○川崎市無差別殺傷の岩崎隆一容疑者の動機の根本は大きく分ければ「子供時代に離婚した両親双方から預かりを拒否され、親戚宅で実子と差別待遇を受けたこと」と「PCもスマホも持たず現代社会から物理的だけでなく電子的にも徹底的に孤立してたこと」に行き着くか。家宅捜索で情報端末を一台も所有していなかったらしいが。
岩崎容疑者本人に最終責任があり許されない犯罪だが、「思春期からの自己存在の徹底否定・親からの見捨てられ体験・友人も恋人もネットの知人もゼロ・従兄弟等との差別待遇・社会適応する能力と前提の欠如・PCやスマホの不所持(ネット未利用)・ひきこもり扱い」等を合せて考えると正常な精神を維持しづらい要因は多い。
そういった運命や境遇、巡り合わせも含め自己責任で、どんなに辛くて苦しくても他人に八つ当たりせずに自己対応するしかないシビアな社会的・対人的な現実は勿論あるが、「約50年にわたる徹底的孤立・愛情と承認と快の断絶(親から早くに捨てられ親戚からも厄介視され差別待遇される)」というのは特殊・悲惨ではある。
もっとシビアな境遇にも耐え、自らの人生を打ち立てた人はいるが、この岩崎容疑者にはその能力・意志・ストレス耐性・コミュ力が無かった。30代前半くらいまでは、未経験で多少不器用でも、周囲の人に恵まれれば親切に仕事を教えてくれる人もいるが、中高年期以降に未経験・無愛想・不器用・生意気だと行き場を失う。
先日の報道で同居していた伯父伯母とは一切口を聞かないようにルール設定した特異な生活を長く続けていて、同居親族といっても岩崎容疑者との直接の対話は皆無、介護に絡むひきこもり相談で「俺はひきこもりではない」の反論を受けただけのようだ。伯父伯母の親戚筋の子供にカリタス小学校に通っている子がいるという。
岩崎容疑者と伯父伯母の子(従兄弟)との間に、傍目からも分かる差別待遇があった話をしている人もいたが、岩崎容疑者は学歴は恐らく中卒と思われるが、それが学力不足・本人の希望によるのか、学費・家庭の事情によるのかは分からない。ただ一部報道では、親戚筋の子は名門私立とされるカリタス学園に通っていたようだ。
周辺に多く小中学校がある中で、なぜカリタス学園を狙ったのかの動機の一端として、冷遇・差別を感じていた伯父宅にて、その子か周辺の親戚の子がカリタス学園に進学していたことも間接的に関係があるのだろう。伯父伯母との仲も悪かったのだろうが、「拡大自殺・親戚への意趣返し・社会憎悪」の面から考えられる事件だろう。
○川崎市殺傷事件の岩崎容疑者に対する「一人で死ね」という意見・断罪(切り捨て)が問題になっているが、無差別事件を引き起こす人は、親も含めた他者からずっと切り捨てられ続けてきた(愛情・承認・称賛がほぼない)人生が多く、「社会・他者との実際的・心理的な絆」が完全に切れている。包摂の具体案が求められる。
思い通りにならないのが人生、良いことばかりの人生などないの現実原則はあるが、秋葉原事件の加藤智大死刑囚にしても、この川崎無差別殺傷の岩崎にしても「親の愛情の欠落(条件つき愛情・両親共に拒絶)」がやはり性格形成過程において深刻なダメージとなり、その後の人生でも不遇感・疎外感・社会敵視をこじらせていた。
長期ひきこもりで親戚宅にお金がないもあるのだろうが、岩崎容疑者はもしかしたら「インターネット自体・スマホ自体に触れたことがない(最低限の操作方法も分からない)」のかもしれず、本人の無収入状況が根本原因とはいえ、「現代社会からの対人的・技術的・経験的な取り残され感」で更に現実感を失調してそうだ。
○放火癖 (pyromania)は「燃えている状況を見る安心・満足・すっきり(清算感)」を得るために、放火衝動を制御できない心理的問題だが、「炎を見る満足」自体はある程度まで一般性があるともされる。
連続不審火、小6女児を送致「学校でのストレスを発散」 (朝日新聞デジタル – 05月29日 21:12) http://mixi.at/a8xihCp
小学6年生の連続放火の放火癖は、殺傷目的ではなく精神的ストレスの代替的解消だろうが、「いったん放火で気持ちが落ち着くという学習」をしてしまうと、その快感・満足を得るための条件づけの解除が大変だろう。放火癖は燃えて形あるものが消え去ることに「鬱積したストレスの解体」のメタファーが働くとも解釈できるが。
「火事と喧嘩は江戸の華」や「近世以前の戦争の焼き討ち(部族戦争時代から焼き討ちの興奮はある)・焦土作戦」ではないが、人間は「燃え盛る炎・火事や焼き討ち」などを見ていると精神的に高ぶったり興奮してくる人たちが昔から少なからずいたのではないか(何らかの生存淘汰のメリットがあったかも)とは言われている。
放火とは別種の炎や光の安らぎもあり、キャンプファイヤーやキャンドルの炎を見るのが好きな人は多い。エンターテイメントとしてサーカスで炎の輪を燃やしたり、大量の花火を打ち上げたり、映画で派手な爆発・炎上シーンを作ったりというのも、「燃えている炎を見て感情的・感覚的に人が何かを感じる」からではある。
○「親の育児放棄・愛情剥奪・承認不全・能力欠如・学歴職歴なし」など無数のマイナス要素が鬱積し続けて50代に至ったとすれば、自力でも他力でも心理的社会的に立ち直るハードルは高くなる。
児童襲撃の容疑者「引きこもり傾向」=親族が市に相談、接触はせず-川崎 (時事通信社 – 05月29日 18:31) http://mixi.at/a8xRW3O
ひきこもりだから犯罪を犯したというより、数十年もひきこもらざるを得ないほどに「社会適応・対人コミュニケーション・状況認知・ストレス耐性・自己イメージ形成などの能力」が極端に低く、社会・仕事・他者・異性などから承認されて適応する(居場所を作る)足がかりさえ掴めなかった人なのかもしれない。
人がハイレベルの健康な心身と前向きな社会適応・人間関係を維持するためには、「お金を稼ぐ・仕事や役割をこなす・地位を築く・私的コミュニケーション・仲間作り・談笑する・恋愛(異性と戯れる)・セックス・結婚・子育て・好かれる・尊敬される・遊ぶ・勉強や向上・人生設計」などを複数満たす必要があるが簡単ではない。
人の外見・能力・資質・コミュ力・体力・魅力などの個人差は大きいが、基本的にクリアが簡単ではない上記の人生や職業、趣味、異性関係、教養などの課題を常にいくつかはこなしていないと、心身・意識に曇りや陰り、落ち込み、怒り、恨みが生じやすくなる。「明朗心・共感性」を維持する条件を自分なりに満たすことが大切だ。
○川崎市無差別殺傷事件の岩崎隆一のニュースを読みながら、偶然「東大王のクイズ」で鈴木光さんという美少女系クイズ王を見かけた。検索すると東大・クイズ業界では有名な女性で実家も金持ちw…こういった外見・学歴・コミュ・知性・家柄など何重にも揃った人が増え、岩崎容疑者に限らず現代の格差・明暗は目が眩んでしまう。
「明るき場所」と「暗き場所」のコントラスト、鈴木光さんのような人には幾何級数的に賛辞・期待・評価が集積する一方、「暗き場所」では好意的な関心・視線の一つも届きづらい。人の個体差・運命差、メディア社会でシビアさを増す。
しかし、どういった場所や人物に意識・関心・好意・支援を向けるのかにおいて、人は残酷で「本当に助けや支えが必要な暗き場所で苦しんでいる人」には意識や応援を向けず、「これ以上の賛辞や応援をもらっても仕方ない人気者・実力者」にこれでもかの意識・支援が降り注ぐ。明から暗への転落はあれど、人は明を好む。
https://bunshun.jp/articles/-/8630
見た目の好みはそれぞれだろうが、一見してインテリジェンスの高さを感じさせる風貌にも見える。クイズを何問かやってみたが、問題の先読み能力が相当に高く、ムンクの「叫び」シリーズで僕は勇み足で終わったが、「不安」「絶望」を見通していた。
最後の世界遺産の問題ではGoogleアースの地球儀でヨーロッパ・北アフリカ全体を指している段階で、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会を当てていたが、まったく何も分からなかったwクイズ王はトレーニングの結果もあるが、数学的問題も含め地頭と発想力がないと無理…事件報道を読んで気分が落ちたが。
○桜田義孝前五輪相が「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むように~」と発言し叩かれていた。現代の少子化は「本当に自分が産みたくないと産まない」と「労働力・納税者として期待され過ぎると産まない(子孫世代の雇用・稼得・年金のシビア化)」が前提である。