LINEのIPOがIT関連株に与える影響は大きい。上場見送りのニュースとアメリカのシリア空爆、ダウ平均株価の下落が重なった事で、今日の日本市場は軒並み下落傾向を示した。メールを代替する勢いのLINEの潜在成長力が注目される。
LINEとアリババは同じITでも業種が全く違うために単純比較できないが、アリババとの競合性がある企業は『楽天・アマゾン』などのネットを介した物販サイトになるだろう。10億人以上のネットユーザーが誕生する可能性を秘める中国には、まだまだ広大な『ネット通販の潜在顧客のフロンティア』が眠っていると見ることもできるし、アリババが推し進めてきた『B2B(企業間取引)のネット仲介事業』も順調に成長している市場である。
アリババは巨額IPOの規模だけで、現時点でアマゾンを凌駕する時価総額となった巨人だが、日本人でアリババを利用する企業や個人は殆どいないため、 実際の企業間取引や消費生活、サービス改善に与えるインパクトがわかりにくい。ジャック・マーは孫正義から20億円を半ば強引に融資されるなど面白いエピソードもあるが、孫正義はこの投資によって20億円が約8兆円の価値にまで成長したという。
LINEは日本ではかなり普及率の高いコミュニケーション・アプリで、『スタンプ+ソーシャルゲームの課金』をした経験を持つユーザーが増加している事から、潜在成長力の中身をユーザー数の伸び・人気サービスの利用実態から概ね推測可能ではある。
LINEがIPOする環境が整っているかどうかは、日経平均株価は官製相場で好況ではあるが、いつアベノミクスの金融緩和効果やバブルの上場気分が崩れるか分からない足元の弱さは常にある。今日も国際ニュースで地合いは一気に悪化。LINEも上場して暫くはブランドとイメージが先行するバブル株になりやすいと見るが、アリババと同じようにいったん高値をつけた後はある程度の水準まで落ちてしまうかもしれない。