フィリピンのレイテ島の台風被害による混乱

日本も毎年のように台風による人的・物的被害がでているが、フィリピンのレイテ島を襲った台風30号は桁違いの威力で、瞬間風速90メートルを記録して強風・豪雨・高潮によって島の全体に近い面積が壊滅状態に追いやられた。

2005年にアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナに相当するような被害規模と地域秩序の混乱が起こっているが、今後は泥まみれになり浸水した町で公衆衛生の悪化による伝染病の流行も懸念される。更に太平洋上に新たな熱帯低気圧が発生しており、台風30号の被害を増幅させる二次災害に対する危機感も高まっているという。

地球温暖化や太陽の黒点運動、プレートテクトニクス(地殻移動)の影響もあると推測されるが、異常気象の増加・自然災害の大規模化が近年目立っている。日本の東日本大震災は原発事故が加わったので長期的損失・被害の客観評価が難しいが、死傷者の数だけを見ればフィリピンの台風被害も大震災並みの途轍もない被害の大きさである。

フィリピンのレイテ島では、社会インフラが完全に壊滅してしまい、空港の滑走路と管制塔も機能不全に陥っているため、『水・食料・衣料・家屋(屋根と壁)』といった最低限の必需品が欠乏して、民間人による強盗・略奪などの治安悪化も起こり始めているという。

現時点では、諸外国からの寄付金・義捐金は『即効性の効果』を発揮することはできず、『直接的な物資の輸送ルートの確保・地域の犯罪抑止の治安維持』が最優先されるべき国家的な課題となっており、治安悪化の情勢如何ではアキノ大統領が軍に戒厳令を発する可能性もでてきているようだ。

61万人を超える避難者、1万人を超える死傷者という台風の大災害と生活の困窮、治安の混乱からレイテ島の人たちが一刻も早く立ち直れることを願ってやまないが、短期的にはフィリピンの災害復旧・治安維持の政策、混乱・物資欠乏の急場を凌いでから後は継続的な国際支援が必要になるだろう。