リベンジポルノ問題も提起した残酷かつ卑劣なストーカー殺人事件だったが、無期ではない懲役22年は元交際相手という要素もあるのだろう。『男女間の痴情の縺れ・未練と執着』への対処の仕方は未成年では難しい部分もある。
『相手の執着心・嫉妬心・攻撃性の度合い』を見誤れば、ストーカー殺人までいかなくても別れ際のトラブルは免れない。恋愛が上手くいっている間は、執着や嫉妬も『愛情・誠実』と誤解されるが、相手と別れたい時には『話し合いや常識が通用しない執着心・独占欲』は時に狂気的なしがみつきや加害性に変質し得る。
男は女と恋愛感情ありきの肉体関係を持つと、割り切った関係でもない限り、一定の『所有感覚・独占欲』を持ちやすく、『別離や自分以外の男との関係』に嫉妬や苦悩を抱くものだが、『ダメなものはダメと最終的に諦められる性格・嫉妬を悪意とリンクさせない潔い性格』かどうかという見極めは困難な部分もある。
三鷹ストーカー殺人事件の池永チャールズ・トーマス被告と弁護士は、幼少期から虐待を受け続けてきた影響を情状酌量の理由として上げている。これが懲役22年の減刑の理由にはならないと思うが、虐待やACの要素が『他者へのしがみつき・見捨てられ不安による独占欲』を強めた可能性はあるかもしれない。
『絶対に離れたくない・ずっと一緒にいたい』等は、一般的な恋愛関係でも確認し合うことがある感情の範疇ではあるが、そこには暗黙の了解として『お互いの同意がある限り』という裏書きが為されている。ストーカーになる人の場合、『過去にした約束や愛情確認=未来永劫にわたり有効・取消し不能』という認知の偏りはある。
気の多い人や熱しやすく冷めやすい人は、特に10代のような若い時期の恋愛感情では、『相手の執着心・嫉妬・未練』を甘く見積って、自分の決断一つで関係をすぐに抹消できると過信する。だが経験を重ねるにつれ『相手を熱くさせ過ぎる事の副作用』に想像力が及ぶようになり、ストーカー化を回避する対応にもつながる。