ベラルーシの女性作家スベトラーナ・アレクシエービッチがノーベル文学賞受賞,シリア戦争の激化

ベラルーシのジャーナリスト作家・スベトラーナ・アレクシエービッチの作品は未読だが、『第二次世界大戦の女性・ソ連占領下のアフガン・チェルノブイリ原発事故』など歴史的な重要事件を題材にした骨太なノンフィクション作品を描く。

ノーベル文学賞、ベラルーシのS・アレクシエービッチ氏に

フィクションで個人の心象風景を精細に描写する作品が好きな村上春樹、ノンフィクションで社会的・歴史的な大事件を分析し世に訴えるアレクシエービッチは、良くも悪くも完全に対照的な作家だと感じる。小説の面白さを抜きにして、より社会的インパクトがある作品という意味では、アレクシエービッチに軍配が上がるか。

しかし日本人で、スベトラーナ・アレクシエービッチの作品を読んだ人は殆どいないのではないかと思う。Amazonで検索すると日本語で読めるのは『チェルノブイリの祈り』『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』だが在庫がないものが多い。

シリア・イラク・アフガンなど中東紛争国は、人民解放を盾にアサドのような独裁者を欧米が力で排除しても『個人の意識・話し合う市民社会』の基盤がない。独裁・外圧と部族・宗教の派閥の力比べに陥る。

ロシア参戦で難民はさらに増える シリアは「地獄」化の恐れ

『欧米の有志連合+シリア自由軍(反アサド勢力)』と『ロシア+アサド政権』の代理戦争の外観を呈すが、そこに反アサド勢力も含むISIS(イスラム国)が加わって、漁夫の利を掠めて勢力拡大する危うさがある。アサド支援のロシアの空爆は、クリミア問題における欧米への意趣返しもあるが不毛な争いを長期化させる。

人権・自由・民主主義(反独裁)を尊重する勢力とそうでない勢力に二分して理解する単純な図式化ができなくなっている。欧米の主張する正義(独裁排除と民主主義の理想)とロシア・アサドの主張する正義(シリアでは強権による即時の秩序回復が必要の現実味)のどちらにも一理あるといえばある。

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