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沖縄県の普天間基地移設に対する反対運動:戦前戦後、粛々と国や法律によって全体のための負担を負わせられた沖縄の歴史

政府(首相)や公権力が『粛々と進める』という発言をする時には、『反対派・抵抗勢力が存在するとしてもいくら反対しようとも法律と行政の執行権の裏付けに基づいて強制的に推し進めることができる(反対運動をして騒ぐなら騒いでも良いが権力は痛痒に感じず結果は決まっている)』といった威嚇や無視、傲慢の意味合いを帯びる。

安倍首相「粛々、私も使う必要ない」 普天間移設問題

地域主権や地方自治といった大義名分がハリボテであることの露見であり、国家権力の絶対性と法律執行(条約遵守)の強制性によって地域と人々が支配される“中央集権体制(権力及び多数派による不利益強制の正当化)”を理想とすることの現れでもある。

地域住民の意向や地方自治体の自主権を大幅に抑圧して、『国家全体のための負担を一自治体に無理やりに押し付ける法律・条例』は、憲法違反や人権侵害の疑いもある。

中国を仮想敵に設定した『地政学的なパワーバランス』のために沖縄県は未来永劫、日本の安全保障政策(実質的に沖縄県をダシにして対中国で団結するような国民統合政策)のための犠牲となって、米軍基地あるいは自衛隊(国防軍)基地を大量に受け容れ続けなければならないというのは、沖縄県民が日本人としての権利や地位を中途半端にしか認められていないという事にも成りかねない。

沖縄県は江戸中期以降に薩摩藩の侵攻(間接支配)を受けたが、明治の廃藩置県の流れでは、一方的な琉球処分によって琉球王国としての自治権を完全に喪失し、正に“粛々と”力の論理で近代日本に組み込まれた。

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“自国のために国民を戦わせる政府”の無能、“外国人の生命・人生への自然な想像力”を遮断させる教育の危険

政府主導の国家間の戦争を拒絶したり戦闘・威嚇に協力しないということは、自分たちの生活領域に攻め込まれても何も抵抗しない、自分や家族、友人が攻撃されても対抗しないという『無抵抗主義』とは異なる。

政府が外交や安保に失敗し続けて戦争に巻き込まれる可能性は、現代の日本では意図的に軍事重視・国民困窮化(格差拡大)の政策にシフトでもしない限りは低いが、仮に目の前で戦闘行為が自分たちに仕掛けられれば、戦争反対の平和主義者でも自衛のための戦闘・避難・ゲリラ活動は行うだろう。

それは戦争に賛成か反対かのレベルの判断ではなく、法権力が担保する秩序(暴力の絶対禁止)が解体した状況において、人間に保障されるべき自然権の行使だからである。

『戦闘前からの好戦的姿勢・軍事重視・国家主義に反対すること』と『戦闘後のやむを得ない自然権の行使(殺されない自衛のためのレジスタンスやゲリラの闘争)』は矛盾なく両立する。

常日頃から、自国のために戦うべきだ(戦わない奴は非国民だ)とか悪意のある外国が自国を侵略したがっている(その外国の人間は自分たちより人間性や道徳が劣っている)とかいう『国家単位の争いごとの不可避性・仮想敵の設定やそれに対する攻撃性』を口にしない平和主義は、『専守防衛の備え・宣言』や『近隣諸国との友好関係の誘いかけ(政治・経済・観光・文化娯楽などの交流促進)』と両立するということである。

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自衛隊を軍隊と呼んでしまうことの問題は何なのか?:日本国憲法と歴史的文脈

安倍首相が『わが軍』という表現を用いた事の問題は、戦後日本には“攻撃的・侵略的な戦力”としての『軍』は憲法的にも実質的にも存在しない、最小限度の防衛力しか持たない自衛隊は軍とは異なると定義されてきたにも関わらず、敢えて『自衛隊』ではなく『軍』という概念を用いたことである。

■菅氏「自衛隊も軍隊の一つ」 首相の我が軍発言巡り

更に、首相である自分を軍隊の最高指揮官だと強調するかのように、『我が軍』という『国民の保護・合意』よりも『権力者の指揮・命令』に随従する軍隊(私兵めいた権力者に忠誠を誓う軍)をイメージさせる表現を唐突に用いたことである。

9条改正・国防軍創設・集団的自衛権・緊急事態法(有事指定による国民の一時的な人権停止命令・戒厳令)などを掲げる安倍首相が、『わが軍』という表現を用いれば、他の政治家とは異なる『首相である自分が(国民にあれこれ言わせずに)多数派の国会議決や緊急時の事後承認だけで思い通りに動かせる軍を創設したいという本音のニュアンス』があると忖度されても仕方ない。

菅義偉官房長官は『自衛隊は我が国の防衛を主たる任務としている。このような組織を軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊の一つということだ』と語っているが、これは論理階梯(広義の軍から狭義の自衛隊への概念定義の歴史的なタイムテーブル)を意図的に逆向させた詭弁の一つとも解釈できる。

菅義偉官房長官は、国家の防衛を主な任務とする武装した実力組織を『軍隊』と呼ぶのであればというのだが、『国家の防衛』と『侵略・先制攻撃を含めた軍事作戦の遂行』を主な任務とする武装した実力組織を『軍隊』と呼び続けてきた歴史が先にあったという常識からまず始めなければならない。

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インドの男性社会の揺らぎと性犯罪の多発化:法治主義と自力救済・群集心理の私刑

インドの旧来的な伝統社会は、ヴァルナに基づくカーストの身分制度と家父長が家族を統制する男権秩序によって運営されてきたが、インドにも押し寄せた近代化・産業化の波と新興国としての国際社会へのコミットは『カーストの身分差別の禁止・男尊女卑の慣習の廃止・女性の権利と社会参加の拡大(男性の社会的経済的な優位の抑制)』を次第に進めていく。

住民数千人がレイプ容疑者を惨殺 制御きかぬ“怒り”、収拾つかぬ「レイプ頻発インド」

約13億人の巨大人口を抱えるインドは経済格差・教育格差が極めて大きく、膨大な数のスラム街・貧民窟が存在しており、近年はBRICsの一角とされたインドの経済成長もブラジルやロシアと並んで停滞気味である。

低賃金の第一次産業に留められ教育・職業を与えられず、新興経済社会の格差・貧困・屈辱に喘ぐインド人男性の相対比率の上昇が、インドの『社会不安・治安悪化・レイプ犯罪(性暴力による女性の侮辱・制圧)』の根底にあり、新興経済社会の果実から遠ざけられている不満のはけ口が、学歴取得・技術や資格の習得による社会進出を目指す(男性よりも良い社会経済的処遇に向かおうとする)都市で学ぶ女性に向けられやすくなっている。

ナイジェリアのイスラム過激派の“ボコ・ハラム”も、教育を受けて知識・技能を得ようとする女性、社会経済的に自立しようとする女性(男性の家長権に服属しない女性となる可能性)を非常に嫌って憎んでいるが、イスラム国やパキスタン、インドなどで勃発している集団的な性犯罪(女性の自由・権利を暴力で蹂躙しようとする犯罪)は『男性社会の既得権崩壊(女性の台頭・自己主張)に喘ぐルサンチマン』に由来している。

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“八紘一宇”は“みんなで仲良く助け合い”の中立的な概念なのか?:中国の天子・日本の天皇と八紘一宇

八紘一宇は古代中国の漢籍に記された『八紘(8つの方位=世界)・一宇(1つの屋根)』に起源があり、日本では『日本書紀 三巻』の神武天皇の神武東征からの日本統一の気概を示すくだりで『八紘を掩いて宇と為さん事(世界を天皇の威徳で覆って一つの家にしていく事)』と記されたのが初めであるという。

“八紘一宇”という四字熟語は、日蓮主義者の田中智学が国体研究の中で原文『掩八紘而爲宇』を四字熟語として造語したものであるが、“八紘”と“一宇”は古代中国の慣用句の原義においては、天下統治の天命を拝受した天子(皇帝・国王)の統一権力によってバラバラだった世界が一つの秩序にまとめられる、天子の威徳が世界の隅々にまで及ぶという意味合いがある。

日本の八紘一宇も、神武天皇の神武東征の神話の場面が初出であることから、『世界を一つの屋根の下に覆っていく正統な主体(世界の家主・家長)』としての天皇・皇統(万世一系)といったものを無視することは難しく、戦時中には『皇国・国体』といったものが世界の屋根を支える中心軸であったことは疑うことが難しい。

世界や異民族を覆うような屋根・家は、所有者や家長のいない誰でも自由に使って良い空家ではなく、『中国の天子(皇帝)・日本の天皇』が世界を覆う屋根(家)の秩序や規範を制定する家長として仮定されていることは、中国古典や記紀の世界観(統一支配や建国の正当化のエピソード)からも自明だろう。

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なぜホストやホステスにはまってしまうのかの心理:『自分の欲求・孤独』を好みの相手に確実に満たして欲しいというニーズ

ホストに金を落とす心理は『サービス業の女性のストレスと反動形成の娯楽・金はあるが孤独・ノーリスクで好みの男にチヤホヤされたい・金のかかる派手な男の価値誤認』等だろう。

お金のかかる女・男は『一般的な恋愛対象』としては敬遠されるが、ホストやホステスのように『商品化された男女』の場合には、逆にお金を掛ければ掛けただけの価値があるように見えてしまう傾向(高いお金に見合うだけの普通の人にはない価値があると思い込まないと自分の行為が虚しくなってしまうため)がある。

女はなぜホストクラブにお金を落とすのか?ホスト界×ビジネス界のリーダーが語る“一晩100万円”の価値

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