木曽御獄山(おんたけさん,3067m)は、古代の昔から信仰登山で登られていた山で、近代以降もその裾野の広い巨大な山容(南北3.5キロにわたって外輪山を結ぶ山頂が広がる)に人気があり、日本百名山の一つである。
7合目までロープウェーが通っているため、3000メートル峰としての登山の難易度ではそれほど難しい山ではなく(火山噴火がなければ難所はなく避難小屋の休憩スポットも散在している)、年間約10万人の登山者を集めている。
しかし、1979年(昭和54年)10月28日に大噴火をしたことがある複合成層火山で、2008年にも噴火警戒レベルを引き上げる変化があった。現在も活動を続けている活火山で、活火山としての標高は富士山に次ぐ第二位である。噴火の事前予測は現在の技術・知見では不完全なところが多く、今回の噴火被害を前もって防ぐことはできなかったと思われる。
9月27日の噴火を気象庁は全く予測できなかったが、現在の火山噴火の予測方法は『噴煙の噴出量・マグマの上昇度・周辺地熱の上昇』に大きく依拠しているので、突発的に水蒸気爆発が地表を突き破ってマグマ・火砕流・火山灰が噴き出してくる型の噴火を予測することは原理的にできない。
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熱帯・亜熱帯地方の感染症であるデング熱が、日本国内で発生したことで大きな話題になっている。デング熱に感染した潜伏期の海外渡航者が、日本に帰ってきてから蚊に吸血されて感染したと推測されている。
デング熱 新たに12人感染、いずれも代々木公園や周辺訪問 計34人に
感染者のほぼ全員が代々木公園の中を歩いたり留まっていたか、その周辺に立ち寄っていた人なので、代々木公園に棲息している蚊(ヒトスジシマカ)がデングウイルスを媒介しているようだ。
大規模な複数回にわたる大量の殺虫剤噴霧による『蚊の駆除』が行われているが、その後も感染者の報告が出たため、ウイルスのキャリアである蚊が完全に死んだのかは分からない。
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20世紀後半から倫理学には『動物の権利(アニマル・ライツ)』という分野が設けられたが、動物の生命や感覚にも『人になぞらえられるべき一定の価値』があるという倫理観・判断基準は比較的新しいものである。
人間は動物を家畜化して食肉にしたり、医学・科学の発展のために実験動物として利用したり、学術・鑑賞のために動物園の檻(研究室の飼育環境)に閉じ込めたり、愛玩するために品種改良したり飼育したりする。
その意味では、人間は動物を人間のための『価値ある資源』として利用する存在であり、『動物虐待』と『必然的・不可避な利用(食用・鑑賞用・飼育用・実験用など)』との差違もまた人間的な感情や感覚の受け取り方に由来することになるだろう。
一方的に殺される側、利用される側の動物からすれば、『人間の側の理由・事情・必要性』などどうでもいいことではあるが、動物は人間との知能・実力(戦闘能力)の差によってどうしても『一切殺されない・利用されない存在』になることは現実的に不可能である。
映画『猿の惑星』のシーザーのように、人間と同等の知能と意思疎通能力・戦闘能力・道具製作を持った『新たな種(人類の天敵の種)』でも出現しない限り、地球上において『食肉・飼育をはじめとする人が必要とする動物資源の利用』を実力行使でやめさせられる種は不在だからである。仮に、進化した類人猿や宇宙から飛来した異星人に、人類が取って代わられたとしても、次は『人類に代わった優性種』が他の動物資源を利用しないという保証は何らないが。
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福島第一原発事故の責任の取り方を『金』に還元するように原発輸出事業・原発再稼働の判断もまた『金』に還元されるものではある。自民党政治は元来『金目の地域配分・直接の利害』で維持されてきた側面も。
<最後は金目でしょ>石原環境相が陳謝「誤解を招いた」
品性に欠けた発言を陳謝しても、自民党政権の原発政策の本音の部分が、『金目の配分と原発安全神話で反対勢力を黙らせてきたという歴史・自負』にあるため、謝罪と訂正があっても表層的なものとなる。福島第一原発事故で科学的・統計的根拠に基づく安全神話が崩壊し、頼るべきものは『金目・利益の将来予測』となる。
原子力発電所・核廃棄物の中間貯蔵施設に限らず、ごみ処理施設や火葬場も含めて『都市の中心部』に置きたくない施設・設備の多くが、『過疎地域・経済基盤がない地域への金目の手厚い再配分+新たな雇用の創出』によって建設されてきた経緯がある。
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福岡県のスーパーでは鯨肉は普通に売られている事が多い感じがある。鯨のベーコンや塩鯨、おばいけは概ね298~398円でそれほど割高な食材でもないが、日本人でも米食と連結した鯨食文化は衰退傾向。
鯨食、逆風強まる 楽天が販売禁止、敬遠する飲食店
鯨肉、特に塩漬けの塩鯨はどう調理しても、トーストやパスタ、豆の欧米風の食文化とは相性が悪い。『現在残っている鯨食文化圏』は、鯨の絶滅危機や倫理的問題だけではなく食・味の嗜好の面でも拡大できる可能性があまりないのが難しい所。どう主張しても、わざわざ鯨を食べなくても…という前提が反捕鯨国からは抜けない。
塩鯨のお茶漬けは、数ある茶漬けの中でも鯨の油との相性が生み出す特別な美味さがあるが、その味をそもそも米を食べない反捕鯨国の人々に受け入れてもらうのは不可能に近く、お茶漬けのような食べ物自体を必要としていない。独特な鯨の油の香りは、欧米圏の平均的な食文化では、『嫌な臭み』として知覚される。
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国際司法裁判所は一審制であるため、異なる争点から対抗的な訴訟を提起しない限りは、上訴はできずにその判決に従うしかない。日本の捕鯨は、政府の助成金を抜きにした利益はでていないため、『商業利益を得るための捕鯨』というよりは『科学的調査を兼ねた食の伝統文化を保存するための捕鯨』に近い。
国際捕鯨委員会は1986年に商業捕鯨を禁止したが、禁止の理由は『鯨の頭数減少・絶滅危機と種の保存』であった。日本は鯨が絶滅危機にまで至っておらず、一部の鯨の種の頭数が増加傾向にあることを、統計的・合理的な推測から立証するために、『科学的研究を目的とする調査捕鯨』を法律の抜け穴として1987年に開始したが、当初は調査捕鯨で捕られた鯨が廃棄されずに販売されるのは(無意味な殺処分や海洋資源の無駄遣いを回避する意味でも)暗黙の了解でもあった。
南極海の調査捕鯨、中止命令 捕獲数「多すぎる」
ここまで国際社会で反捕鯨の価値観や政治行動が強まっている状況では、年間に1000頭以上を捕獲することを了承させる『調査捕鯨』の持続は現実的に困難であるが、日本国内における鯨肉消費量の低下を考えれば『数百頭の捕獲頭数の制限枠』でも鯨肉が好きな人の需要はそれなりに満たせるのではないかと思う。
いずれにしても、『完全な商業捕鯨の承認』の可能性は有り得ないのだから、捕鯨が容認されるとしても『捕獲頭数の制限つきの捕鯨』になるわけで、日本は反捕鯨国との間で『科学的根拠に基づく捕獲頭数の制限枠(1000頭を超える現状の維持は困難であり調査目的にしては数が多いという批判にも一定の妥当性はある)』についてすり合わせて交渉するしかないだろう。
日本の調査捕鯨は『国際法の条文』からすれば違法であるが、日本が捕鯨を持続するために取れる国際法変更の措置は、『調査捕鯨によって得られたデータから鯨の一部の種が絶滅危機にはないと科学的に推測されるのであれば、商業捕鯨の再開をしても良いのか』という科学的根拠(エビデンス)に基づく反論をオーストラリアを筆頭とする反捕鯨国にぶつけてみることである。
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