映画『ザ・コール 緊急通報指令室』の感想

総合評価 86点/100点

ロサンゼルス市警で“911(緊急通報)”のオペレーターをしているジョーダン(ハル・ベリー)は、若い女性の声で男が自宅に不法侵入してきたという通報を受ける。『男が諦めて外に出たみたい』と女性が話したため、電話がいったん切れた後にジョーダンは電話をかけ直してしまう。その僅かな着信音を聞いた男が引き返してきて、女性は拉致誘拐されてしまった。

911のオペレーターとしてのキャリアを積んできたジョーダンだったが、通報者が身を隠している場合に自分の側から電話をかけ直してはいけないというセオリーを踏み外してしまい、誘拐された女性はその後に無残な遺体となって発見された。自分のミスが許せずに自責感と罪悪感に悩んだジョーダンは、オペレーターを続ける自信を失って辞めようとしたが、上司の配慮でそれまでの経験と話術を活かして後進の新人オペレーターの指導教官をすることになり、現場の電話を取らなくても良くなった。

女性殺害事件から半年後、オペレーションルームで研修生を案内していたジョーダンだったが、その時に大型ショッピングモールの駐車場で男に拉致された少女ケイシー(アビゲイル・ブレスリン)から911の通報が入る。別の新人オペレーターがケイシーに対応していたが、パニックに陥っているケイシーに有効な指示・助言ができずに言葉がでなくなってしまい、ベテランのジョーダンは半年ぶりにヘッドホンマイクを受け取ってケイシーと話し始めた。

オーソドックスなクライム・サスペンスで、シリアルキラーである犯人の異常な男を、ジョーダンとケイシーの連携で追い詰めていくというものだが、トランクに押し込められたケイシーが『自分の居場所』を知らせるための様々な小手先の工夫がなかなか面白い。電話で連絡を取りながら逃げる機会を必死に伺っている犯人との心理戦もスリルがあった。

お約束のパターンで、ケイシーが誘拐されていることに気づいて助けようとしてくれる人たちは殺されていくが、初めのリンカーンに乗っていた紳士な男は、トランクにケイシーと一緒に閉じ込められている状況で大声で喚き続けるというのは、殺してくださいといっているようなものだろう……ジョーダンとケイシーが直接的に犯人と対決するというのはベタな展開なのだが、最後は『法の裁き』に任せないリベンジな方向の結末になっていた。