習近平の中国における権力拡大と腐敗叩きによる人気、 オウム真理教事件(1995年)についての回顧・雑感

○習近平は中国では「反腐敗」で大衆人気が高いとされるが、毛沢東以来の「習近平思想の内容」は「毛沢東の文化大革命(金儲け否定)・トウ小平の改革開放(金儲け解禁)」を転換させるものか。

「習近平思想」を憲法に明記へ 中国共産党2中全会閉幕 (朝日新聞デジタル – 01月19日 21:14) http://mixi.at/a1Vde2I

中国共産党は毛沢東独裁の惨劇からの反省で、個人崇拝の独裁ができない政治システムに変更されているので、習近平が北朝鮮の金正恩レベルの側近の死刑さえ即決できる独裁者になることは不可能だろう。「集団指導体制・共産党席次トップ7の合議制」なので、江沢民や胡錦涛らが習近平に絶対服従なわけでもないが。

ニュースで、党大会における習近平の政治思想演説が3時間以上に及び、会場では居眠りやあくびをする党員も多かったとあるので、習近平の演説中は緊張して集中していなければならないレベルの独裁者として周囲が恐れているというわけでもないが、結局「江沢民・曽慶紅の腐敗勢力との戦い」の方向性がある。

習近平が中国を米国を追い抜く世界一の強盛国家にしようという目標を持っていることは確かだが、それは中国共産党・中華民族の元々の理念・目標に過ぎない。習近平は自分を今の地位に導いてくれた先輩・恩人の江沢民・曽慶紅に対して遠慮せず「旧勢力の賄賂汚職・口利き」を潰す動きに出たが、正論に地位・世論が伴うため強い。

「新時代の中国の特色ある社会主義」というのは、トウ小平の改革開放路線にも似ている。トウ小平は、毛沢東の原理主義的な社会主義・平等主義を貫徹して人民を経済的に虐待し続けるならば中国に「未来はない」として「先富論」を説き、才覚がある者は先に豊かになれとアジテートしたが、それが政治と商人が結託する腐敗を呼んだ。

習近平はおそらく「現在の中国の官吏腐敗・共産党幹部腐敗・格差拡大」を放置するならば、いくら中国が経済的・軍事的に大国化を続けようと内部の体制批判によって中国共産党の一党体制が永続しないことを予測している。「反腐敗運動」というのは、中国人民が中国共産党の腐敗不正に限界まで怒っていることが前提にある。

○オウム真理教事件からもう23年も経ち、オウム事件の概略・麻原彰晃(松本智津夫)や上祐史浩などを知らない若い世代も多いだろう。麻原は早発性認知症のピック病と報じられた時期もあったが、言語の意思疎通もほとんどできないまま、死刑を執行されてしまった。

オウム真理教事件は「挫折したプライドの高い学歴エリート・社会に疑問を抱いた専門職者」を、ルサンチマンの塊の麻原が寄せ集めて作った妄想的なミニチュア国家建設の果てに起こった事件でもあった。既存の社会体制では得られない地位や特権待遇、宗教権威、異性等を幹部に与え忠誠を誓わせる俗物な似非宗教の手管もあった。

地下鉄サリン事件は、信者に家族も財産もすべてを捨てさせるために説いた「終末思想・仮想敵の演出」が行き過ぎ、引くに引けなくなって起こした面もある。日本やアメリカなど国家から毒ガス攻撃で迫害されている、終末の日が迫っていていずれ人類は滅亡するが、オウム信者だけは生き残るとかいった荒唐無稽なお話もあったりした。無論、洗脳のために違法な監禁・薬物が利用される犯罪も多く起こっていた。

しかし1995年の時代は「日本のバブル景気崩壊・護送船団方式の崩壊・戦後初の長期不況」が起こり、日本人が信じていた「真面目に勉強して真面目に働けば豊かになれる・優秀な高学歴者はいずれ企業や社会の指導的地位に就く」などが揺らいだ時期で、そこに阪神淡路大震災が重なって人心が陰に傾いた。

オカルト業界では、1999年の「ノストラダムスの大予言・終末思想」も注目されていて、マガジンでそんな予言を分析する漫画も連載されていた。今でこそ「世界・人類が破滅する終末思想のカウントダウン」などは馬鹿げたオカルトの迷信に過ぎないが、当時はそれなりに1999年到来に特別な人類終焉や破滅的な出来事を含めた意味合いを求める人も多かったのだろう。

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