福岡県のスーパーでは鯨肉は普通に売られている事が多い感じがある。鯨のベーコンや塩鯨、おばいけは概ね298~398円でそれほど割高な食材でもないが、日本人でも米食と連結した鯨食文化は衰退傾向。
鯨肉、特に塩漬けの塩鯨はどう調理しても、トーストやパスタ、豆の欧米風の食文化とは相性が悪い。『現在残っている鯨食文化圏』は、鯨の絶滅危機や倫理的問題だけではなく食・味の嗜好の面でも拡大できる可能性があまりないのが難しい所。どう主張しても、わざわざ鯨を食べなくても…という前提が反捕鯨国からは抜けない。
塩鯨のお茶漬けは、数ある茶漬けの中でも鯨の油との相性が生み出す特別な美味さがあるが、その味をそもそも米を食べない反捕鯨国の人々に受け入れてもらうのは不可能に近く、お茶漬けのような食べ物自体を必要としていない。独特な鯨の油の香りは、欧米圏の平均的な食文化では、『嫌な臭み』として知覚される。
日本人は味覚の応用可能域が相当に広く、『異国情緒溢れる料理・食べた事がない珍しい料理』でもいっぺんは食べてみようと思うし、宗教的・倫理的な『タブー化された食材』も虫以外は殆どない。鯨・イルカの肉食のタブーは、反捕鯨団体には理屈を超えた宗教的禁忌に近い部分もあり人類の知性・意識への近似性が主張される。
グローバル企業を志向する“楽天・Yahoo・Amazon”のような大手のIT企業であれば、ブランドイメージを保護するために、鯨食販売を禁止する措置を取るのは仕方ないだろう。『鯨食文化を反倫理的で野蛮・残酷な文化』とする欧米先進国からの反発・風評被害を、冷静な議論で覆す事は不可能に近く、水かけ論に陥る。