加計学園の加計孝太郎氏は『安倍首相との人脈による獣医学部新設の手応え』を周囲に語っていたとされ、安倍首相が中立でなく自分に加勢してくれる印象は持っていた。問題発覚後は一切質問に答えない。
人情として『長い付き合いのある親しい友人』がある目的を必死に達成しようとしていて、自分に友人に力を貸せる『一定の影響力』がある場合、法律に触れる領域まで踏み込まないとしてもある程度便宜を図ったり推薦・保証の言葉を述べたりする可能性は高い。政治や行政が完全に中立公正と考えるのも余りに無垢だが。
山本幸三担当相も『加計ありき』だったとは思うが、この獣医学部問題は『対抗馬となる学校法人』が京都産業大だけでプレイヤーが少なすぎ、『加計学園を贔屓した印象』は薄まった。これが国立大など10校以上が名乗りをあげ、明らかに知名度も教育水準も突出していない加計が選ばれたなら相当な不正の嫌疑がかかっていた。
端的には、獣医学部新設は『利権』ではあるが、他の学校法人にとって『是が非にでも得たい』と思うほどの魅力ある利権ではない。加計学園の理事長も獣医学部新設計画を抱いたそもそもの要因は『息子が四国外の獣医学部に進学した』が、その学校の建物・設備を見て『この程度の学校なら俺もできる』と思ったのが発端とされる。
そもそも論としては、『日本における獣医学部の需要の推移』と『四国に獣医学部新設する必要と効果(地方の獣医師不足に本当に寄与するのか)』と『加計学園の獣医学部運営の能力・教授陣の充実度』が重要なのだが、そこに安倍首相と加計理事長の親しすぎる交友、理由曖昧な京産大の落選が重なった事で様々な疑念が深まった。
獣医師会の北村氏には議事録があるが、山本幸三担当相は自分の頭の中の記憶しかないというのが大きな違いで、獣医師会側が意図的・事後的に発言内容を改ざんでもしていない限り、『直接の発言内容のメモ』を言っていないと否定するのは困難だろう。安倍首相の答弁も口約束・記憶のレベルにならざるを得ない弱さがある。