「学問・学術」カテゴリーアーカイブ

理研・CDBの笹井芳樹副センター長の自殺。バッシングによる心身の疲労と科学者としてのアイデンティティ(組織内のスタンス)の揺らぎ

科学者として最高のキャリア・実績を積みノーベル賞候補とも評された笹井氏だが、今まで目立った挫折がないだけに『CDBでの立場の変化・推薦したSTAP研究の否定』に対応できなかったように思える。

「心身とも疲れていた」=笹井氏自殺で会見―理研の広報室長

笹井芳樹氏は日本を代表する科学者であり、理研CDBの実質的な創設者でもあるが、自身が指導した小保方晴子氏の研究不正の認定により、『CDBの副センター長の地位・論文指導者としての評価・STAPを支持する再生科学の方向性』を失った形になり、メディアからのバッシングや下卑た憶測記事の攻撃も激しかった。

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“非常識な日本語”と“現代の日本語の語感”:正しい日本語の使い方は難しい

日本語は『身分関係の上下・立場の高低』を前提とした尊敬語・謙譲語・慣用句が多い。『与える』の物言いが失礼というのも、下位者が上位者に与えられる物・権威などない事に由来するが、『下賜=上位者から与える・献上=下位者から捧げる』は現代ではアナクロ(時代錯誤)だろう。

「耳ざわりのいい音楽ですね」という言葉、実は失礼って知ってた?

与えるが失礼なのは、『貧しい者・格下の者に余裕のある者(格上の者)が恵んでやる』というような立場の差違の語感があるからという事だろうが、現代では『感動(心理的なもの)を与える』と『モノ(財物的なもの)を与える』とでは語感が違ってきている。『何かをして上げるの物言いが嫌という感覚』と似ているのかも。

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学歴の効用(心理作用)と限界と歴史

■「学歴は関係ない」は暴論? 公平を謳う企業の採用に潜む、隠れた学歴差別の罠

昭和中期までの学歴は、大学進学率が低くて家柄・経済力と最終学歴の相関が強く、大半の庶民が経済的理由(親の教育意欲の低さ・家計の支援要請)によって中卒・高卒で就職していった。

そのため、学歴は『擬似的・近代的な身分制度(大卒=無条件のエリート候補)』に近いものとして捉えられていたと同時に、庶民の所得上昇に従って『学歴=社会・職業階層の流動性を高める制度』として親の子に対する勉強熱(学力競争の一点集中化)が急速に高まった。

家の事情で進学が許されなかった人の割合が高い50~60代以上の世代は、自分の学歴や職業的威信に対する劣等感だけではなく、『学力競争の機会の格差(家が裕福でなかったから中卒高卒に甘んじただけ)』に対する未練も強い傾向がある。

また、この世代は『年功序列賃金と終身雇用・学歴不問の採用環境(金の卵・努力と実績の人事評価)』によって、真面目に同じ会社で働き続けてさえいれば学歴が高くなくてもそれなりの地位・所得に辿り付けた層(高卒の現場叩き上げで上場企業の経営陣に入ったような人もいる)であり、『子供の教育に対する投資の余力』を持っていた。

端的には、現在30~40代の人たちの親の世代は『学歴の階層的な権威主義・俗物主義』にかなりの程度影響されている人が多く、新卒時(20代前半での卒業時)の学歴を生涯にわたって変えられない『知性・選良・権威のスティグマ(烙印)』のように捉えて、その入試難易度の高低によって相手に対する態度があからさまに変わったりしやすい。

この権威主義は、『現時点の能力・知性教養の高低』以上に『過去にどの大学を卒業したか』を重視するという意味において、擬似的な身分制度として機能していた。この世代は、経済的事情や早くにほとんどが結婚して子供を持っているという環境からしても、社会人になってからもう一度大学入試を受け直すといった選択肢自体が想定されていない世代(稀に高齢者になってから大学入試を受けてみるといったメリットを考えない課題へのチャレンジをする方もいるけれど)でもある。

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理研の採用過程で、小保方晴子氏に紹介状がなく、英語面接を行わなかったという報道:STAP細胞問題

小保方晴子氏のSTAP細胞問題は、『論文作法の不手際+写真掲載のミス』に加え『STAP細胞の実証的な再現実験』ができないことで、現時点でSTAP細胞の実在は科学的に証明できないという結論に至ったと思う。

理研、小保方氏に英語面接せず 特例的に採用か

小保方晴子氏は『科学者としての実績・力量』が買われて採用されたというよりも、再生医療・万能細胞の先端的研究でアドバンテージを得ようと焦っていた理研にとって、『小保方氏の当時の研究テーマ・発表論文による進捗度合い』が極めて時宜を得たもの、将来性があるもののように映ったからという理由のようである。

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若田光一宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(ISS)に188日間滞在して地球に帰還。

若田光一さんが日本人初となる国際宇宙ステーション(ISS)の船長を半年以上にわたり務めたが、同僚・部下の船長としての若田さんの評価は『冷静沈着・公平で思いやりがある』など高かったようだ。

<若田宇宙飛行士>ISS滞在188日…大役終え地球に帰還

ニュースでは日本人らしさとしての『和の心』が強調されていたが、和の精神がグローバルに通用するのは当たり前といえば当たり前の話。欧米が個人主義・競争社会というのはマクロなシステムや全体の傾向の話で、同じプロジェクトを遂行する仲間や目的を共有した関係においては『和の心=チームワーク』は同様に重視される。

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STAP細胞論文問題における『捏造・改竄の定義』を理研に要求した弁護団と研究者倫理のあり方

弁護士の戦術は理研による小保方晴子氏の懲戒処分を回避するためのものであり、STAP細胞の作製・実在を巡る科学的議論からは逸れているが、虚偽であることを知りながらや騙す意図を持っての前提がある。

<STAP論文>捏造定義で理研が回答「結論出すときに」

『捏造』や『改竄』があるのか無いのかは、小保方氏の科学者としての職業倫理・人格評価に関わるクリティカルな問題である。なので、懲戒処分を受けるにしてもその後の科学者としての居場所・キャリアを確保できるかどうかということに関わる、本人にとっては重要な問題と言わざるを得ない。

事実ではないことを事実であると見せかける操作・策略をすることが『捏造』、客観的なデータや数字、証拠を自分に都合の良いように書き換えることが『改竄』だが、仮に科学者としての研究・実験を行っている最中に意図的な捏造・改竄を行ったという事なら、科学者としての人格的・倫理的な資質の致命的欠如の指摘になる。

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