「サイエンス」カテゴリーアーカイブ

人間の寿命の限界は125歳:長寿・老いの遅さに近づくほど人は少子化・先延ばしになりやすい

近代化は『寿命の延長・知性と技術の向上』をもたらしたが、老い・死を間近に感じない時代は『少子化・成熟拒否』を招く。老いは嫌悪されるが老いがなければ世代交代せず死の恐怖も強い。老いて弱るから諦めやすい。

“人間の寿命の限界は125歳” 平均寿命は伸びている一方、110歳以上は減少傾向

子供を作ることによる遺伝子保存は『不完全かつ進化的な自己保存』で、自分がいつか老いて死ぬから子供を産みたくなりやすい。『不老不死に近づく何百年?何千年も生きる科学技術(出産可能年齢も数百年)』が開発されれば子孫は滅多に作られなくなり、文字通りの不老不死なら脳・意識が変性して生殖本能が薄れるだろう。

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がんの『早期発見・早期治療』は有効だが、遺伝・細胞生理が絡むので完治・完全予防は難しい

がんの大きな要因は『加齢(DNA複製エラー・自細胞の異物化)』と『がん発現遺伝子(がん抑制遺伝子の欠如)』で、平均寿命が延びた国ではがんの発症率・死亡率は高まる。がんの根本治療は外科手術のような侵襲的治療では難しい。

<がん対策>早期発見技術で連携強化 日米韓が共同声明

早期発見できればがん切除の外科手術で再発しない症例も多いが、『早期発見のための頻繁ながん検診』は逆に放射線被曝量を上げ細胞のがん化リスクを高めるという見解もある。『早期発見へのこだわり(年に複数回の人間ドックを受ける等)』ががん予防やがんで死なない為に有効であるという統計的エビデンスはない。

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人類滅亡の可能性と宇宙・地球の真理に対する人の想像力:本当のところは知りようもない

生命の進化史や恒星の寿命から人類滅亡はいつか起こるが、人の知性は地震・竜巻どころか経済・金融さえ長期予測はできない。『種の寿命』より『個の命』は短く脆い、人類の運命も地球史も誰も確認できないという冷厳な現実がそこにある。

「人類滅亡」は実際に起こる?1割以上が「人類は滅ぶ」

超長期的なスパンで人類や自然や地球の行く末や来し方を、知的な現代人は様々な資料・理論を元にシミュレーションし想像する。地球史は約46億年、人類史は約400万年とか『神の目線・無限の時間軸』で見てきたかのように語れる。だが文字文化で証される知性の歴史は精々3000年…石器時代の人の意識も闇の中なのだ。

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バーチャルリアリティ(VR)の進歩は『現代人の孤独・無力・宗教の喪失』を救うのか?

バーチャルリアリティ(VR)がアダルトに応用される展示会に応募者殺到で入場制限というニュースは苦笑を誘うが、脳に『現実感覚』を錯誤させる仮想現実の技術が究極的に進化した先で、『ネット(ゲーム)依存症・ドラッグ』を超える『リアルからの退却(ストレスフルなリアル滞在時間の減少)』が社会問題になりそうだ。

VRが究極に進歩した未来を描いた映画『マトリックス』では、エージェントが『こちらに留まれば思い通りの仕事も豪華な食事も最高の女(男)も思いのままなのに、お前は貧しくみすぼらしいあちらに戻って何がやりたいんだ』と誘惑しスキンヘッドが裏切る。薬物・不倫・心中もあちらの誘惑に屈しやすい退却的世相の反映か。

『こちらとあちら』という二項対立概念は非常にメタフォリカルで誘惑的なものであり、リアルとバーチャルといっても良いし、物理世界と精神世界でもあり、仏教の此岸(この世)と彼岸(あの世)に遡ることもできる。世俗と神聖(宗教・神)さえ、太古から人間が頭の中で思い描いてきたアナログなVRによる心の救済だった。

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介護殺人の増加と追い詰められる現代日本の老後:尊厳死・安楽死の議論とアンチエイジングな科学技術の夢

高齢者のいる世帯の人数が1~2人が大半を占め、老人の貧困も増加している現状で、『在宅介護・自助努力』は間接的な介護殺人や貧苦の自殺の容認になりかねない。

長年連れ添った夫に「確実に殺してね」と頼む妻 介護疲れがもたらす「介護殺人」増加の深刻さ

世帯の人数の減少と合わせ、現役世代の婚姻率低下や少子化もあり、子・孫世代の経済状況も悪化している事を考えると、政府が方向転換している『在宅介護・家族介護の推奨』は悲劇的な殺人・自殺を増加させる恐れがある。目指すべきは『各人の年金範囲内(高齢者も可能な労務提供)で賄える施設介護システムの整備』だろう。

安楽死・尊厳死の導入の議論もある。『死にたくない意思を持つ高齢者』に対する間接的な圧力・強制の問題はあるが、超高齢化社会では不可逆的に動けなくなったら食べられなくなったら『自然死・寿命死』が迫ったという意識の転換も求められる。科学・医療・福祉の進歩で自然な死の迎え方を忘れたヒトならではの苦悩は深い。

『尊厳死』は近代的な自我意識や自己決定権に基づくもので、回復不能な末期の病状で激しい苦痛がある時、本人の意思を尊重して自死を選択可能にするものだが、『人間の望ましい老い・死に方の難しさ』は周囲の他者にも納得してもらって罪悪感・後悔をできるだけ与えないようにして死ななければならないという事だろう。

安楽死・尊厳死の議論では、本人が承認しても延命努力の放棄は許されないという反対意見もある。その根底には『自然な死』と『人為の死(広義の殺人)』の区別がある。だが医療・福祉が発達した現代人にとって自然な死は過去ほど明瞭な定義ができず、老いて倒れても自然には死なず、助けられ生かされて死期は曖昧となる。

視点を変えれば、悲観的に捉えられる『孤独死』というのは、生命体としての人間個人の生理的限界(動けない・食べられない・意識を失う)を迎えて死んでいく『自然死』に近いかもしれないが、だからといってその自然死が、医療・介護を受けて周囲の人に助けられながら死にゆく人為の死より良いと思わない人も多いだろう。

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人はなぜ水素水やマイナスイオン関連といった疑似科学に基づく商品を買ってしまうのだろう…

カール・ポパーにトマス・クーン、ポール・ファイヤアーベント、科学哲学で正統科学と疑似科学の差異を考えた時期もあるが、科学的根拠を無視して高額でなければ流行・話題狙いで買う事もあり、時に悪徳業者に利益を与えている恐れもあるな(汗)

女性で高学歴者ほど「水素水やマイナスイオン」にハマりやすい!?

一つ注意すべきは、重篤な病気に対する治療法として『疑似科学・民間療法・宗教をベースとした非科学的な方法・食品』を選ぶのはやめたほうが良い。現代医学で治療できない場合、本人・家族が納得するため『代替療法』にすがる心理は否定できないが、弱みにつけこみ効果のない高額品を売る悪徳商法に騙されないようにしなければならない!

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