北朝鮮の核・ミサイル問題は、国際社会における正当性・信任・国民保護の存在意義が乏しい『金正恩体制の無理筋な延命策・恫喝外交』と『米中の対立図式』が背景にあり、お約束のように繰り返される。
北朝鮮問題は『米ソ冷戦構造の負の遺産』だが、かつては旧ソ連や中国の傀儡・尖兵として西側自由圏に対する『緩衝地帯』の役割を果たしたが、金正恩体制が粛清を繰り返す混乱期に入ってから、『中国の説得・圧力による間接的コントロール』も余り効かなくなり、不干渉・援助の要請の恫喝外交で中国からも孤立してきた。
中国が北朝鮮を制御できないのであれば、アメリカがより踏み込んだ北朝鮮対応を決断するといったニュアンスでトランプ大統領は吠えていたが、結局、北朝鮮問題は火のない所にわざと煙を立てる『独力で長期維持できず経済力がなく人民の支持もない正当性喪失の独裁体制(恐怖政治)の強引な延命』に関わる問題である。
北朝鮮問題の決定的解決は、人民の人権を尊重する国際社会に参加できる『国民主権的な体制』にソフトランディングで移行するしかないが、体制変革は旧独裁政権の有力者の復讐・処刑の惨劇が起こる可能性が高いので、金正恩体制から恩恵を受けている労働党幹部・軍人・官僚は必死に『外の脅威』を煽りミサイルを打ち上げる。
日本政府の立場では、北朝鮮のミサイル実験に対し『断じて容認できぬ』というしかないが、北朝鮮の体制側からすれば『向こうからの火がないこと(日本・米国を中心とする外国が別に何もしない北朝鮮を先制攻撃しようなど思っていないこと)』を人民に知られては我が身が危ないので、容易には先軍政治をやめられない。
率直にいって、国民のかなりの部分をまともに食わせられない政治を長期に行っている北朝鮮の体制にはまったく正当性がないという話なのだが、ただでさえ飢えていたり困窮していたり政治弾圧される国民が大勢いるのに、何百億円もの予算を費やして核・ミサイルを開発し続けるのは狂気の沙汰ではある。