熊本地震の被災地のインフラ復旧が進む:車中泊によるエコノミークラス症候群の問題

ライフラインの要の電気が復旧して良かったが、被災地では『ストレス・不便の多い避難所生活』が当面続く。ガス・水道は管の損傷具合によって復旧が難しそうだが、清潔な水が出るだけで生活はかなり改善する。

熊本全域で電気復旧 ガス・水道は一部停止続く

飲料水、生活用水を全てペットボトルや給水タンクに頼らなければならない生活は相当に不便。水の残量を常に気にしておかなければならず必要なだけの水を思い切って使えない。下水道・水洗トイレが使用できないストレスも大きい。汲取りではない一般トイレで水が流せないと臭気に弱い人は使いづらく体調悪化の原因にもなる。

水が流せないトイレ施設は実質的にトイレとしての使用価値がすぐなくなるが、携帯トイレも慣れてないと使いづらく『人目を避ける場所・廃棄の場所』も必要だ。男性なら少し離れた屋外で用足しもできるが、汚物と距離を置く文明生活に慣れた現代人にとってトイレ外での排泄そのものがストレス、トイレの機能化は優先度が高い。

電気・水道・ガス・トイレは、現代の文明生活にとっては24時間いつでも使えて当たり前の公共インフラでありライフラインであるが、それが数日でも完全に遮断されると心身の調子を崩す人が出やすくなる。当たり前の日常生活の背後に、止まることのないインフラがあるが、震災や避難所はその必須性を改めて浮き彫りにする。

震災被害の急性ストレス反応(自律神経系から循環器・呼吸器の異常)、車中泊のエコノミークラス症候群は致命的疾患になる危険がある。避難所生活のストレスの影響や持病悪化、遅れて発症するPTSDも懸念される。

<熊本地震>避難者、体調悪化続出 早急な対策必要

一番の効果的な対策は臨時の住まいの準備(近隣の空き物件の活用含め)、早期の仮設住宅建設によって、『プライバシーが確保されインフラが整った住環境』を早く再構築することだが、余震が完全に収まっておらず大量の仮設住宅建設の候補地決定と工事着手に一定の時間はかかりそうだ。

被災地の外に頼れる家族親族がいても、高齢や仕事、(相手方の)住環境などの要因によって、すぐには一時的なものにせよ移住できない人は多いだろうし、避難所に身を寄せている人たちの『プライバシーと空間の区画・トイレと風呂含むインフラ・飲食物の供給』に現時点で可能な限りの配慮と改善を進めていくしかない。

長期の車中泊は若い人であっても健康上の大きなリスクになる。大型のミニバンならある程度体を伸ばせるかもしれないが、現状、軽やクーペのような狭い車の中でも危険な車中泊を余儀なくされている人がいる。人数が増えて避難所の床面積が足りない問題もあるようだが、大型テントやマットの増設等の臨時措置を急ぐべきだろう。

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