現代日本において『高齢者・赤ちゃん』を支える力を失う家族:『高齢・貧困・病気・災害』のリスク

高齢で身体障害の姉を、『自宅・財産・仕事』を失った自分がホームレスで放浪している弟が面倒を見る事はできないが、ギリギリの家族内介護は加齢・病気・失業・災害で脆くも崩壊してしまう。

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中年期までは家族内に社会的弱者が寄り集まっていても、何とか喧嘩・衝突はあっても相互扶助で乗り切っていくことができるが、60?70代以上で経済面だけではなく健康・体力面で衰えて日常生活も億劫になると、家族内だけで弱ってきた人の介護をし面倒を見るのは非常にシビアだ。困窮と疲労で精神的にも折れやすくなる。

超高齢化社会と格差と貧困が行き着く恐れのある、この種の『弱った配偶者・親族などを見捨ててしまう事件・事故』は、誰もが他人事として見ていられる種類の事件ではない。よほどの財力か互助ネットワークがない限り『高齢・貧困・病気・孤立・うつ(メンタル悪化)』の幾つかが重複すれば強気な人もそうそう耐えられない。

高齢者とか赤ちゃんとかを面倒を見きれない心身・経済の状態になった時に、山中に置き去りにしたり室内に放置したり無理心中するのではなく、『まず誰かに助けを求める・警察救急でも役所でも電話して対応を仰ぐ』のが常識的判断だが、長期にわたって社会的孤立にある家族は外部社会のリソースが頭に浮かばなくなっている。

日本のような世間体の強い先進国では、貧困・弱者になったことを『恥・自尊心の傷つき』と認識する人が多く、貧しくなればなるほど(体裁・身なりがみすぼらしくなればなるほど)社会・他者から遠ざかり孤立する人が殆どだ。『困っていること・苦しんでいることを相談できる空気』が日本社会にないのも問題だろう。

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