映画『ルームメイト』の感想

総合評価 70点/100点

ルームメイトになった女性が、異常に独占欲が強くて自制心の働かないサイコパス(精神病質者)だったという話だが、ネタバレしてしまうと面白みのなくなるストーリーでもある。過去の性的虐待のトラウマと関連したプロット自体はかなり使い古されたもので、サイコホラーサスペンスの定番になって久しいが、先入観なく見れば心理的な切迫感の感じられるホラー映画としての怖さは所々にある。

派遣社員の萩尾春海(北川景子)は、交通事故に遭って片足を骨折してしまい、仕事を辞めざるを得なくなる。収入が途絶えることになりこの先の生活に不安を覚えていた春海だったが、入院中に話があって親身に接してくれた看護婦・西村麗子(深田恭子)がルームシェアを申し出てくれた。

西村麗子の好意に甘えて暫く一緒に暮らすことを決めた春海だったが、いつも優しくて親切な麗子が『ペットのチワワが可愛くて私もいつか飼いたいな』と言っただけで、表情が急変して『ペットなんて世話が大変だし汚いし、いつまで生きるか分からないんだよ。あんた、最期まで責任もって飼えんの』という冷たい言葉を返してきて驚く。交通事故の賠償交渉の代理人を買ってでてくれた麗子だったが、保険担当者からは全く連絡がつかずに困っているという苦情が寄せられたりもする。

交通事故の加害者の工藤(高良健吾)は、春海に好意を寄せていて、自分の自営業の仕事を斡旋するなどして次第に親しくなっていく。麗子は工藤との関係についても細かく監視するようなストーカーじみた不気味な態度を見せるようになるが、『麗子の日記』を盗み見た春海は麗子の精神が異常な状態に陥っていることに気づき、何とかして助けようとするのだが……事態は映画冒頭に映し出される男の顔面がずたずたに切り刻まれた残酷な殺人事件へと発展していき、麗子のトラウマとオーバーラップする虐待を受けている児童福祉施設にいる少女もまた報復行動へと駆り立てられていく。