なぜ『おばさん(おじさん)』と呼ばれると現代人はショックなのか?:結婚・出産の個別化とアンチエイジング・若さ重視の文化

おばあちゃんと呼ばれて気にする70代以上の人は少ないだろうが、30~40代前半は『若くもなく年寄りでもない年代』で、自意識も見かけも呼称の受け止め方も個人差が大きい。

「おばさん」と言われたことがなかった38歳女性、「初めておばさんと言われて」大ショック

『おばさん』も『おじさん』も中年期の男女を指す代名詞だが、その語感には『もう若くはない人・華やかな時期が過ぎた人・色恋の現役ではない人』といった意味がどこかしら含意されている。男性がおじさんと呼ばれるより女性がおばさんと呼ばれる方が気にする人が多いのは、若さと美で見られやすいジェンダーの影響だろう。

1980年くらいと現代を比べてみても、30~40代の女性でいかにも『おばさん(旧オバタリアン)』な人が激減した。『美魔女』と呼ばれる華やかで性的魅力を維持する中年女性も増えたが、『客観的な年齢』は変えられず『若者との差異』も当然ある、アンチエイジングとも絡む現代人の老いの受け止めの難しさがある。

昔は『結婚・出産・子育て』という世代交代のイベントが早い時期に起こっていたことで、20代の母親(父親)ですら『自分はもう若者ではない・おじさんおばさんと呼ばれても良い』という自己定義が確立しやすかったが、未婚化晩婚化・未出産もまた現代人の年齢認識・自意識(異性・色恋の現役感)に少なからぬ影響がある。

おばさん・おじさん(おっさん)は現代ではネガティブなニュアンスのほうが強く受け止められがちだが、昭和の皆婚時代では『子供ができ次の世代に変わっていき始める実感(自分という主体の魅力・承認の時代の終わり)』によって中年期の自意識が段階的に固められやすかったのかも。現代は結婚・出産・育児・老後のライフイベントが個別化して、『共通点・共同性の乏しい同世代の他者』が増えている。

スポンサーリンク




楽天AD