「心理」カテゴリーアーカイブ

いじめ問題はなぜ解決しにくいのか?いじめられている被害者も悪い所があると思う心理

犯罪者を即死刑にせよの声も多いように、人は『大勢が悪と認知した他者』を攻撃する群衆心理の影響を受けやすくその時は罪悪感が薄い。いじめも異質な人を悪・邪魔とする『未熟な制裁』が関係しやすい。

<いじめ>「被害者も悪い」小中3割 金沢市教委アンケート

『未熟な正義・制裁』と『幼児的な優越欲求(マウンティング)・集団統制』が絡む時にいじめの集団行動は起こる。大勢がいじめられる子の何らかの異質性(不適応性・弱み)に注目し『悪・不快・邪魔』と認識すると共感・良心のブレーキが効かなくなっていじめがエスカレートする。スケープゴートや集団暗示も影響する。

いじめは個人対個人の関係では合わないタイプの他者がいても起こりにくいが、『固定メンバーの集団・共同生活』ではメンバー構成にもよるが、一定確率で起こりやすい。大人でも警察・軍隊など共同生活・仲間意識の要素が濃い仕事ではいじめ発生率は有意に高い、パーソナルスペースで合わない人と常に接する環境要因もある。

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『うたプリ』ファンの“年齢拒否”ツイートから、現代のエイジハラスメント(若さ至上主義)やビジュアル重視(見た目の文化)について考える

『エイジハラスメント・ビジュアル主義・仮想現実・ピーターパン症候群(永遠の少年少女)』は現代の現実・心理・サブカルを貫く感受性だがアニメファンの世界で年齢差別しなくてもいいような……。

「30歳以上は痛い・40歳以上は気持ち悪い」とある『うたプリ』ファンの“年齢拒否”ツイートに騒然

現代社会は約20年でネットの普及や標準的なライフデザイン(何歳なら?すべきの適齢期)・同調圧力の崩れで様変わりした。その現れの一つが『年齢相応の趣味・態度・生き方の拡散と多様化』で、『一部のオタク・マニア・子供っぽさ』で切り捨てられないほど、アニメ・芸能・漫画で実年齢を問わないのめり込みが増えた。

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日本の『お笑い文化』の変質(体を張った笑いを笑いにくくなった変化)と『恥の文化』の影響

笑いのセンスが変わった。人を笑わせる方法として『ガムシロップの大量摂取の一気飲み・雪山をサイコロに入り転落』のどこが面白いのか?病気・怪我の原因を作るだけで模倣すれば危ない。

エスパー伊東の引退騒動で考える 体を張ったお笑い芸人の体力の限界とは?

記事には『笑われる』のではなく『笑わせる』とあるが、たけし軍団を筆頭として昭和期のお笑いは『最下層の人を作り出し笑いものにする(上位者に逆らえない下位者に危険かつ無意味な命令を下す)構造』が多い。模倣や刷り込みで『いじめ・パワハラ・擬似身分(バカにされて良いキャラ)の原因』になることもあったわけで。

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『男性がいなければ性犯罪はほぼゼロ』は極論で、『男性保育士に一切女児の着替え・排泄を介助させない』も極論だが……

「女性なら社会問題になる事案」 “男性保育士に女児の着替えをさせない”は差別か、千葉市長が問題提起し議論広がる

1980年代頃まで、乳幼児の保育・幼児教育(子供の世話)・看護介護・接客接遇などの『心理的・身体的なケアの仕事』は、女性がすることが望ましくて普通(それらの女性向きとされる仕事をしたいという男性は一般的な性格・価値観ではない)とされる『男目線のジェンダーバイアス(男性の大半がやわらかい感じの女に優しくケアされたいとか丁寧なケアと合わせて性的満足も感じられるとかいう潜在的願望を持つことからの投影)』のかかった仕事であった。

しかし、男女雇用機会均等法や男女平等の原則を固めるジェンダーフリー教育などによって、看護婦が看護師、スチュワーデスがキャビン・アテンダントとなったことを典型的な変化の始まりにして、『あらゆる職業の男女平等化』が進んだ。

一部の過酷な肉体労働や女性(男性)であることそのものが売りの接客業などを除いては、『男性向き・女性向きの仕事』という固定観念が覆されることになり(実際には暗黙の了解で男性が欲しいとか女性が欲しいとかが求人段階で分かることも多いが)、事業者はどちらかの性だけしか雇わないという性差別的な雇用を禁じられることになった。男性保育士という表記自体が、『保育士=女性が圧倒的に多い職業という固定観念』の現れではある。

平常業務の遂行の一環として女児・女性の身体に必要な範囲でふれたり裸体を知覚したりすることになる職業は確かに保育士だけではなく、看護師も学校の教諭も医師もそうであるが、保育士の仕事は『自意識・言語能力がかなり未熟な乳児・幼児の日常生活全般に関わる』という特殊性はあり、性被害(男性の内面)に敏感な親御さんによっては『乳幼児の段階で非常に無防備な自分の娘+もしかしたらのリスク』を結びつけやすくなる。

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ヒトの生殖適応度(子孫の数)の結果にとって『モテる・モテない』はあまり重要ではない:個人の幸福追求・納得と生殖戦略とのズレの深まり

タイトルは厳密には、モテない男の『生存戦略』ではなく『生殖戦略』とすべきであるが、生存戦略とは個体の生存確率を上げる方法であり、生殖戦略とは異性を惹きつけて子孫を残す生殖確率を上げる方法である。

自然界の動物を例にして、弱肉強食や優勝劣敗の生殖戦略が成り立つかというと、ヒトでは特に自意識が肥大した近現代のヒトでは『結果重視の生殖(子孫を残す数)の優先度が必ずしも人生の最上位になるとは限らない』という意味で当てはまらない部分が多い。またヒトの男女関係は結婚制度の縛りがなければ『一夫多妻・乱婚との整合性(一夫一婦の平等主義の皆婚が自然ではない要素)』も持つが、『わずかな優越者(支配層)だけが子孫を残すハーレム型』にまではいかないだろう。

そもそも論から言えば、人間の男女の性選択は『男性の財・権力の庇護と女性の性(出産含む)・美の慰撫を交換する非対称的な原理』から始まっており、その基盤には常に『階層・身分・家柄・地域(居住地の周囲)による分相応な相手のカテゴライズ+結婚・出産の社会的強制性』があったわけで、単純な美貌・能力・コミュニケーション効果を比較するような性淘汰が、個人ごとの優勝劣敗の結果としてヒトにかかった時代はほとんどないのである。

美人やイケメンばかりが大量の子孫を残してきた時代はないし、権力者や富裕層だけしか子孫を残さなかった時代(権力・財力のある男の子孫の数は多かったかもしれないが、強い権力のある天皇家・将軍家・大名家でも生物学的原因などで子の少なさが問題になった例は多い)、労働者・庶民階層・貧者が子供をまったく作らなかった時代もない。

ここ数十年間の身近な状況を見るだけでもそれは明らかであり、結果としての子孫の有無や人数には、『安定所得層(公務員・大企業社員など)ほど婚姻率・有子率が高い統計的な偏り』はあっても、『厳格な意味での個体ごとの弱肉強食・優勝劣敗の原理』は強くは働いていない。

貧困層・犯罪者・病者・非美形の者でも子孫は残し得るし、実際に残しているわけで、単純に『不特定多数にモテる要素や条件を持たない個人が生殖戦略に失敗する』というのは人間社会には当てはまらない。

そもそも大多数の男性は外見・性の魅力がそれほど強くないので(進化のプロセスにおいて男性の外見・性の魅力が財力・権力・労働といった生活力よりも軽視されてきたので)、何もしなければ若い時期でも不特定多数の女性(特に大勢がいいなと感じる競争のある好みのタイプ)からはモテないのが普通である。

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日本の年間出生数が初めて100万人を下回る:現代の日本や先進国ではなぜ少子化が続くのか?

団塊ジュニア世代が40代前半になり、出産可能な女性の絶対数が減少、未婚率も高い。女性特殊出生率の多少の上下が意味のない段階となり、経済・財政・社保の再均衡が求められる。

出生数、100万人割れへ=統計開始以来初、16年推計―少子化止まらず・厚労省

晩婚化・少子化は近代社会が成熟して市場経済が飽和、女性の権利拡大と雇用増加(自立能力向上)が起これば、どの先進国でも必然的に起こる現象である。個人の美的感覚や要求水準も高くなり離婚率が上がったことも影響する。昭和期までの『生きていく為の皆婚』から『幸福追求の為の選択的結婚』への変質も速かった。

なぜ昭和初期までの女性はみんな早くに結婚して4人も5人も子供を産むのが当たり前だったのに、今の女性は晩婚で子供を産まないのかという高齢者の疑問は愚問であり、昔の女性の結婚・妊娠は『ほぼ不可避のライフイベント・結婚したら子作りは義務に近いもの』であって、それ以外の生き方のモデルは特殊・困難であった。

恋愛結婚の割合が高まった現代でも、したくてしたくてたまらない結婚、産みたくて産みたくてたまらない出産にいける男女は、かなり幸運な部類の人であって、一定の年齢では『人生設計上の功利的判断(それをしなかった場合の将来のリスク・周囲の友人や社会一般の動向との調和)』がゼロな人はまずいないのである。

出生数100万人割れは予測されていたが、一気に99万人も割り込んだのは、減少速度が早い。団塊ジュニア世代の駆け込み出産や30代の出産増加で女性特殊出生率は押し上げられているが、今の20代の恋愛・結婚・出産は早いか遅いかの二極化が進む、男女の非交際層・恋愛行動をしない層が増えている事も懸念される。

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