「学問・学術」カテゴリーアーカイブ

レイ・カーツワイルの“Singularity is Near”:人工知能が人間の知能を超える時。

レイ・カーツワイルは著書“Singularity is Near”で、人工知能が全人間の知能を超えて労働や社会を劇的に変化させる時点をSingularity・特異点と定義した。カーツワイルの想像力豊かな特異点予測は2045年、『自動運転車・遺伝子工学・機械自己複製』もプロセスに含むが、科学技術の極端な進歩には『光・影の両面』がある。

幸いにも病気・事件事故に巻き込まれて早死にしなければ、2045年の景色は何とか眺められる年代。その時は僕も高齢者の一員、その時代の技術・道具・システムなどを素早くキャッチアップできてるか分からないw現代は厳しい未来予測が多い一方、科学知の先端で研究できるような人にとっては面白い材料が増え続けている。

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ハウステンボスに作られたロボット従業員が働く変なホテル:機械化・自動化がもたらす未来

このロボットが従業員をしているというハウステンボスのホテルは1泊9000円なので、試しに泊まってみたいと思った。

ロボットの従業員、自動化システムで運営されるハウステンボスのホテル

『ヒューマノイドの外観・性能・対話能力の向上』は少子化・社会保障を含め人類の未来の生態システムに影響を与えるだろう。

人との見極めが困難なほど高機能化され外見も改良されたロボット、人よりも確実かつ原則的な管理システムを運用できる人工知能(AI)は『人間の労働・役割の必要を減少させるディストピア』として古典的SFから題材にされ続ける。ヒューマノイドの技術向上と普及は人の存在意義や固有性の尊厳を損ねるという人もいる。

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学歴は人生や仕事に役に立つのか?:学歴が職業・所得にもたらすメリットとは何か。

近代の学歴・学閥は経済・文化のスクリーニングの役割を果たすが、学歴の実利は大企業・官庁のキャリアのパスポート、医療・法律など高学歴の専門職にある。非大卒者の参入障壁は擬似身分を支える。

社会に出て「学歴関係ない」「学歴が通用しない」と思ったことは? どんな場面でそう思った?

学歴によって職業・所得の分かりやすいメリットを得たいなら、『大企業・公務員・専門職・研究職などのキャリア』を積まなければならないが、高学歴なら楽に良い給与が貰えるというわけではなく(一般にハイエンドな管理職・専門職ほど権限と合わせ負担も大きくなる)、学校後の終わりなき競争に参加するだけでもあるが。

学歴の職業・所得のメリットは『高学歴者・有資格者以外がその競争の場に殆ど参加できない(企業の採用条件・免許の法規制等で大半の人を事前排除する)』ことで担保されることになる。逆に言えば、高学歴者でも『キャリアを問わない誰でも参加できる場でのフラットな競争・現場仕事の実力勝負』をするなら殆ど利益はない。

経済的な実利・昇進などの面だけで学歴の効用を見れば、『高学歴だけで後は楽に高所得を得られ続ける甘い考えを持った者』は学卒後の終わりなき競争・労働のハードさに挫折・落胆のリスクがある。『様々な学歴・経歴・生き方の人が玉石混交で混じる職場で非学力・非資格の実力勝負が求められる者』も学歴の効用は余りない。

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吉本隆明の『反権力・脱政治・大衆論』から日本の政治状況・国民の意識を見る:2

吉本隆明の『転向論』は、左翼知識人の『戦前・戦後の二重の転向』を自己批判的に問題視する。それは『戦前の左翼→戦争協力者(体制派プロパガンジストへの第一の転向)』と『戦後の戦争協力者→左翼(反体制の平和主義者への第二の転向)』の自己保身的な転向に対する廉恥心の無さの糾弾であった。

私は戦時中も本当は『戦争反対』の立場だったのだが、権力から拘束されて脅されて仕方なく『戦争協力』の見せかけをしていただけなのだという左翼転向派のエクスキューズは、吉本隆明にとって『戦前に自分と同じくらいの若い年齢で死んでいった同胞に対する裏切り・負い目』となってトラウマ的に残り続けた。

吉本隆明の『反権力・脱政治・大衆論』から日本の政治状況・国民の意識を見る:1

この辺は、私も含めて現代に生きる戦争や動員を体験として知らない世代には本質的理解が難しいのだが、日教組の『反権力の平和主義教育・個人主義教育』の原点にあるのも、『私たち教職員は本当は子供たちを戦争に行かせることになる民族教育や思想教育には反対だったのだ(だから戦後日本では絶対に国家権力に盲目的に従属したり進んで自己犠牲に進む人間を作り出さない個性重視の教育をしていく)』という罪悪感(戦前の体制に協力した免罪符の求め)や自己欺瞞(子供を殺したり殺されたりする場に行かせたい教員は本当はいなかったのだ)だと言えるだろう。

吉本隆明は、事後的に『私はあの時、本当は権力の強制する戦争に反対だったのだ』という左翼知識人の手のひら返しの自己欺瞞に対する嫌悪・不快を感じながらも、そこに『知識人と大衆層に共通する人間の保身的な本性』を見て取る。

決定的な敗戦によって日本人の大衆は、あれほどかぶれていた皇国主義・徹底抗戦・滅私奉公のイデオロギーをあっけなく捨て去ってしまい、当時は軍国主義にかぶれて本土での徹底抗戦をも覚悟していた青年吉本の素朴な国家感・人生観は『大人が取り戻した現実主義』の前に瓦解した。

鬼畜米英と憎悪していた米国を戦後は慈悲深い保護者のように慕い、お国(天皇)のためにいつ死んでも良い(死を恐怖するのは愛国心が足りない臆病者)と豪語していた兵士はなけなしの毛布・食糧を集めて明日の生活の心配ばかりをし始め、戦争に協力しない反体制派を非国民と弾圧していた人々は急に『平和主義・個人主義・経済重視の生活』に生き方や考え方を現実的なものに切り替えていった。

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“機械化・自動化”と機械・動物を使役し続けた人間の歴史

『機械(machine)』とは、権利と自由を持たない無機的な道具であり装置(システム)である。古代ギリシアの時代から、人間の命令に従って自動で動いて仕事(物事)を成し遂げる『機械』は技術的・思想的な憧れの道具・仕組みであった。

しかし、万人が自由かつ平等という人権思想などあるはずもない古代社会は、弱肉強食のロジックで動く戦争の世界でもあり、戦いの敗者を『奴隷(擬制された生命ある機械)』として一方的に使役・売買することで機械発明のニーズが押さえ込まれていた。

人類が労働を自動化・効率化する『本格的な機械』と遭遇するのは、18世紀イギリスの産業革命期であるが、蒸気機関(内燃機関)・紡績機・工場機械・印刷機などは資本主義の利潤追求・児童労働・長時間労働などと結びつくことで、機械が人間を楽にするよりむしろ『異なる質の過剰な肉体労働(機械を操作したり機械に使われるような肉体労働)』を押し付けることになった。

システム化された工場の機械群に頼らないそれ以前のマニュファクチュア(手作業)の職人たちの多くが、機械によって仕事を奪われて失業したが、『機械化・自動化による仕事の減少』は現代においても憂慮されることのある問題である。当時は機械を破壊して仕事を取り戻そうとする『ラッダイト運動(機械破壊運動)』が起こったりもした。

カール・マルクスは『資本論』の中で、工場機械が人間の労働から一つの仕事を人間たちだけで最初から最後まで責任を持って仕上げる『全体労働(仕事の意味)』を奪ってしまうと語っている。工業社会で働く人間は、労働の機械化によって味気ない全体の一部分の仕事だけをノルマ的に担当するだけの『部分労働』に従事せざるを得なくなり、製品の生産効率は上がるが人間の労働の充実感が落ちるというわけである。

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“就活の後ろ倒し”と“学校と仕事の連続性+学業と仕事の切断性”

学生の本文である『学業』に専念する時間を確保するためという名目で、就活の会社説明会が3ヶ月、採用選考が4ヶ月後ろ倒しされて、就活シーズンが春から夏にずれ込んだ。

最近は、大学機関を国際的・専門的なエリートや総合的な教養文化人を育成するための『G型大学』と実務的な職業訓練・資格取得をメインにして即戦力の人材を育成するための『L型大学』とに分離すべきという大学教員の識者の意見が出されたりもして、『大学生の学業』というものの本質や目的が見えづらくなっている。

大学進学率が上昇して大学教育がコモディティ化するにつれて、大学は『高等教育の府』から『学校階層的な就職予備校』へとその性質を変えていったが、L型大学構想は一部のエリート養成大学を除いて、かなりの部分を資格取得や実務経験を重視した専門学校に近いよりニーズのある職業訓練学校に鞍替えさせていく構想でもある。

リベラルアーツ(教養人の知的基盤を構築する自由技芸)を必修化した本来の大学教育には、『政治・経済・社会のシステムを俯瞰して批判的に分析して再設計できる知識と思考の基礎づくり』の目的があった。

そういった知識・考察力と人間性の裏付けを持った上で『高度な専門性と実務的な職業能力の段階的な修得(官吏・研究者・専門家・企業人などキャリアのベースは分離するにせよ)』が目指されるべきとされていた。

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