DeNAのウェルク問題から注目されたインターネット上の医学情報の真偽の見分け方:西洋医学のエビデンスと現代医学の限界

医学知識はネットでも得られるが、『医学の知識と治療の実践は異なる』の理解も重要だ。深刻な病気の科学的根拠のある治療は、通常素人にはできない。

「医師でもウソ発信」 ネットの医療情報、現役医師が教える見抜き方 国立がん研究センターに聞いてみた

勘違いも多いのだが『西洋医学の標準療法』というのは、『臨床試験・科学的根拠・合法性・保険適応』などが担保されている可能性が高いだけで、『絶対に当該疾患を治せる保証』があるわけではない。商業主義の根拠のない治療法に騙される人の多くは、『病院での治療でも治せない病気・病状』であることも多いだろう。

近年、アメリカなどの統計的研究で『抗うつ薬・抗精神病薬などの向精神薬の無効性・有害性』を指摘する研究者やメディアも増えているように、『臨床試験(治験)のエビデンス・特に精神機能への薬剤の効き具合』に関してさえ、西洋医学の標準療法は万能(間違えない)ではない。身体医学の薬は精神医学よりは確度は高いが。

精神医療は薬の効き目と副作用の境界が曖昧化しやすく、リスク対効果の焦点でも評価が変わるので特殊だが、病院でも治らない病気は『慢性的な体調の悪さ・不定愁訴・アレルギー(自己免疫)疾患・特定疾患(難病)』を中心に多いといえば多い。治らない患者は『経過観察・対症療法・慢性化』となり、一部が代替療法に縋る。

東洋医学の漢方薬は保険適用されるものも多いが、効き目の多くは『経験知に裏付けられた生活の知恵』で、科学的なエビデンスが取れない伝統的処方も多い。科学的根拠のある西洋医学の治療法は『統計的に有意な効き目がある・安全性が高い・正統的で合法的』だが、治らない患者が非科学的・商業的な療法に行くこともある。

末期がん・難病・アレルギーやリウマチ・自己免疫疾患・老化・全身の慢性的不調などは、科学的根拠のある医療でも上手く治せないか、苦痛を和らげる対症療法しかできないもので、病院・医師の治療であまり効き目がなくて苦しくてたまらない患者は、半分嘘と分かってても怪しげな治ると騙る情報・体験談に目がいくのだろう。

実際、医師でさえも医療の範囲内の治療ではどうしても『患者の望む健康状態・QOL・快適さ』を取り戻せない時には、科学的根拠が余りないと分かっていても有害ではないという理由でビタミン剤・精神安定剤など処方したり、精神作用を狙ってリラクセーションや整体・自律訓練の瞑想等の非医療の自己制御を勧める人もいる。

標準医療の多くは科学的に正しく、現段階でそれ以上の最適な治療法がないものといっても良いので、致命的疾患ではまずしっかり検査をして医学的な治療法に取り組むべきだ。死にはしないが、QOLや快適さを低下させる不定愁訴・精神症状・全身や局所の不調の中に『医療の通用しづらい不快症状の慢性化』もあるが。

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