中国は尖閣諸島に本気の領土的野心を持っているのか?:軍事規模の維持圧力と中国の台湾海峡問題・一つの中国論

中国の海洋政策の『核心的利益論』は国内向けの中国強大化のプロパガンダだから、日中米の現在の相互利益の関係を捨てるリスクを取って尖閣諸島を力で奪いに来る事はなく見返りが乏しい。

中国は尖閣を狙わない。安倍官邸が捏造した「島嶼防衛論」の大嘘

『北朝鮮難民論・島嶼防衛論・中国脅威論・北朝鮮のミサイルと核の問題』はそれぞれ異なる安全保障上のリスクとされるが、いずれも『日本の領土の直接支配』を目的としたものではない。仮に目的にしても日本の国力・民族性と日米同盟に対し、中国・北朝鮮が一方的に日本領土の侵略を長期維持することは不可能だろう。

米ソ冷戦構造の終結によって『北海道の陸自の余剰人員問題』が出たというのは、『軍事力規模の権益化・前提化の問題』であり、必要以上の軍事力を抱えている場合には『その軍事力の必要性を納得させるためのリスク・シナリオ』が政権や軍部(自衛隊)から考案されることが多い。可能性の論は幾つでも思いつける。

米国のような軍産複合体や中国・北朝鮮のような党・軍の一体化(軍の政権基盤)があれば、更に『軍事規模の現状維持・拡大,軍事的なリスクやシナリオへのコミット』以外の選択は乏しくなる。国政・政府・軍事予算に対する軍幹部の発言力も非常に強くなる。拡大した軍事力を縮小することは民主主義国家でも簡単ではない。

中国の海軍力増強の最大の理由は『台湾海峡問題・一つの中国論の維持拡大』であり、仮想敵は基本的には台湾を支持するアメリカであったが、現在の米中関係は悪くなく相互利益の貿易規模が拡大しすぎたために、直接の武力衝突は今後も起こらないだろう。台湾も中国を挑発する独立宣言には消極的で宥和的な政治家が増えた。

米ソ冷戦構造はソ連経済が米国経済と切り離された『社会主義の閉じた計画経済・集団生産体制』であったため、軍事リスクは米中より高かったが、それでもソ連は米国との直接の衝突は回避した。代理戦争以外は『鉄のカーテン』の陰で謀略を巡らす冷たい戦争に徹していたが、中国はソ連と違いマルクス主義の教条性も殆どない。

中国はどちらかというと領土的拡張論では、台湾の独立と香港の一国二制度の堅持(香港の自治の強さ)に対して神経を尖らせていて、更に一人っ子政策と急速な近代化・都市化によって『日本を超える超高齢化問題の波』が襲いかかろうとしている。中長期的に外地侵略の余裕はなく、超高齢化社会に突入した日本も経済・財政・社保のリスクのほうが外敵よりも大きくなっている。

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