丸山和也議員の『オバマ大統領は奴隷(の子孫)』の失言の真意はどこにあったのか?

丸山和也議員の発言の主旨は『旧奴隷の子孫でも大統領になれる』という米国の人種差別撤廃の歴史と人種構成の変化を礼賛するものだが、アメリカの黒人が皆、過去に奴隷であったような『歴史事実の誤認』が根底にあったのだろう。

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丸山議員はオバマ大統領の出自・祖先について米国の旧奴隷身分だと誤解しているが、言いたかったのは『過去に差別されていた黒人(非白人)でも大統領・議員になれる』とか『白人が支配層を形成していた米国の権力構造が大きく変化して有色人種の有力者(人口)が増えている』とかいう事なのだろう。

『日本が米国の第51州になる夢』について語る文脈で丸山議員は、『黒人のオバマ大統領は奴隷ですよ、はっきり言って』とか『建国時に黒人・奴隷がアメリカの大統領になるとは考えもしない』と言っている。単純に『黒人=昔は全員が白人に屈した自由・公民権のない奴隷』という誤った歴史認識を持っていたのだろう。

丸山議員は人口1億3千万の日本がアメリカの第51州となって参政権を行使すれば、『アメリカの中央政府』に日本州出身の上下院の数十名の議員が大きな影響力を振るえるとし、遂に日本人の合衆国大統領が国際政治を裁断するという『旧ローマ帝国の属領出身の奴隷皇帝』のような壮大な妄想夢を見ていらしたようだ…w

丸山議員は黒人蔑視の人種差別主義者ではないと思うが『白人至上主義・アメリカのユニラテラリズムとスーパーパワー論』に強い影響を受けた人で、『白人(米国)が有色人種(日本)を差別・格下扱いしてきた歴史の逆転』という歴史物語のロマンスに陶酔しやすく、端的には権力志向(力の所有にこだわる気質)なのだろう。

丸山議員の問題は『歴史認識が平板・大雑把すぎる』『黒人・黄色人種が白人に奴隷的に支配・差別されたというステレオタイプの影響』にある。黒人=奴隷でも白人が支配していた国で権力を握れるアメリカなら、日本人も米国市民になれば大統領になれるという例に黒人のオバマ大統領が使われたが、事実認識が間違っていた。

何というか、丸山議員のこの発言は日本人の多くが無意識的に持っている『白人コンプレックス・日本人の人種的な優劣感(白人よりは劣るが黒人・他の黄色人種より日本人は歴史的・政治的・知的に有能なのだ,日本人=名誉白人)』を意図せずして漏出したもので、恥ずかしいといえば恥ずかしい発言ではあるかもしれない。

東アジアの歴史認識問題やナショナルな対立というものの背景の一つとして、日本人の持つ黄色人種の中での自己特別視(他のアジア人と私たちは違う・明治の脱亜入欧を経由した日本人は白人に近い先進的な人種で中国・韓国等のアジア人より優秀)』があり、そこが鼻持ちならないと思われやすい所はある。

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