感情が伴わないケースも多い。
過去の相手と直接関わりたい感情を伴わない男の『名前をつけて保存』は、男性心理に多い観念化(表象・情報の想起)やカタログ化等と関係したもので、『それぞれの個別の特徴・こんな人がいてこんな事があった』の客観ステータスの一覧のようなもので、女性的な男女関係を通した人生のリアリズムとジャンルが異なる。
女性も好きな芸能人とかイケメンについて、恋人・夫に色々語って意見を求めたがる人もいるのであくまで傾向で、夫婦・カップルでも『目の前の相手ではない好みの異性像・嗜好や考え』をあれこれ論じ合うこともあるだろう。まぁ今現在の関係や人生、将来展望が満たされているかで、ご都合主義に変わる所もある。
過去の異性を別名保存で覚えているかどうかの男女心理の違いの根本原因には、女性はそもそも『男性そのものへの欲望』よりも『男性との関係や協力を通した家庭形成・生計維持・子孫繁栄』に進化的に重点があったので、仮に男性がいなくなっても(子供・生活に目処がつけば)状況適応して心を整理しやすい事があるだろう。
男性の別名保存だとか未練がましさ(執着・ストーカー化)などの根本原因には、女性の反対で『女性そのものへの欲望=性・優しさ・癒し・世話・マザコンなどの欲望』が影響する。女性より相対的に『今までいた女がいなくなった状況』に弱く、子供・経済生活だけで満足しにくく、男同士のコミュニティもないことがある。
男でも女でもそれぞれ例外はいくらでもあるし、女性でも結婚後にその相手・生活に不平不満が多くなれば『もっと良い男性に色々好かれて付き合っていたのになぜこの人を選んだのか的な愚痴』をぶつけることもあるわけで、あくまで『今現在の自分の主観的な納得度・満足度・コミットメントの責任感(相手への配慮)』などに左右される向きもある。