「テクノロジー」カテゴリーアーカイブ

『美・若さ』に執着する現代人と拡大するアンチエイジング市場:近未来の生命工学が描く幸せな人の終わりなき欲か…

時間の実在は科学でも証明できないが、人間や生物の『老化・寿命』は時間の実在をエントロピー増大で間接的に示す。『若さ・美』は食うに困らない豊かな社会で最も強い執着対象になり得るが、どんな美人も老い=時間経過の侵襲の前には抗いきれない。

“いつまでも若く美しく”っておかしい?

豊かな生活、美と周囲の承認、若さと健康があれば、『こんな状態が永続すればいいのに』と思うかもしれないが中年期以降にしがみつけば煩悩の炎に焼かれる。古代の秦の始皇帝や摂関家の藤原氏、エジプトのファラオも、権財力を駆使し『不老不死・死後の権力・極楽浄土』を渇望し『止まらぬ老い・衰亡』に抗ったが死んだ。

若さと健康の持続にこだわる人類は、文明社会の防御と豊かさを高めるにつれ、『自己愛』を強め『生殖力』を低下させている。SFでは文明と生命工学の進歩で『人の超長寿化・病気と老いの駆逐・生存圧力低下』を進めた先に、『世代交代なき人口減少・人類衰退』が描かれるプロットも多い、現代の先進国の価値観も近づく。

続きを読む 『美・若さ』に執着する現代人と拡大するアンチエイジング市場:近未来の生命工学が描く幸せな人の終わりなき欲か…

Windows XPを狙ったランサムウェアの被害が拡大、 アニメの『ベルセルク』をhuluで見た感想

〇ランサムウェアの大元は米国の公的研究機関から盗み出されたものという報道もあったが、メールの添付ファイルに仕掛ける古典的手段でもこれだけの規模のサイバーテロを引き起こせるのは脅威である。

「ウィンドウズ」狙ったサイバー攻撃 被害100カ国に

1995年にはWindowsによるPCの職場・家庭(個人)への急速な普及があったが、現在はその時代とは比較にならないほど社会インフラや企業システムの基幹情報の多くが、インターネットにも接続したコンピューターネットワークのデータベースによって管理されている。サイバー攻撃の混乱と損失が巨大化しやすい。

ランサムウェアで身代金を要求する目的が明確なサイバー攻撃で、国家・民族レベルの国家・社会の機能麻痺を目的にしたものではないが、場合によっては生命に関わる『医療機関の受診予約システム』も無差別的に破壊するようなやり方は卑劣だろう。イングランドとスコットランドの医療機関はシステム回復できたのだろうか。

身代金目的というが、医療機関や公共機関、営利企業などで『短時間でシステムダウンの回復』をしなければ大きな実害や損失が生まれる場合、数万円程度なら要求に応じてテロ集団に不本意ながらも資金を援助してしまう恐れもある。しかしお金を払ったとしてもサイバーテロ集団が即時にウイルス解除してくれる保障はない。

続きを読む Windows XPを狙ったランサムウェアの被害が拡大、 アニメの『ベルセルク』をhuluで見た感想

『イブの時間』から見る未来における人とロボットとの関係・欲望:想像したものを実現してきた科学技術とリアルから離れるヒト

SFの小説・映画では20世紀から既に、人間とほぼ同じ形態をして人間以上の機能を持つ『ロボット(人型アンドロイド=ヒューマノイド)』が創作されてきたが、人間と複雑なコミュニケーションや共同作業をする高度なロボットの多くは『モノ』ではなく『擬似的なヒト』のように扱われることも多かった。

AI(人工知能)の高度化によって、ヒトとロボットとをコミュニケーションレベルでは区別できなくなった時(解体・解剖して中身を見なくてはヒトかロボットかわからなくなった時)に、『人間とロボットとの関係性』は必然的に質的な変化を起こすことになり、人間の中に『人間よりもロボットに対する欲望(愛着)』を向ける人たちが出現してくる。

その影響力は、現在もある二次元的な創作物(アニメ・漫画)のキャラクターへの感情移入や三次元的なポルノグラフィーの視聴覚刺激を遥かに凌ぐものとなる。本当にロボットのクオリティが高まった時(実際にお手伝い・育児・介護・セックスなどができる人の働きをほぼ全面的に代替可能なロボットが販売された時)の市場規模の大きさは想定不能なほどに大きいともされる。

近年の映画(アニメ)では『her』『イブの時間』『エクス・マキナ』などが、そういったロボットやAI(人工知能)が、人間の関係性や倫理観、関心・欲望に大きな変化を引き起こす近未来を題材にしていたが、『her』では人工知能の身体性欠如(セックスの不可能性)が主役の男を葛藤(夢想)させ、生身の娼婦をピグマリオン(操り人形)にした人工知能が主役の男を満足させようとして余計に関係性が混乱する(最後は同時に何万人とでも感情を込めた外観の交信ができるAIの倫理観の自由度と知性の高さに男の恋愛感情は追いつけなくなる)面白い展開もある。

『イブの時間』は、直接に『人間のロボットに対する感情移入の個人差』と『ロボット・ライツ(ロボットの権利)の承認・ロボットの心(自意識)の推測』がテーマに据えられており、ロボットを恋人や友人のように錯覚して感情移入しすぎる人を『ある種の依存症の精神疾患』のように分類して、ロボット倫理委員会が頻繁に『アンドロイド依存症はダメ』と啓発するテレビCMを流している。どことなく、今のスマホ依存症(ネット依存症)はダメの啓発とも似た部分があるが、いつか来た道はロボットでも繰り返されるのかもしれない。

人とロボットを分かりやすく区別する指標として、ロボットの頭上にはホログラムの輪を出すように義務付けられている。自分がリアル優先のマッチョであることを標榜したり、雇用・関係性の面でロボットに脅威を感じる人ほど、ロボットを『非人間のモノ』として乱暴かつ侮辱的に取り扱い、『人間の特権性(人権を持つのは人間だけ)』を誇示するようになっていて、ロボット反対運動も頻発している。

主人公の男子高校生は人間とロボットを区別しない『カフェ(イブの時間)』をベースにして、カフェにやって来るロボットや人間を観察したり会話したりしながら、ヒトとロボットとの関係性をあれこれ考える。

『捨てられた壊れかけの旧式の野良ロボット』や『主人公の友達を子供時代に育てていた旧式の育児ロボット』を題材にして、『ロボットの持つ記憶内容』からロボットの感情・人格が推測される。

友達の父親は、ロボット倫理委員会に所属しておりロボットへの過度の権利認定や感情移入に反対している人物で、息子が育児ロボット(旧式なので見かけはヒト型ではなくいかにもなロボットだが)に慣れ親しみ過ぎないように、ある時期から育児ロボットに言葉を一切話さないように指示した。

続きを読む 『イブの時間』から見る未来における人とロボットとの関係・欲望:想像したものを実現してきた科学技術とリアルから離れるヒト

自動車の完全自動運転への接近、2025年以降に実現化のメド

人が関与しない完全自動運転が普及すれば自動車は『公共交通機関』に近い位置づけとなり、個人でマイカーを保有して車種のグレイドやスペックにこだわる車の文化・市場は衰退する。暫くは高速道路の渋滞時の自動追従や自動駐車機能の付加価値で市場は拡大か。

完全自動運転、実現は2025年以降か

衝突回避の自動ブレーキ、高速道路の高度なクルーズ機能(車間距離維持・レーンキープ)、自動駐車機能などの需要は今後も増え続け、数年後には高額ではない大衆車にも標準搭載化が進むだろう。部分的自動運転の普及が高まるだけでも、高齢車に多い『駐車場の踏み間違え事故・前車や建物に突っ込む事故』はかなり防げる。

続きを読む 自動車の完全自動運転への接近、2025年以降に実現化のメド

『ロボット中毒(ロボットとの会話や関係が楽しすぎる)』が未来社会で問題になるとしたら、人間独自の存在意義と他者の必要性はどこに求めれば良いのだろう?

“ユーザーとの関係構築が必要なロボット”は実質的に人間の役割に近づくが、人とロボットの比較で浮かぶ差異が微小になるほど、人の固有性と存在意義の輪郭線が朧になりそう。

ロボット中毒が社会問題に!? 元Pepper開発リーダーに聞く「人とロボットの未来像」

『僕らはAIと同様に脳の神経回路であるニューラルネットワークに脳内分泌物質のバイアスをかけたコンピューターであるとも言える』は、ロボット工学や人工知能、認知科学の前提だが、ロボット中毒問題の仮定は『人工物の上位にある生命・DNA・自意識(感情・労働・関係)の特権性』が変わらずに続くかの試金石かも。

続きを読む 『ロボット中毒(ロボットとの会話や関係が楽しすぎる)』が未来社会で問題になるとしたら、人間独自の存在意義と他者の必要性はどこに求めれば良いのだろう?

プレイステーションVRとKindle Paperwhiteのマンガモデルが登場

○初代プレイステーションを最後に据え置き型ゲームはほとんどやっていないのだが、『プレイステーションVR』は技術革新と知覚体験の両面で面白そう。しかしプレステ4も同時購入してVRの対応ソフトも買うとなると、初期投資額がPC並みに高い……。

PSVR「現実に帰れない」と大好評も課題は「酔い」

ヘッドマウントディスプレイという頭に被る形のハードウェア自体は発展途上なものだろうが、現実とバーチャルリアリティーの知覚体験の差が縮まるにつれ、エンターテイメント・ゲーム以外の用途も拡大すると予測される。現状の技術では、人間の脳の自然な両眼立体視を誤魔化す為の負荷が大きいので3D酔いの副作用も課題。

『プレイステーションVR』も仮想現実の精度は未熟な段階で、『映画館の3D技術』と同様それほど普及せずソフト開発停滞も有り得る。VRのデバイスは試行錯誤でイノベーションが繰り返される。環境管理権力や脳内世界への隔離の面から『権力とVRと生活空間の結合』を考えるとマトリックス的なSF世界になってくるが。

続きを読む プレイステーションVRとKindle Paperwhiteのマンガモデルが登場