職務質問は『任意』の建前だが実際に拒否するのは難しい:拒否しすぎると余計に怪しまれる悪循環

職務質問は任意だが半強制に近い実態があり、拒否すればするほど怪しまれ警察が引き下がる事はない、よほど反警察の信念や時間の余裕がない限りは応じたほうが無難である。

「公妨だ!」警官10人に取り囲まれ、執拗な所持品検査…エンジニア男性が国賠提訴

職務質問を拒否することは国民の権利ではあるが、一定の嫌疑を感じた人に対するあらゆる職務質問をあっさり拒否できることが慣例化すると、『所持品を見せても問題ない素直な善人』にしか職務質問が有効でなくなり、『所持品を見せると犯罪が露見する悪人』は職務質問をにやにやと拒否できるおかしな事態にはなる。

違法薬物の使用者・販売者などが、職務質問を受けた場合には、相当に強いプレッシャーをかけたり大勢の警官を集めてもなお『職務質問・所持品検査の拒否姿勢』や『車内への閉じこもり』を続ける傾向があり、職務質問を拒否した人に『はい分かりましたの対応』だと一定の確度で疑いがある相手も調べることが不可能になる。

警察も執拗な職務質問や横柄・無礼な話し口調だったのかもしれないが、このエンジニア男性も出社で時間がないといいながら『職務質問の拒否の意思』が相当に強固だ。やましい事がなくても職質を拒否する法的な権利はあるのだが、意地でも絶対に見せない態度を怪しいと思ってしまうのも人の心理である。

やましい事がなくても職質を拒否する法的な権利はあるが、『疑わしい人間ではないことの即座の証明』とセットにしての職質・所持品検査の拒否が、現場の警察対応に対してできることは極めて稀かほぼ不可能だろう。疑わしい人間でも職質は拒否して良いのだが、疑わしい限りは警察が容易には諦めてくれずつきまとわれ続ける。

警察が象徴する国家権力の横暴や市民社会への浸透を牽制するような思想的な立場・意図があるとしても、『自分個人に向けられた一般的な職務質問』は横暴・専制のレベルに達したものとまではいえないわけで、時間の余裕と潔白の確信があれば延々と拒否を続けて裁判を起こしても良いが、大半の人にとっては迂遠なやり方だ。

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