閉鎖的環境で異常な命令を強制するサディスティック(嗜虐的)な犯罪者の多くは、『被害者家族間の協力』をさせない為に『相互の罵倒・暴力・懲罰』をけし掛けた上で、自分が『争いと罰則の裁定者』の立場に立って支配することが多い。自分自身の手は汚さずに、被害者同士で争わせて罵倒の応酬や殴り合いをさせて、正常な倫理観や判断力を麻痺させていくという意味ではかなり卑劣で悪質である。
北九州一家殺人事件の松永太、尼崎監禁殺人事件の角田美代子なども、『家族間・夫婦間での罵倒・殴り合い』をさせて、『集団のルールを守らなかった為の罰則(電気ショック・殴打・不眠・排泄の制限等)』を自分ではなく被害者の誰かに代わりに実行させている。
『暴行・虐待の秘密』を共有する共犯者としての罪悪感を被害者の家族にも植え付け、警察に通報できないような気持ちにさせることで事件の発覚を遅らせることができたとされる。 福岡県筑後市のリサイクルショップの事件でも、夫婦の仲を割いて、夫に暴力を振るう冷水栄江容疑者だけの待遇を良くして、自分たちの仲間のように扱うことで洗脳(言うことを聞かざるを得ない心理状態)を深めていたようである。
『分断して統治せよ』という国家レベルでの人心操作術を、閉鎖的な一つの家(建物)の内部で冷酷かつ陰湿な手段(家族間の疑心暗鬼・信頼崩壊)によってやってしまう型の凶悪犯罪。松永太・緒方純子と中尾知佐・伸也では男女の主導権の持ち方は逆転しているが、『雇用主と被用者の関係』を利用した構図は類似している。
自分の個人事業に住み込みで雇い入れた立場の弱い被用者に対し、外部との連絡をシャットアウトした上で、『仕事上の指導・注意』と称した恫喝・体罰・虐待の傷害を継続的に加え自尊心・抵抗力を折って洗脳した。主犯はサディスティックな反社会性人格障害だが、配偶者・協力者・被害者を選ぶ動物的嗅覚の鋭さは恐ろしい。