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イスラム国の人質事件:2億円の身代金から女性テロリストの解放に条件が変更。

イスラム国の人質事件。国家がどこまで自国民を保護すべきか、国際紛争で一方に軍事・資金面で協力した場合(集団安保発動時)の敵からの反撃リスクにどう対処するのかが問われる。日米同盟・西側協調から身代金の支払いは困難だが、交渉窓口を作れればフランスやドイツのように水面下の価格交渉は可能かもしれない。

憲法9条を改正し、軍隊の創設・軍事力の強化を行い、日米同盟を深めれば安全保障は磐石になる(事前に敵を抑止・威圧して自国民を守れる)という安倍政権の構想は、『世界最強の軍事国家の米国』で大勢の国民・兵士が戦いやテロで殺され続けているのを見ても根拠は薄い。米国の理念を不満とする敵と向き合う覚悟を要す。

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高齢者・孤独な人の心をケアしてくれる『ロボット(ヒューマノイド)の夢』

アイボや赤ちゃんロボなど心理的ケアをするロボットの潜在需要は極めて高いが、現状の人工知能では『心のないロボットの前提』が強固であり、ロボットが会話の相手をしてくれても感情的満足度にすぐに限界がくる。

逆にそこまでAIが進歩すれば、人が必死に他者(恋人・家族・親友など)を求める動機づけが落ちて、楽な方向でロボットとの関係を求めるようになり(ヒト型ヒューマノイドの身体構造の完成度にもよるが)、人類は激減するだろう。

お世話して癒やし効果を=高齢者向け「赤ちゃんロボ」―中京大

ロボットや人工知能(AI)に『心』を持たせられるかの問いは、技術的な問題にも見えるが哲学的・存在論的な深い問いを孕んでいる。ロボットに心がないのは『自我・生存と複製の欲・主体性・自分の問題』がないからだが、ロボットは『人間のために作られた存在』であり『自分のために何かをする遺伝子』を持たない。

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生活保護の家賃部分の減額:生活保護の不正受給やワーキングプアとの比較における差別的なまなざしの強さ

生活保護減額は社会保障費削減の効果において微々たるものだが、生活保護と低所得層の損得・階層の対立を煽る図式が作られていることが大きな問題である。

生活保護に対する差別・偏見・侮蔑などが、『格差社会・中流崩壊・不安定雇用増加のガス抜き』にもなっているのだが、現在の経済社会・雇用情勢では『誰がいつ生活保護に近い仕事・生活の状況になってもおかしくない側面』があり、セーフティネットとしての生活保護を縮小・削減し続けることのリスクは小さくない。

生活保護の「家賃」減額 政府予算案【福祉・雇用】

生活保護費は全体で約3兆1000億円程度の規模だが、社会保障費に占める割合は約3%で、いくら生活保護費を締め上げて減らしても、『社会保障制度改革の文脈における支出削減効果』は極めて限定的である。

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パリの新聞社『シャルリー・エブド』の襲撃事件:近代の『唯物論・科学主義・自由主義』と折り合えないイスラーム

近代化とは『唯物論・科学主義の世界観』を前提とする時代の革命的変化で、前近代の宗教霊魂・怪物など全て『無知・迷信』として退けたが、『目に見えない霊的・価値的な真理』を求める人間の本性は消えない。

フランス・パリの新聞社『シャルリー・エブド』がイスラム過激派を含むグループに襲撃されたが、この事件も『目に見えないものを想像の産物として軽視する近代社会』との深刻な価値対立に根ざしているものである。

アラーやムハンマドの風刺は、キリスト教が十分に世俗化してパロディにしても許されるヨーロッパ社会では 、『多様な風刺コンテンツの一つ』に過ぎないが、そのロジックはイスラム教や生活様式が十分に世俗化・近代化していないイスラム圏にはほとんど通用しない一人よがりなものでもある。

ローマ法王「信仰の侮辱」戒める 仏新聞社襲撃

近代人は『唯物論・科学主義』を真理とする法的・社会的秩序の世界で生きているため、『目に見えないものの価値の信奉』によって『人命・自由』を侵害しても良いとする原理主義を深く理解しにくい。宗教も幽霊も怪物も消費されるコンテンツの一つとなり、『全ての出来事を妖怪のせい』にする妖怪ウォッチ的なフィクションである。

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マクドナルドの異物混入騒動から考えたこと:グローバル経済環境における食の安全性と衛生管理

日本マクドナルドの異物混入騒動が収まらない。経営陣の責任転嫁的な記者会見も火に油を注いだ。元々ジャンクフード業界に対しては、食の健康・安全の立場から非常に強い反感や否定もあり、衛生管理の危険を感じる異物混入は『痛烈なバッシング機会』を提供する。マスメディアがどこまで時間を取って放送するかも影響する。

朝のニュースに昼のワイドショー、マスメディアは日本マクドナルドの食の衛生安全管理体制の問題や原因究明の遅れを強い口調で非難したが、株式市場の反応はマクドナルドを暴落させるほどではなく抑え気味な反応になった。ブランドイメージの連続的な毀損と衛生管理の悪印象で、中長期的な売上は落ち込む恐れもあるだろう。

サンデーへのプラスチック片の混入は『アイス製造機械の部品の割れによる欠落・混入』、ナゲットへのビニール片の混入は『食肉製造過程で使用した青色ビニールの欠片の混入・チェック時の見落とし』という結論が概ね出ているが、最もイメージの悪い『人の歯』については混入の場所も経緯も故意か否かも明らかになってない。

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パリの新聞社『シャルリー・エブド』が、イスラム過激派に襲撃され12名死亡:人間中心と神中心の価値観の対立

世俗化した人権尊重の近代国家では『人命』の優先度は高いが、イスラム教圏ではテロ否定でも『神・信仰』が人命に優越すると信じる者は多い。人命より国家・神・共同体を優先する思想は前近代の主流だったとも言えるが、現代では『反欧米の宗教原理主義・過激主義』として言論や人命、自由主義を否定する活動が目立ち始めている。

パリの新聞社襲撃、12人死亡 イスラム教風刺で物議

イスラム教も含む前近代的な価値観(近代初期も含む価値観)の特徴は、『私は私・他人は他人』という個人主義の寛容な価値観(人それぞれ)を受け付けにくいということであり、国家(天皇)のために個人(国民)が生命を捨ててでも奉公する戦前の日本も例外ではなかった。

フランスのパリで、イスラムや宗教信仰を風刺する漫画などを掲載していた新聞社
『シャルリー・エブド』が襲撃されて記者ら12人が殺害されたが、逮捕されたシェリフ・クアシ(32)は、イスラム過激派の戦闘訓練・外国派遣を支援した容疑で実刑判決を受けていたという。

フランスのテロ支援に対する刑罰は思ったよりも軽いようである。聖戦(ジハード)と称する戦争・テロに戦闘員を派遣したり訓練したりしたシェリフ・クアシは、懲役3年の刑罰を受けただけですぐに出所しており、その後に今回の新聞社襲撃事件を計画実行することになった。

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