買い物だけが目的のお店では、顔を覚えられて特別な挨拶・雑談・配慮をされるのはストレスに感じて逆に足が遠ざかる事もある。顧客や常連としての扱い・雑談を求めている店・人であるかどうかだろう。
お店から顧客・常連として特別に構われたい、優遇して扱われたい人というのは、一般に友人関係のコミュニティが充実しやすく内輪で盛り上がれる学生・若者やカップル・団体客には少なく、20代の男女の多くが顔を覚えられたくない(特別な常連扱い不要で匿名的にスルーして買い物・食事だけさせて欲しい)のはそうだろう。
店員に顔・名前を覚えられたいというと高級ホテルや夜の飲み屋、百貨店・ディーラーの上得意が典型で、あるいは人恋しさ(話し相手の不足感)のある高齢者・中年者にも多い。商品やサービスだけではなくて『一定の人間関係・コミュニケーション』込みで買い物をする人だが、そういう人は滞在時間が長く非定型の会話が多い。
『顔を覚えられること』と『顔を覚えて他と区別した接客・対話をすること』は異なる。小売・飲食などは大半の客は個人認識したコミュニケーションを求めていない、大勢の客が来る店はそこまで時間をかけた接客はできないので、店員は常連の顔を覚えてはいても敢えて知らない振りか定型の挨拶(いつもありがとうございます程度)に留めるだろう。
レクサスやメルセデスとかの高級車ディーラーになると、顔・名前をきちんと覚え個別対応のコミュニケーションと挨拶周りも営業の重要な仕事の一環だが、1000万近いような車を売った後に一切アフターフォローがなければ、心象を悪くしリピート客を失う。ディーラーの営業トップは『その人から買いたい客』を大勢持つ。
今はどうか知らないが、昔のレクサスは挨拶回りのついでに購入した車を点検・完璧な洗車をして帰るようなサービスをするなど極端な個別対応をしていたらしいが……車に限らず歩合給の営業職でやる気のある人は、個別対応に抜かりがないし製薬会社・医療機器のMR等も医師の私的な遊びに付き合うなどしている人は結構いる。
どういったお客さんに個別対応やフレンドリー対応するか、あるいは匿名的にスルーしてお店を泳がせるかというのは、実際には企業の経営戦略と従業員教育にとって生命線になるとも言われ、大口顧客は声かけしないだけで一切の購入を辞めたり。USJの接客は『面白くなさげな顔の客』に敢えて笑顔にする声かけをするらしい。