沖縄県の基地反対運動の市民に対する『土人・シナ人』の暴言と歴史的な沖縄差別の構造的問題:歴史的・文化的な差別は世界各地にあるが

沖縄(琉球)の差別は戦前から『(文明の低い旧琉球の末で)本物の日本人ではない・太平洋の島の土人=三級国民に近い』の形であり、『忠誠度の低い新参者・境界地の偏見』に沖縄は苦しみ戦争で犠牲を払った。

土人発言「侮蔑的な意味知らなかった」 機動隊員に戒告

明治維新による近代化、大日本帝国建設はいわば『天皇・国体に忠誠を誓う国民』を国民教育と規律訓練で量産した歴史で、多くの国民が『本物の日本人ではない』と見られる事を恐れた。同じ国民の中に『本物の日本人ではない属性・特徴を持つ集団や個人』を作って差別・弾圧を加え『本物の日本人とする自分や仲間』を高めた。

沖縄県民に対して『土民・シナ人』の侮蔑語が出たのは偶然や無知によるものではなく、国家体制やナショナリズムに親近する日本人が潜在的に持つ『周縁(境界地)・歴史的文化的な異質性に対する差別感情』の発露だろう。中世以前から『日本国(中央政府・旧朝廷)にまつろわぬ者』を夷狄・土人の未開の野蛮人と見なした。

戦前の大日本帝国も近代以前の朝廷・幕府も、『人民・国民を平等に取り扱う治世』を敷いた事はない。日韓併合や太平洋進出の後にも『一級国民=本物・本土の日本人』と新参・外国人・異文化や異質性・文明の低さを持つ『二級三級の国民』を区別する秩序と優越があった。

琉球処分・沖縄県設置後の沖縄県民、日韓併合後の朝鮮人、太平洋島嶼・東南アジアの原住民は、幕末・明治維新の廃藩置県・王政復古の時代から天皇・新政府(国体)に忠誠を尽くし国家を盛り立ててきたとされる『本物の日本人』から見て格下と見られた。シナ・チョン等の現代にも残る言葉も潜在的な格付け・優越と無縁でない。

歴史・文化・民族の絡む固有の差別感情・優劣コンプレックスは、日本だけでなく欧米にも中国にもロシアにもある。『自分達こそ本物の?人・あいつらは法的には同じ?人だが実際は違う・国家有事であいつらは裏切るかも(本物の○○人なら自己犠牲で証明してみせろ)』の差別偏見が多くの理不尽・悲劇を生み出したりもした。

中国は『遅れてきた帝国主義』として非難されるが、日本も政治・経済が停滞する中で『国家・民族への全人格的依拠と忠誠の揺り戻し(本物の日本人であると示せの糾弾・犠牲要求)』が起きる恐れがあるか。沖縄本土決戦と米軍基地駐留の犠牲を払っても猶、本物の日本人かの本土からの冷たいまなざしはゼロにならない。

沖縄に対し『日本人なら日本の国防方針と日米同盟に賛成し協力するのが当たり前・暴力的な抵抗運動までして逆らうのは中国に与する利敵行為』という厳しい非難がぶつけられるが、沖縄同等の米軍基地や米軍属が自分の県・市に来るといったら反対する人も多いはず。沖縄は地政学的リスクがあるからで我慢し続ける事になるが。

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