アパレル不況。ユニクロもライトオンも営業利益減、株価も低調。市場規模が20年で30%以上縮小、15兆円市場が10兆円に縮む。中国人の爆買い除くと9兆円規模だが服の供給は2倍になり不良在庫が山積みに。日本人には特に百貨店の高額な衣服は売れない。ゾゾタウンのスタートトゥディなど例外的な成長企業はあるが。
ライトオン株は長らく1000円を抵抗線の下限にして、分かりやすい株価で動いていたが、通期営業利益を下方修正して配当金も減らすため、久しぶりに900円台に。配当と株主優待で利回りが高かったが、今冬は衣料品業界はいまいち売れていないようだ。外資のギャップやH&Mなども大規模な閉店・リストラを実行している
『所有』から『利用』への転換は、自動車業界のレンタカー(カーシェア・リース型ローン)だけでなくアパレル業界のコーディネイトレンタル(定期的な衣服送付・返却・再販)や中古品売買(メルカリなど)にも起こっているという。『断捨離』ではないが先の片付けや売却価値の減少を意識する現代人のドライな認知が影響する。
宮崎あおいのCMが一時多かったアースミュージック&エコロジーのブランド等を持つストライプインターナショナルの『メチャカリ(月5800円で服を借りホーダイ・何回かレンタル後に中古品再販もする)』などがレンタル事業の典型だが、ITビジネスと同じく『月額課金モデル』はユーザー数を確保できれば安定利益になる。
ストライプインターナショナルの売上比率では、『新品を買う既存の顧客層』と『メチャカリで色んな服を借りたい新しい顧客層』はあまりダブらず、アパレル企業がレンタルの新規事業をしても、今までの新品衣服の売上はあまり落ちないともいう。
アパレルで近年好調なアダストリアは、『ローリーズファーム』『グローバルワーク』の中核ブランドを、『OEM丸投げのユニクロ型の大量生産』ではない方向(モノづくり・工場生産に本社の人間が企画・デザインの段階から関与する商品のブランド価値向上)にシフトさせた。結果、ローリーズファームなどの売上は倍増した。
衣服は今はネット(アプリ)経由のほうが売れやすくなったというのは大きなトレンドだが、アパレル不況や日本のアパレルブランドの訴求力低下の一因に、『外部委託・コスト最優先によるブランド固有の特徴・魅力の減退(モノづくりの原点喪失・均質化)』があり、『販売員の自社ブランドへの思い入れの低下』があるという。
とにかく安くて最低限以上の品質のものをというアパレル市場の傾向は、平均所得の減少と合わせて今後も続くが、ブランド価値や利益率の上昇は『少しくらい高くてもデザインや品質・雰囲気に納得できるものを買いたいニーズ』を自社ブランドに集積させて認知を高めることにある。リアル店舗とネット通販それぞれの戦略がある。