「国際情勢」カテゴリーアーカイブ

パルミラ遺跡を破壊するIS,マイナンバー制度と監視社会,ドコモのカケホーダイライト(1700円)など

偶像崇拝・異教の神殿やその歴史的痕跡が、アラーの威光を貶めると解釈するイスラム原理主義(ISの宗教国家理念)と、『人類の精神文化の遺構』を人類共通の財産とする世俗主義の価値観は折り合わない。

パルミラ遺跡、消滅の危機 IS、一部をパン工場に

古代ローマ帝国がオリエント世界(属領シリア)と遭遇したことで作られた『パルミラ遺跡の建築・神殿の遺構』は、人類の歴史の客観的事実の貴重な足跡だが、ISにとっては『ヨーロッパ文明(異教徒文明)の起源である古代ローマ帝国の事蹟・遺跡』には何ら価値がなく破壊しても構わない偶像・モノという事になる。

個人番号カードの交付、顔認証で 全国地方公共団体が導入

マイナンバー制度は『税・社会保障・健康保険・口座開設』と紐付けられて、国民全員がカードを申請しなければならなくなる。ガラス張りの監視社会の保護‐支配の強度は強まるが、顔認証データは人物照合の犯罪捜査に応用されるかも。

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IS(イスラム国)はなぜ“火あぶりの処刑・世界文化遺産パルミラ遺跡の爆破”を行うのか?:反欧米の宗教原理主義

イスラム国(IS)は欧米の進歩主義的歴史観に由来する『近代の個人主義的なヒューマニズム(人権・自由・民主)+資本主義(市場・産業の競争)』を否定することで、復古主義の自集団をアイデンティファイしている。

「イスラム国」が新たな火あぶり処刑動画。イラク兵捕虜4名が生きたまま…。

なぜイスラム国(IS)は人の生命・人権や男女の平等、平和主義、世界遺産(文化的歴史的価値)を尊重せず、日米欧のヒューマンな近代国家の価値全般を野蛮に見える方法・思想で蹂躙するのか。『反欧米勢力』でありながら経済・文明・人道の水準で劣る立場を、それを目指さない思想的宣言で逆転させる作為的演出でもある。

イスラム国(IS)は『経済がどれだけ豊かか・技術がどれだけ進んでいるか・人権がどれだけ守られているか・男女がどれだけ平等か・個人がどれくらい幸福か』という、欧米諸国にはじめから及ばないと分かっている『近代的なヒューマニズムの価値基準』を頭から否定し『勝てない近代的進歩主義の土俵』から下りているのだ。

『物質文明・人権思想・技術主義の近代化』を競う土俵(フィールド)で戦う限り、ISは欧米諸国よりも『人権・男女平等が守られていない貧しい後進国』であるという欧米が作った価値基準から指弾され欧米を追いかけたり支援を受けたりする立ち位置に立たされる。反欧米を徹底すれば進歩より昔が良かったの復古主義が勝る。

『イスラームの原点の教えや聖典にどれだけ忠実な国・社会であるか(IS指導層が考える原理主義・復古主義への接近度)』という欧米とは異なる価値基準を敢えて打ち出す事で、ISは『背教・物質主義(堕落)の欧米諸国』より優位な位置に自己をアイデンティファイできる。中世的な火あぶりの処刑も『応報の正義』となる。

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ムスリム(イスラム教徒)はなぜ豚肉を食べてはいけないのか?:生活規範・帰依の乏しい日本の宗教文化

ムスリムがなぜ豚肉を食べてはいけないのかに『合理的な理由』はない。ムハンマドが天使ジブリールから聞いた神の言葉に『神が豚肉を食べてはならない』という規範があるから守るというだけである。

誤ってムスリム男性に豚肉 横浜入管が謝罪、男性は抗議

イスラームの文化・生活規範の強度というのは、日本人の宗教感覚で最も分かりにくいものの一つであり、日本人は反射的に宗教の聖典にあるような物語を『人間が作った話』という風に解釈するので心から信じることができないというのがある。イスラームが意味する『帰依』も殆どの日本人には感覚的に分からない信仰心である。

日本は世界でも有数の『帰依しないという意味での無神論者の国』であり、日本人の多くは『科学的世界観あるいは人間中心主義から離れない人々』である。帰依というのは神中心の世界観に我が身を委ねる、神が本当に存在するものとしてその言葉・命令を至上のものとする生活を受け容れるという事だが、日本人は一般に『帰依』まではしない。

確かに日本人も神社に初詣をしてお賽銭を投げるし、寺院で法要を営み墓を立て説法を聞いたりするのだけれど、神様仏様を中心とした世界観に帰依し戒律を守るという信仰のあり方ではない。寺社にお参りして『お願い事をどうか聞いてください・助けてください』と神仏に頼むが、神仏側が人間に命令する事はまず意識されない。

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東シナ海における中国のガス田開発問題(ガス田の白樺・春暁問題)と軍の対日強硬派の影響

中国に対する悪感情の原因の一つとして、東シナ海における中国の強硬なガス田開発がある。厳密には、『日本との天然ガス田共同開発の合意』に違反しているのではなく、中国側はいったん共同開発の合意交渉を中断して、現状、一応は国際法に違反しない範囲で一国で開発を進める方針へと転換している。

2008年6月、日中中間線付近の白樺ガス田(中国名・春暁ガス田)を共同開発すること、ガス田周辺の特定海域を共同開発区域として双方が独占しないことについて、日中は合意に達して条約締結の交渉段階に入っていた。

だが、中国政府は2010年になると、日本との共同開発を弱腰・中国の利益を損なうと非難する中国軍部に押され始め、条約交渉を延期・中断すると発表してそのまま何の進展もなくなってしまった。中国海軍が防護する形で、日中中間線の中国側の海域で春暁ガス田の掘削準備と開発のための構造物建築が一方的に押し進められている状況である。

東シナ海のガス田開発問題は、日本人の側からすると『ものすごく儲かる天然ガス田・油田を中国から全部持って行かれているような感覚』になりやすいのだが、実際には天然ガス田や油田の開発事業というのは、アメリカのシェールガス開発会社のかなりの割合が中途で資金が尽きたり採算が取れずに撤退しているように、『潜在的埋蔵量がかなり多い区域』でも探索・調査・掘削・設備建設などの事前コストが極めて大きいので簡単に儲かる事業ではない。

東シナ海のガス田開発事業には、当初参加したがっていた外資系の石油企業も、トータルコストで利益を得られるか十分な量が継続的に出るか不透明であるとして、途中で撤退してもいる。

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安倍政権の安保法案を巡る混乱と“立憲主義の軽視・存立危機事態のわかりにくさ”

安倍政権が立案した『安全保障関連法案』に対する反対デモが国会周辺で行われ、安倍政権の支持率がかつてと比べてかなり下がってきた。ギリシャの債務危機や中国の株価急落もあり、アベノミクス効果にもやや息切れが見えてきた。10月には消費税10%への増税も控えており、安倍政権に矢継ぎ早に向かい風が吹き続ける雲行きだ。

安保関連法案可決は国防・自衛隊強化・日米同盟に関心の強い安倍晋三首相の悲願であるが、日本以外の外国(同盟国)に対する攻撃を受けて日本が防護以上の反撃をする『集団的自衛権の行使+自衛隊活動領域の拡大』は、本来、憲法解釈変更の限界を超えているため、『改憲の手続き』を踏むことが筋である。

この安保関連法案の問題点は、『憲法違反の疑いが強いこと』や『国民にとっての必要性が分かりにくいこと(逆に仮想敵の増加・反米勢力の逆恨み等で自衛隊・国民のリスクが高まる恐れもあること)』もあるが、『アメリカからの要請+米国議会に対する日本国首相の公約』によって万事が推し進められようとしていることである。

法案が曖昧に定義する集団的自衛権は、実質的には『米国主導の世界秩序(中東・アフリカ経営の軍事コンセンサス)』を維持するための負担(戦闘要員・後方支援要員の戦死の負担も含む)を日本も応分に負うべきだというアメリカ側の要請を背後に持っているが、日本にとっては『中国警戒論』が米国の機嫌を損ねたくない理由にはなっている。

現実的には、武力で全面衝突する日中戦争は日米戦争と同程度には起こりにくいシナリオだが、安保関連法案に賛成する主張として、『尖閣諸島問題・中国の海洋権益拡張(南シナ海の南沙諸島の一方的な拠点建設等)』に対してアメリカがもっと強気に出てくれるのではないかという期待もある。

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吉本隆明の『反権力・脱政治・大衆論』から日本の政治状況・国民の意識を見る:1

現在の日本では『憲法・安全保障・外交政策(対中国・朝鮮半島)』を巡る対立が、『右翼(民族主義・権力志向・反個人主義)と左翼(人権主義・反権力志向・個人主義)の二項図式』で語られることが多い。

こういった語法は本来の右翼(保守)と左翼(革新)の定義とは関係がないものだが、日本では『自由・平等・人権・護憲・平和・個人の尊重』などは、ネトウヨとも呼ばれる右翼目線では、国家の集合主義的な総合力を低下させる『左翼的な思想・概念』として扱われることが多い。

反体制派の左翼とは、日本の歴史では共産党・社会党(社民党)・全共闘運動・左翼過激派などと関係する『共産主義者(社会主義者)・反資本主義者・反米主義者(反米の文脈での平和主義運動家)』などを指してきたが、今のネットで言われているサヨクはそういった共産主義・社会主義よりもむしろ『個人主義・自由主義(権力からの自由を重視して集団主義的な強制に抵抗する思想)』と深く関係しているように見える。

本来の右翼と左翼の定義から外れてきた、現代のネット上における政治的・思想的に対立する立場を『ウヨク・サヨク』と表記する。

日本人の民族的統合と仮想敵(中国・朝鮮半島)に対する戦闘の構えを強調するウヨクは、民族・国家単位のイデオロギーや軍事増強にこだわらずに『個人の自由・権利・平和』を普遍的価値として強調するサヨクを『反日勢力・お花畑・非現実的な空論家』と揶揄することが多い。

国家の威厳と個人の幸福が一体化しているような拡張自己の思想であり、実際の戦争や自己負担にまで率先して参加するかは分からないが、言葉の上では『私(個人)よりも国家(権力)の拡張』という価値観を提示する。

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