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吉田修一原作+李相日監督の映画『怒り』の公開が楽しみ:妻夫木聡・松山ケンイチ・宮崎あおいらのキャストも良い

吉田修一と李相日の『悪人』は地方の若者の閉塞やネットの出会い、年の差の男女等をテーマにしたコンテンポラリーな作品だった。妻夫木聡・深津絵里・満島ひかりらの演技も良かったが『怒り』も面白そう。

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李相日は『怒り』でも妻夫木聡を起用。良い意味で突出した個性のない普通っぽさのある俳優で、20?30代のどんな役柄・属性も自然にこなす演技の幅がある。森山未來も癖のあるキャラの怪演で存在感が出た。渡辺謙・松山ケンイチ・綾野剛・宮崎あおい・広瀬すずのキャスティングでどんな役に配置されるのか楽しみです。

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吉本隆明の講演集の音源:死んだ思想家の語りを聴き終わるまでAudibleが解約できない…

今、満喫している楽しみの一つに、深夜・早朝の約60分間のウォーキングの時間に、AmazonのAudibleで今は亡き吉本隆明(1924~2012)の政治経済や文学と詩・人生論・宗教論などの広範なテーマを巡る講演を聴くことがある。

吉本隆明の著作そのものは、代表的な作品・思想以外は、晩年のものを中心に読みやすい時代批評や人生哲学を読んでいるが、吉本の文学論・近代詩論にはほとんど接していないのでそういったジャンルを新鮮味があるし、フランクなくだけたおっちゃんのノリで様々なテーマを持論を踏まえて楽しそうに語る吉本の講演は『今この世にいない死者の声』という意味で奇妙な時間軸の捻じれを味わうこともできる。

曽野綾子のキリスト教ベースの人生哲学とか、田中芳樹の『銀河英雄伝説』とか、芥川龍之介や夏目漱石の小説なんかもたまに聴いているのだが、音質が悪くて語りが必ずしも上手くない吉本隆明の講演が一番面白くてあれこれ考える材料になる。

ウォーキングしながらスマホで吉本隆明の『宗教としての天皇制』『国家・家・大衆・知識人』『親鸞について』などを聴いている人は、今の日本でどれくらいいるのだろうか、深夜1時などの同時間帯では恐らく僕一人ではないかと思いながら、暗く静けさに満ちた街灯が照らす夜道を5キロ、10キロと淡々と歩き続け、適当な所で見切りをつけて復路を辿る。

中には音が割れていたり小さすぎて聴こえないものもあるのだが、大学の講義・各地の講演会などで録音された年月を見ると1960年代~1980年代というかなり古いものであり、カセットテープに録音していたものをデジタル化したと思われるから、こういった『音質の悪さ・参加者の咳払いや不規則発言・室外の車などの騒音』も時代のライブ感として感じることができる。

吉本隆明は秩序だった講演の語りが上手いわけではないが、流暢ではないことが逆に『生身の語り(下書きした原稿の流れなどに強く頼らない即興的な語り)』の味わいを醸し出している。

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大学生は本を読まなくなったのか?、 若者の深刻な犯罪離れの原因は何か?

大学生は本を読まない?

読書の是非や効果を抜きにして『大多数の人はほとんど本を読まず家に大して本がない(そして読まないまま人生を終わる)』のが現実ではある。直接カネにならない知識・教養・思索に対する欲望の個人差は大きい

文学にしろ小説にしろ思想哲学・学術にしろ、『基礎教養の共有』があるかないかで『話題の広さ・深さ』は変わるが、世間一般では『経験主義的な雑談・他人に対する興味や噂(誰かれがどうしたこうした)』が話題の中心だから、読まなくても文化圏によって不都合はない。知識・教養抜きの知的なセンスや話術の巧拙もある。

読書やエクリチュール(書かれたものの世界)とは何かを一義的に語り尽くすことは難しいが、読書は突き詰めれば『人文学的な素養・教養』と『人格形成的な知性研鑽』と『知的好奇心の充足』と『実利的な知識・情報』の側面に分類することができ、人文学的な読書の本質は知的主体のビルドゥングス(継続的建設)に他ならない。

『読書のある世界・人生』と『読書のない世界・人生』の違いは、『知覚(五感)・生理に依拠する動物的・社会的な生の外側』を拡大していけるかどうかで、文字の世界の書物の探索とは『知覚・生理・社会に決定され尽くさない自己の建設』の側面がある。『自由意志や自己研鑽(知・徳・利の合一)・共有知継承』の利もある。

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福岡市西区姪浜で起きた19歳の予備校生殺人事件、 26歳女が49歳男から1300万円を騙し取った結婚詐欺事件について

○福岡市西区の姪浜で、東大志望の19歳の予備校生が知人の男に殺害された事件。こういった愛執・憎悪・支配欲を恋愛と勘違いした自己愛・妄想型の事件を見ると、今の若い女性が恋愛に消極的なのも分かるというか、一方的に思い詰めて愛情と憎悪を混同するしつこい男に気に入られて、対応を誤ったら最悪の結果も招き得る。

19歳男の供述では『告白して曖昧な返事をされたから馬鹿にされたと思って殺した・好意が叶わなかったから殺した』という理不尽で自己中心的な動機が語られているが、『一方的に好きになった相手から断られた・軽視されたからの理由』で殺意や悪意を覚えて実行するパーソナリティーや行動原理は退行的・幼児的ではある。

男女間のトラブルには『DV・ストーカー・モラハラ・セクハラ』などがあるが、どちらかというと『付き合う付き合わない・別れる別れない』などの孤独耐性や自尊心の強度が関わる問題では、男性のほうが女性よりも非適応的で執拗・異常なメンタリティーに落ち込みやすく、暴力的・衝動的な犯罪に至りやすい傾向はある。

相手が嫌といえば嫌だと認める、どうしても別れたい(付き合えない)といえば別れるしかない等、『言語的コミュニケーションが通じる精神状態』を維持する事が重要だが、『相手が好きという感情』を『自分の支配欲・快楽・自尊心を満たす手段』のように勘違いする所にストーカー・妄想や暴力的な犯罪のリスクが生まれる。

加害者と被害者にはグループでの交友関係はあったが、男女交際等はなかったと報じられており、予備校で顔見知りの男に突然刃物で襲撃された女性の恐怖・無念を思うと犯人の身勝手さは許されないものだ。『曖昧な断り方』でなく『はっきりした断り方』だったら良かった類の問題でもなく、事前回避の難しい問題ではある。

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現代の日本人はなぜ幸福感を感じにくいのか?:他者との連帯感や思いやりを感じにくい経済社会の構造

近代化・市場原理の禁断の知の果実を食った反動。『文明・技術の進歩+他者との競争・差異の承認』は他者との境界の自我を強化し、『定常型社会・共同体的連帯』に戻れなくなる。

留学生たちと語った「日本人の幸福度が低い理由」 所得以外の何が足りないのか?

近代化・工業化を成し遂げた日本人や欧米人の幸福度がなぜ平均して下がりやすいのか、端的に近代化は個人化と能力主義(能力・魅力の需給のバランス)であり、『ただそこにいるだけ・頑張っているだけの人の価値』を概ね認めず、『現状維持でのんびり生きるライフスタイル』を許さない成長の強迫観念が常にある。

世界トップクラスの売上と利益を上げているトヨタのようなグローバル市場の勝ち組の会社であってさえ、『去年と比較して今年はどれだけ利益を増やせるのか?』という市場と株主の暗黙のプレッシャーを受け続けていて、絶対に休めない(これでもう十分とは言えない不安を煽る)仕組みが資本主義には織り込まれている。

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川崎中1殺害事件の原因の一つになった『仲間内の上下関係・嫉妬感情+暇の悪用』

少年のいじめにせよ殺人にせよその根本は『他人に対する興味・干渉の過剰』と『自分のやりたい事がない主体性の欠如』で、『仲間内の上下関係+暇の悪用』が的外れな生きがい(自己確認)になってしまう。

<川崎中1殺害>切りながら「ごめん」 リーダー格が証言

この殺人事件にしても、終わった後になれば加害者達も『やらなければよかった・やる必要のなかった行為』であり、世の中で起こる多くのいじめ・虐待・傷害・殺人も逮捕後に考えれば同じ構造・心理を持つ。気に入らない他人に執拗に干渉せず自分のやるべき事に取り組めば良いが、それができない心理の偏りや他者依存がある。

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