自民党の派閥政治にも『党内の多様性・偏りを修正するバランサー・反対意見の部分統合』等の役割があったが、石破茂地方相の水月会含め今の自民の派閥は安倍政権の理念継承勢力の分散に過ぎない観が強い。
石破茂氏は『地域振興的な農政族』と『国権主義的な外交・安保族』という二つの顔を持ち、石破氏本人が政治家生命を賭けたいのは安保体制改革だが、基本的には安倍晋三首相と近しい国家観・国防観を持つ。マイルドでトーンを抑えた口調とは裏腹に、アンチ自由・民族主義的な「たちあがれ日本」への共感等の懸念もある。
石破茂氏の安全保障政策の中心は『集団的自衛権』を追い風とする『自衛隊の機動的活用(禁止事項以外フリーに動かせるネガティブリスト運用)』であるが、国家観・歴史観については『靖国神社・A級戦犯合祀の反対(戦犯分祀案)』『愛国心の国策的教育の反対』など自らを極端な民族右派と見えないようにする強かさも持つ。
言論の過激性をできるだけ排し、『民意の動静・思想信条のバランス・リアリズムの着地点』を探るという意味では石破茂氏はストラテジストの政治家として有能で、今まで政治家キャリアで失言・失策で責任追及された事が少ない。『デモの軽視・拒絶+議会制の絶対視』も制度的なデモクラシーやリアリズムを重視する現れか。
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