“iPhone 8”にはサムスンの有機ELディスプレイを採用か。シャープの『最先端技術の液晶』の苦戦が続く。

液晶と有機ELのパネルでは有機物が直接光る有機ELはLED光源が不要なので「薄型化・省電力・曲げやすさ」等で有利だ。だが有機ELの供給では韓国のサムスンとLGが量産設備を持っているため、日本のシャープやジャパンディスプレイは質量共に対抗が難しい。

「iPhone 8」は有機EL採用? 日経報道

iPhoneはAndroid端末よりも世界シェアは低いが、Androidで最も売れていて出荷台数ではiPhoneを超えるサムスンのGalaxyは既に有機ELパネルだ。年間出荷台数2億台のiPhoneを有機ELに変更させ販売できればLGよりスマホ市場では優位なサムスンが莫大な利益を上げる可能性がある。

開発年代の経緯から有機ELは液晶に次ぐ次世代パネルとして、巨額コストをかけて開発された。日本企業は有機ELの実用化と量産体制のコストを惜しんで(しばらくは液晶との性能差も小さいとして)、サムスンとの直接対決を回避した…有機ELの弱点は経年劣化が液晶より早い、ここが改善されると液晶市場は縮小する。

液晶ブランド構築に選択と集中をしたシャープは、更に危機的状況になりそうだが、IGZOの省エネ性能(連続点灯時間の長さ)は現状では有機ELよりも優れている。問題はいくら技術的に幾つかの比較項目で優れていても、その液晶をAppleのようなグローバル企業が数千万点以上の単位でオーダーしてくれるかである。

サムスンはスマホ向け有機ELでは、既に9割という磐石のシェアを誇っているが、テレビ向け有機ELのシェアで優位のLGは、1000億円以上の設備投資をApple向けに即座に決断している。日本企業ではジャパンディスプレイが有機ELの技術開発の投資配分を上積みして有機ELの技術力でサムスンに対抗するようだ。

シャープは「液晶の次は液晶」というスローガンまで掲げて、世界トップの液晶技術に社の命運を賭けすぎたが、それがことごとく裏目に出てしまい、内向き志向の亀山ブランド等が世界市場では全く奏功しなかった。技術トレンドの移り変わりが急速であり、あれほどの好決算を出し続けたシャープが売り手を見つけづらくなった。

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