「法律」カテゴリーアーカイブ

ヤフーに対する『検索結果の削除命令(タイトルもURLもすべて削除せよ)』と忘れられる権利

ネットの検索結果から削除を求める裁判は、EUでは『忘れられる権利』で削除が認められやすい。今まで『犯罪履歴の削除要請』が多かったが『暴力的集団との関係を示唆する内容の削除』は新しい型ではあるな。

検索結果の削除範囲は「全て」 地裁、異議認めず

客観的事実でも犯罪の履歴や不祥事が永続的にネット上に残されていると、自分の名前で検索されると前科がばれ社会復帰や再就職が困難になるなどの理由はあるが、原則では賞罰の隠蔽はしてはならないものだ。だがネット以前は『人の噂も七十五日』であったのに、ネット社会では半永久的に残るという不利益は大きいものだ。

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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の重い副反応に対する集団提訴:10代でワクチンを打つべきかどうか

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)で重い後遺障害を発症した10~20代の女性が集団訴訟。国・医学会はワクチンと副反応の因果関係を否定、WHOは強く接種勧奨する。64人の副反応は『激しい痛み・歩行困難・意識や視力の障害・思考力低下』など重いが、医学会はワクチンと無関係な精神疾患や遺伝子異常とする。

子宮頸がんの約7~8割が、性交によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因とされる。HPVは性交で簡単に感染するが大半が免疫で自然に駆除されるので、一度感染すれば自然に治らないわけではない。HPVに感染してもがん化せず自然に免疫で消滅するが、一部が感染持続(長期潜伏)してがん化する。

欧米の医学会・WHO・製薬会社を中心として、10代の中高生にHPVワクチンを接種する事が半ば義務的に勧奨されている(巨大市場でもある)が、このワクチンの有効期間は最長でも10年以下だ。日本の20代女性の子宮頸がん死亡リスク(年間10~30人)は元々低いので、『重篤な副反応リスク』があれば躊躇する。

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参院選と憲法改正の問題、自民党憲法草案は何を変えようとしているのか?:立憲主義と国家権力・個人の関係

近代憲法の立憲主義は『国家権力の有効範囲』を示すことで『国民の人権・自由』を守るが、自民党草案では『公益及び公の秩序』によって『個人の権利の有効範囲』が狭まり国権が強化される。

何を変えようとしている?自民憲法草案(4)権利と義務 公益と責務重視 (THE PAGE – 06月28日 14:11)

近代憲法では『個人の生存権・自己所有権』は国家によって保障される以前の『天賦人権・自然権』に由来すると想定されるから、国家が認めてくれなければ『生命・身体・内面(思想)の自由』が認められないわけではない。その意味で『人権と義務の相互性(義務を果たさないと人権がない)』の主張は間違いである。

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“自転車保険の義務化”が求められる時代の安全意識と損害賠償の問題

自転車保険の義務化というと大袈裟に感じるが『月額150円・家族で月270円』で損害賠償の不安が軽減されれば安い。無謀運転をしない人には無駄に感じるかもしれないが、一律にもしもの事故の備えになる。

自転車保険の義務化次々 背景に相次ぐ高額賠償判決 (朝日新聞デジタル – 06月29日 09:46)

自転車の運転で死亡事故を起こすのは『極端にスピードを出す・無謀運転』『被害者が高齢者や衰弱者』『転倒時の打ち所が悪い・車道に倒れて車に轢かれた』などの不運が重ならないとなかなかならないだろう。だが一定の件数は発生しているので、特にスピードを出しやすい若者や高速走行が前提となるロードレーサー等(時速30キロ以上出る性能がある)は加入すべきだろう。

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死刑判決に苦悩する裁判員:『死刑肯定(処刑)』と『死刑否定(情状酌量)』のどちらにも傾く人間心理

人間社会は戦争・犯罪・刑罰(娯楽・公開の見せしめ)で人を殺してきたが、無条件に生存権を保障する近代の『人権思想・死刑廃止』と更生困難な悪人は吊るせの『報復・排除の本能』の葛藤は続く。

元裁判員「自分は人殺しだ」 石巻3人殺傷、死刑確定へ

煮ても焼いても食えない利己的・嗜虐的な殺人者は、息の根を止めて殺すしかないとする人間の動物的・自衛的本能は現代でも強い。『情けをかけ助けようとした悪人』が隙をついて刃物・拳銃でこちらを殺そうとし、二度の情けはないと主役が拳銃で額を容赦なく撃ち抜き処刑する図式は人間心理を爽快にさせ拍手喝采を送らせる。

死刑肯定論の原型は『情状酌量で助命しても反省せず再犯の恐れが強い悪人』は情けをかければ裏切られるから(神妙な表情の裏で舌を出すから)吊るすしかないとする図式、もう一つは『被害者遺族・社会世論の報復感情』を権力は代理的に満たさなければ社会正義の執行・信賞必罰の均衡を崩すという図式で支えられている。

死刑廃止論は『人間には生まれながらに不可侵の人権・尊厳が備わっている(人が人の生命を奪う事は許されない)の前提』を置き、『殺人者には人としての良心・共感・自制を喪失するだけの不利な事情』があったはずと情状酌量の助命要因を仮定する。『人は更生教育・愛情・承認の関係性で変われる可能性』を持つとする。

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大阪の小学6年生女児の焼死事件の再審:証拠不十分、推定無罪の原則採用で、実質無罪となる見通し

母の青木恵子さん(52)と内縁の夫の朴龍晧(ぼくたつひろ)さん(50)が生命保険金を目当てに小6の娘を放火し殺害したとされていた事件だが、証拠不十分と車庫の燃焼再現実験で実質的な無罪判決となる見通しである。

検察側、母への有罪主張も撤回 大阪・小6焼死再審

この事件はマスメディアでも取り上げられていたが、近代刑法における『推定無罪(疑わしきは罰せず)の原則』が最大限に適用された判例になる。検察側も各種の状況証拠から有罪を確信し起訴したが、決定的な物証を得られず弁護側の出した『車庫内の放火不可能性の再現実験』によって、不本意ながらも有罪主張を取り下げた。

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